ヴィクトリア朝の性と結婚 性をめぐる26の神話 (中公新書) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 下半身からみたビクトリア朝時代の文化・風俗。下世話なゴシップ感ありつつも、近世から近代へと移り変わる狭間の時代性がわかって面白い。やはり現代とはいろいろと価値観が違う。

    そんななかで、ぜんぜん変わってないなあと思ったのがここ。
    「勤勉と倹約の精神で階級の梯子のさらに上を目指すのが中流階級の身上だが、その野心の背中にはよく「成功しないかもしれない恐怖」が貼りついていた」
    当時の中流階級なんて今の感覚からすれば超がつくエリートではあるが、こういう上昇志向とそうでないことへの恐怖という価値観は現代に通じるし、かえって強化されているかもしれない。大企業で出世街道を邁進するのも、イケてるベンチャーでぶいぶいいわすのも、そうでないオルタナティブ気取るのも、どの路線であれ煎じ詰めれば中流階級意識の延長以上のものじゃない。成長だ自己実現だバリューだ社会貢献だともっともらしい理由で繕ったところで、中流意識のオブセッションの結果ということに変わりないんだよな。まあ、それが資本主義の原動力といえばそれはそうなんだが。
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著者プロフィール

1938年東京生まれ.東京外国語大学卒業.東京大学大学院修士課程修了.イギリス文学・思想史専攻.成蹊大学教授,法政大学教授,日本英文学会大会準備委員長・編集委員を歴任.現在,法政大学名誉教授,The Jewish Historical Society of England 会員.著書に,『世紀末の知の風景──ダーウィンからロレンスまで』 (南雲堂),『ヴィクトリア朝の性と結婚』『魔女幻想──呪術から読み解くヨーロッパ』(以上,中公新書),『明治の精神異説──神経病・神経衰弱・神がかり』『ユダヤ人とイギリス帝国』(以上,岩波書店)などがある.

「2010年 『ヨーロッパの覇権とユダヤ人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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