いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 (モーニングコミックス) [Kindle]
- 講談社 (2014年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (192ページ)
感想・レビュー・書評
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福島第一原子力発電所での収束作業に就いた、作者 竜田一人のルポルタージュ漫画。
竜田氏は2011年の秋、ハローワークを訪れ、月50万円の"福一"の求人票を見つけ応募。
しかし、実際にフクシマで仕事をするまでに、一年も焦らされることとなるのだが、そこまで行き着く過程がブラックだったりなんかもする。
"福一"でのコワイ噂を耳にしたことのある私は、この作業に関わる人は、高額な給料目当てだったり、腹をくくって超危険な世界に飛び込まなくてはならない経済状況で捨て身の覚悟なのかと思っていた。
だから、現場は悲愴感漂い、仕事を嫌々ながらしているのかと想像したが、まったくの逆だった。
職場は至って普通そのもの。
男たちはキビキビ働き、休憩所ではのんびり食事し昼寝をする。
話題はギャンブルや下ネタで笑い、和気藹々としている。
メディアが報じていることは何なのだろうか?
おかしな都市伝説である。
"福一"で皆が同僚に掛けている「ご安全に」という挨拶。
現場へ出向く時に言うこの「ご安全に」は、聞き慣れない呼び掛けだけども、危険な場所へ行く相手を深く思いやっている。
なんだか随分と誤解していた"福一"のこと。
そういえば"福一"と、ついつい言ってしまうけど、現地では"1F"(いちえふ)と言うそうだ。
表題の『いちえふ』は、福島第一原子力発電所の略称の"1F "のこと。
それだと、フロアーの1階みたいで、馴染めないなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
未だ残る瓦礫や倒壊した建築物、そして高い放射線量という異常な状況の中で福島第一原発の廃炉作業を行う作業員の日常を描いている。その作業の様子は周りの異常な状況を除けば普通の現場と変わりない。やるべきことを段取りを踏んでキチンとやる。描き方にも、何かを煽るような表現は一切ない。作者が言うように、これも福島の現実なのだろう。
一方で、最近「美味しんぼ」の「鼻血」描写が騒がれている。「美味しんぼ」の方は読んでいないのでよくわからないが、物事を固定した視点でしか見ないのは危険だと思う。 -
福島第一原発のリアルな仕事がよく分かる、とてもよいマンガでした。
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ある人の、体験を淡々と描いたマンガ。
こういうのが、話題になり資料になることを、それほど、限られた情報しか与えられてないことに、気づくのは、別の本を読んだあと。
⇨チェルノブイリの祈り -
ルポ漫画というジャンルで、原発メルトダウンのことを探してみたら、この作品があった。
実に、リアリズムに基づいた作風で、絵も緻密で丁寧。日本人の漫画絵のこだわりを感じる。
廃炉の作業員という設定で、実際自分で経験したことを描いている。
原発がメルトダウンしたことに、目をそむけずただその情景と状況を描く。
廃炉の作業が、どんなふうになっているかということが実に明確に描かれている。
また、その作業は、なんと下請けで、7次というから、日本のシステムは笑える。
どれだけ、手数料取りの仕組みができているのかとおもう。
日当8000円。あれ、あれ。
40年と言われる廃炉作業。実際は、もっとかかる。
実に楽天的な見通しである。
放射能がなくなるまでには、10万年かかるので、嘘がそこには横たわっている。
そういう中で、明るく作業する作業者たち。
ミリシーベルトの基準があり、1日の限界値、そして」1年の限界値が決まっている。
2012年の作業なので、まだ放射線量が大きい。 -
十年前のJC事故から反省のなかった日本原電にハインリヒの法則が発動し、マーフィーの法則は容赦なかった、崩壊する可能性のあるものが崩壊した、だけのこと/竜田一人とはうまく付けたペンネームで、イチエフ原発廃炉作業内側に潜入取材までしたマンガ家は今のところ他にいない、竜田という駅は近郊にあるが/東京の職安で「原発廃炉の作業員」希望してから、多重下請けの人材斡旋のネットワークに組み込まれ構内作業に就くまで放管手帳と研修…約一年/6次の下請けのそれぞれの承諾書とか(印鑑を預けて)…日々変化する作業に人員が確保されるシステム/1巻では構内の休憩所の運営作業員
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[概要]
全3巻の漫画作品
東日本大震災後、福島第一原子力発電所の復興工事の作業員として働くことを決意した筆者のエッセイである。
工事現場での徹底した放射線管理が詳しく描写されており、復興に時間がかかってしまっていることの理由がそこにみえた。 -
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