福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出 単行本 – 2003/10/9
製品をつくる以上に売れるしくみを整えることが大事
2016年3月28日記述
ヤマト運輸2代目社長、宅急便の創始者である小倉昌男氏の著書。
2003年の出版で晩年の本になる。(小倉氏は2005年に亡くなる)
小倉昌男氏がヤマト運輸の株式200万株を投じ設立したヤマト福祉財団。
(当時の時価総額24億円。その後残りの株式も投じた)
そのヤマト福祉財団の取り組みを本書で紹介している。
日本の障害者達の現状は共同作業所で月1万円ほどの給料をもらっているだけ。
これではとても自立出来ないだろうと指摘する小倉氏の意見はもっともだ。
小倉氏は共同作業所の方々が経営について疎いことに気が付き
全国でセミナー(テキスト代のみ有料)を開催するようになる。
そして自身のヤマト福祉財団においても株式会社スワンでの事業をはじめるのだ。
有言実行してみせることで月10万円を支払うことが可能であることを示した。
パン生地をタカキベーカリーより購入することで難しい工程を省いたのも成功した要因のひとつだろう。
本書で語られる経済学、経営学はごくごく基本的なことばかりだ。
しかしボランティアや福祉の世界ではついつい忘れられがちである。
だから基本を大事にすることだ。
収入-経費=利益
製品をつくる以上に売れるしくみを整えることが大事。
つくることよりも売ることの方が大事。
経営者、生産者の視点ではなく消費者、顧客の視点にたつ。
ライバルに差をつける為にも付加価値をつける。
ライバルが出現することを喜ぶ(その市場が有望であると認めているから)
本書の物足りない点は写真がまるでないこと。
図やグラフ、概念図がないこと。
口述筆記、講演を書籍化したのだろうからやむを得ないのだろう。
小倉昌男氏は経営の一線を退いてからも世の中を良くする為に尽力した。
今の日本の多くの経営者に決定的に欠けていると思えてならない。