ラヴクラフト全集 4 [Kindle]

  • 東京創元社
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感想・レビュー・書評

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  •  元ネタとしてはよく知っており、いくつかの作品も読んだことがあるが久しぶりにキチンと読み返したいと思い手に取ってみた。
     今回は科学的な物語を集めたとあって、SF的な読み方をしても楽しい本。とくに宇宙からの色の現実的非現実な恐怖を併せ持つ恐怖が迫り来るも逃げられない緊迫感、狂気山脈の正確な南極探検から急転直下して恐るべき事件が巻き起こる展開が楽しかった。狂気山脈については魅力はそれだけではなく、古のもの達の生活や歴史が詳しく書き出されることで親しみや歴史的な面白さも感じられる点であろう。だからこそ最後で恐怖が薄れていた古のもの達をも殺すショゴスや、彼らすら恐れみたものが完全に壊れたもう一つの山脈の向こうの光景という完全なる未知などの、また別の恐怖が出てくるのが迫力があった。またその他でも様々な古代生物の化石や痕跡が見つかるワクワク感や、妙に不気味可愛い白ペンギン の登場なども楽しい。
     他にもピックマンのモデルの滔滔とした語りからじわじわと溢れる幻想恐怖の芸術の迫力、荒削りながら気になる歴史ロマンや科学や物語が伺えるその他のあまり知られていない短編作品なども楽しかった。

  • 本書に収録されている短編より、「狂気の山脈にて」を紹介します。

    南極大陸に探検に行ったミスカトニック大学の隊員たちは、地層の奥から驚くべき生物の化石を発見します。それは「古のもの」と呼ばれる神話の存在で、動物と植物の特徴を併せ持ち、高度に進化していました。しかし、その生物たちは死んでいなかったのです。強風によって分隊が全滅し、唯一生き残ったダイアー教授は、化石の秘密を探るために山脈の奥へと進みます。そこで彼が見たものとは……。

    この話のテーマは、人間の知識の限界と、宇宙の恐怖です。ラブクラフトは、人間が知らないことや理解できないことに対する恐れと畏敬を描き出しています。古のものは、人間の想像を超えた存在であり、彼らの文明や歴史は、人間のそれとは全く異なります。人間は、自分たちが宇宙の中心であると思い込んでいますが、古の神々にしてみれば取るに足らない無力な存在です。

    私は本作を読んで、古のものの文明や歴史に対して興味をそそられました。彼らはどこから来たのか?どんな目的で地球にいるのか?どんな技術や文化を持っているのか?など、知りたいことがたくさん出てきたのです。特に、ダイアー教授が山脈の奥で見たものは、衝撃的でした。

    総評としては、本作は、ラブクラフトの代表作の一つであり、彼の創造したクトゥルフ神話の中でも重要な位置を占める作品と言えます。人間の知らないことや理解できないことに対する恐れと畏敬を感じたい人には特におすすめです。

  • 【収録作】「宇宙からの色」「眠りの壁の彼方」「故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実」「冷気」「彼方より」「ピックマンのモデル」「狂気の山脈にて」「資料:怪奇小説の執筆について」

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