「治る」ことをあきらめる 「死に方上手」のすすめ (講談社+α新書) [Kindle]
- 講談社 (2013年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (161ページ)
感想・レビュー・書評
-
最近、私のやりたいことが多くあり、どんどん増えている。しかし、時間が限られていると思うようになった。本当にやりたいことを絞り上げていくことが大切だと思う。そして、もっと生き急ぎしなければならない。友人から、「中村仁一の本がおもしろい」と勧められた。読んで見て、なぜか、生き急ぎしなければならない理由もわかった気になった。
著者は「死に方」は、「生き方」だという。『「死に方上手」は、上手な死に方ということではありません。死ぬまで上手に充実した人生を送るにはどうしたらいいかを、考えましょう』という。
そうだ、毎日が充実した日を送ることが必要だ。
著者は、『近代医学に、過大な期待を抱き過ぎている。「治らないものは治らなくてもよい」と諦め、「治す」ことを諦めて悪あがきを止める』と言い。
「どうせ死ぬなら、がんがいい」ガンの場合は、死ぬ時期が近未来に確定したことを意味する。それまで時間があるので、身辺整理ができる。
なるほど。身辺整理ができる病気というのは、確かにガンだ。
年をとれば、あちこち具合が悪くなる。それと上手に折り合いをつけながら生きてみせる。
がんは老化である。ガンの親玉の幹細胞は、平素休眠状態にあり。滅多に分裂しないので、抗がん剤は手も足も出ない。抗がん剤でなおる白血病とか悪性リンパ腫などのガンもあるが、幹細胞をやっつけなければ、同じだ。乳がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんなどの幹細胞が見つかっている。がんに対して、積極的攻撃的な治療をしなければ、痛みに苦しまない。がんを中途半端に痛めつけるので、痛みが出る。
平均寿命は、1947年には男が50歳、女が53歳。1992年には男が76歳、女が82歳。2021年には男が81歳、女が87歳となっている。医学、薬学の進歩、衛生思想の普及、上下水道の完備、栄養状態の改善に基づく体位、体力の向上などが寄与している。
確かに、人生50年という現実は、私が生まれたときだった。それがこんなに長生きしている。
結局、高血圧や糖尿病は治らない、縁を切ることができない病気である。
『生きものは繁殖を終えたら死ぬ。これは自然界の掟である』
健康というのは、手段であって目標ではない。
老いるということを、正面に見据えて生きることが、本当に必要だ。
仏教では、「独生、独死、独去、独来」という言葉があるそうだ。『一人を生きる、一人で生きる』
その考えからいえば、『自分でできることは自分でする』という生活スタイルだ。
われ、足るを知る。欲張って生きてもしょうがない。南洲翁の「子孫のために美田を残さず」は、いい言葉だ。一人で生きるとは、そういうことだ。『こだわらない。とらわれない』というのは、老人の心境なのだね。死ぬことも、尊厳に関わることだ。チューブに繋がれて、死ぬのは惨めだ。余分な延命はいらない。人間は、100%死ぬのだから。自然に死ぬとは、自然の成り行きに任せることだ。本書によって、『死する』の定義が明確化した。何よりも毎日を充実させることに全力を挙げることが、生き抜く極意であることを知った。『大往生したけりゃ医療と関わるな』は、名言である。詳細をみるコメント0件をすべて表示