保健室登校 (角川ホラー文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • クラス旅行に運動会、合唱コンクールなど青春の一幕を狂気で味付けした連作短編集。
    端的に言って、頭おかしい。
    物理的に血湧き肉踊る。理不尽で不条理。癖しかない言語・表現センス。句読点はサヨナラだ。

    はっとするような一文や少年少女の繊細な心理描写もあるのに、血まみれの狂気が上から塗りつぶしてくる感じで本当に頭おかしい(褒めてる)息をするように死ぬし殺す。

    ハマる人はハマるんだと思う。なんか癖になる。
    が、は!?となる人も間違いなくいると思う。
    面白かったけど、人に薦めるのをとても躊躇う。

  • 「そういうひがんだ考え方が一番恥ずかしいとこなんじゃないのただでさえ作ってもらってるくせに親に金使わせるよりまず自分の性格から直すべきなんじゃないの友達になりましょうって声掛けてみたわけ自分から」(p25)

    こういう感じの文章が続く。原文ママ。

    分類するならスプラッターホラー。内臓が飛び出たり血が吹き出したりすることは日常茶飯事。

    登場人物や世界の倫理観などすべてがおかしいので、文の意味は理解できても本質的な“なにを言っているのか”は理解できない作品だと思う。
    Twitterによくいる、なにを言っているのかわからない人の文章を読んでいるような気分になる。

    初めのうちはこの読みにくい文とキモい(“気持ち悪い”というか“キモい”、または“キショい”)雰囲気に不快感しかないが、読んでいるとハマってくる。この読みにくい文でこそ、この世界観が表現できているのではないかとすら思う。

    そして驚くなかれ、あとがきまでキモさたっぷりだ。

    運動会のクラスリレーで優勝するために、足の遅い子を次々と怪我させたり殺したりする話があるが、それはかなり現代社会を風刺しているように感じた。

    紙の本はほとんど出回っていないのか、定価の倍から3倍程度の値段で売られている。たまに送料込みで定価くらいの値段のときがあるので、そのタイミングで購入するのがおすすめ。

  • とにかく出来事も描写も過剰。れっきとしたホラー小説で、しっちゃかめっちゃかでスプラッタな事件がよく起きるけど、起こる出来事の怖さではなくその出来事に対する人物の対応の違和感が怖い。
    少しずつの優先順位のずれ、目的意識の肥大化、正しさの行き過ぎとか、普通にありそうな反応が怖い。ありえない状況で、ありがちな態度ありそうな言葉、それが可怪しい。

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著者プロフィール

武蔵野大学在学中の2006年、本作で第13回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞してデビュー。

「2008年 『紗央里ちゃんの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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