ゴジラ(昭和29年度作品) [60周年記念版] [DVD]

監督 : 本多猪四郎 
出演 : 宝田明  河内桃子  平田昭彦 
  • 東宝
3.81
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104084415

感想・レビュー・書評

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  • 多分、生まれた頃にはもうゴジラがスターだった世代の私が観たから行けなかったのだろう。

    本筋は原水爆への優れた批判なんだけど、リアルな銀座の風景を、有名なテーマ曲をバックに、ゴジラが破壊するシーンがカッコ良すぎて頭に入らないのだ。

    また、人間ドラマとしての出来は酷くて、芹沢博士カワイソス、ヒロインの女死ね、としかならない。

  • 怪獣映画としての面白みはないけれど、非常にメッセージ性の高い映画。
    人間ドラマとして観るのがいい。

  •  ゴリラ+クジラ=ゴジラ
     水爆の影響で棲家を追われた超古代生物の怒りが、日本本土を蹂躙する。日本を代表する怪獣映画のスーパーヒーロー、『ゴジラ』の第一作。
     幼い頃、映画館でゴジラの映画を見たことがあるが、あまり面白くなかった。第一作もその頃抱いた感想と根本的には大差のないものだと思う。
     致命的なのがストーリーだ。あまり面白くなかった。ひたすら怪獣が町を蹂躙するのが物語の肝なのだろうが、駆け引きのない戦いなのでつまらない。怪獣映画と言えば『ジョーズ』も有名だが、あちらは戦況の分かり易い人間VS鮫の駆け引きが繰り広げられていたので面白かった。鮫への対抗策が予め立てられており、樽のついた銛で攻撃し、敵の体力を奪うというものだ。最終的にはガスの爆発によってトドメを差したが、どちらが勝つか分からない全力の攻防がとても面白かった。『進撃の巨人』でも巨人にはうなじという弱点があり、立体起動装置によって駆逐可能であることが示されているので、攻防が面白い。だがゴジラに弱点らしい弱点はなく、攻防も敵が巨大過ぎるため、罠を張ったり化学兵器を使ったりと絵的に地味になる。ゴジラの絶対的な優位こそが「神の怒り」的魅力とテーマ性を持つのかも知れないが、面白いとは思えなかった。
     キャラクターに関しては色々な立場の人間が描かれていて面白かった。芹沢は特に眼帯に白衣と実に「秘密研究の科学者」的な姿をしていた。このタイプの走りなのかも知れない。
     ストーリーに関しては前述に加え、実に日本的だった。邦画なのだから当然なのだが、五十年以上昔から変わっていないな、と思うと良いことなのか悪いことなのか判断しかねる。国会での罵詈雑言の嵐や、命懸けで報道しようとする自己犠牲精神、少女聖歌隊を用意するなど、良くも悪くも日本に変化がないことを見せつけられる。
     世界観に関してはゴジラ出現の原因が人間側にあるのが良かった。後述のテーマに繋がっている。敗戦後あまり時間が経っていないせいか、アメリカ軍の介入はなく、当時編成されたばかりの自衛隊が活動している映画でもある。だがあんな化け物が出ておいてアメリカが何も言わないのは違和感があった。
     テーマは「化学兵器の是非」と「自然環境の脅威」だろう。水爆実験をゴジラを呼び起こした根源として否定し、オキシゲンデストロイヤーをゴジラを討つために使われた「善性の兵器」として表現している。これは戦後に作られた映画なので、「原爆批判」も含むのだろう。ゴジラのような人類の敵を討つために兵器は使うべきであり、戦争に使ってはならない。芹沢の死はオキシゲンデストロイヤーの封印と共に、兵器の善性の保護を意味している。だがゴジラの被害に遭ったのが日本国民に過ぎないことを考慮すると、オキシゲンデストロイヤーの善性には幾つも穴がある。日本国民を救うため、という大義名分は、アメリカが世界(アメリカ国民)を救うため核弾頭を落としたという主張と大差ない。また、海にオキシゲンデストロイヤーを使用したことで、近隣に影響は出ないのか、という問題もある。「正しい化学」を主張するには、あまりにも危険な兵器過ぎる。正しく使っても危険物は危険物に変わりないのだ。広島の原発事故も、「正しい化学」の延長線上に起きた事故である。
     自然環境の脅威については、ゴジラが水爆実験を原因に現れ、自然の怒りを体現するかのように暴れ回る様から推察できる。こちらに関してはゴジラがあまりにも無敵なので良く表現できている。だが無敵過ぎるせいで、結局化学兵器でしか太刀打ちできない点が、この映画の瑕瑾だ。「化学の失敗は化学でしか賄えない」という皮肉を題材にしているのであれば、良いテーマ性だが、兵器の善用を説いている以上、組み合わせが悪い。
     映像は当時は最先端だったのかも知れないが、今見ると酷過ぎる。現代の技術でさえ、未来から見れば酷過ぎるのだろうが、正視できない時代の束縛を感じた。特撮が分かり易い。合成や模型がすぐ分かる。特に建築物などの模型が分かり易かったのが致命的だった。『ウルトラマン』も巨大化した後の建築物は模型に過ぎないのだろうが、潰れたり壊れたりする様がクローズアップされる『ゴジラ』では模型っぷりが目立つ。作品中の時代が異なるとは言え、同年公開の『七人の侍』での黒澤明が講じた水溜りに墨を混ぜ血を演出する工夫と比べると、粗末さがある。序盤の敢えてゴジラの姿を見せずに謎の事象により船が襲われる演出は良かった。『ジョーズ』と同じ手法だ。
     台詞に関しては芹沢がただのマッドサイエンティストではない点が窺える台詞、最後の博士の台詞が良かった。ただ音の問題で字幕がないと聞き取り難い台詞が幾つかあった。
     総合的に見て、当時は大人気でも、あまり面白くなかった。時代の面もあるが、ストーリーに難があるのが残念だった。世界観とテーマも、五つ星の完成度でなかったのが惜しかった。ただ自然への畏怖を含んだ日本人の国民性が今でも変わらないことを知るには良い映画である。

    キャラクター:☆☆☆
    ストーリー :☆
    世界観   :☆☆☆☆
    テーマ   :☆☆☆☆
    映像    :☆☆
    台詞    :☆☆☆

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