キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • シリーズの主人公、或いは作品の中で「語り手」となっているのはマコトである。池袋駅に近い西一番街辺りで小さな果物店を営む母と2人で暮らし、店を手伝い、ストリートファッション関係の雑誌にコラムを寄稿している他方、持ち込まれる相談に対応、色々な事件に巻き込まれながら奮戦という“トラブルシューター”としても少し知られているという若者である。
    作中にはマコトの周辺の人達が登場する訳だが、“レギュラー”という感の人物に<キング>の通り名で知られるタカシが在る。
    <キング>の通り名は、文字どおりに「王様」ということだ。タカシは、池袋一帯のストリートギャングの集まりである<Gボーイズ>の首領なのである。
    この<キング>ことタカシは、マコトとは地元の工業高校の同級生だった。それは作中で時々言及されてもいる。その「高校生であった頃の物語」が、本作『青春篇』である。そして『キング誕生』とあるように、タカシが池袋一帯のストリートギャングの集まりである<Gボーイズ>の首領となるまでの出来事が描かれる。
    物語は、シリーズの各作品で御馴染みな、出来事の振り返り、総括というようなことを思わせる述懐から始まり、マコトの目線で出来事が語られ、末尾にまた述懐という形式だ。本作は、「1冊で1つの物語」という体裁になっている。
    物語は高校2年のマコトとタカシの日常から起こる。授業をサボって、先輩がアルバイトをしているゲームコーナーに行けば、急な事態の連絡を受けた先輩が店を閉めて飛び出して行った。
    方々の繁華街に所謂ストリートギャングの様々なチームが在った。各繁華街では小さなチームが纏まって、他所の繁華街に勢力を拡げようとする動きが在り、池袋への進出を図る新宿のグループが乗り込んで来たというのだ。
    そういう状況の中、池袋の様々なチームを纏め上げようとしていたのが、タカシの2つ年上の兄であるタケルだった。
    本作の物語は、弟のタカシや、タカシの友人であるマコトの前を駆け抜けたタケルの生き様を、タケルの無念を晴らすことになったタカシの行動を、マコトの目線で語ったという内容である。
    1990年代の半ばから後半という辺りに見受けられたような、様々な状況も踏まえた、生き生きとした物語である。そしてシリーズ各作品で感じられる、マコトと<キング>ことタカシとの不思議な、そして強い絆のようなモノの「所以」が明かされる本作である。
    シリーズを知っていれば非常に面白い本作だが、シリーズを然程知らずとも、本作は愉しいと思う。

  • 本編とつじつまが合わないストーリーだったりしますが、キングの過去が深くわかる感慨深い内容になってます。

    個人的には池袋ウエストゲートパークの中で一番読みやすく好きな内容でした。

  • マコトとタカシの高校生時代を書いた話。池袋ウエストゲートパークシリーズで1番面白かった。

  • よかった★

    こんな過去があったとは!!

  • 池袋、氷の王様の誕生秘話。
    クズなガキ達、でも、優しさと強さのお話。
    やっぱり、IWGPだわぁ。

  •  IWGPシリーズでお馴染み、キング崇がどうやってキングになったかという「昔の」お話。
     これ、ドラマ見てないと面白み半減だろうなと思っちゃいますね。著者の方もドラマのキング、窪塚洋介のイメージを拝借しちゃってる様子がありありw。キングの「才能」やマコト(長瀬智也)の「国語力」など、ちょっとご都合主義なところもありますが、ファンとしては許しちゃいます。
     そういえば、全く女っ気がないのも変わってますね。これだとドラマにしたら華がないですねw。
     小説というより、双子の兄弟の造形なんかはマンガの方がウケる話かも知れません。ま、スピード感があったからいいけど。

  • 第1作の前日譚。
    時代設定がちょっとおかしい気もするが、
    まぁタカシの活躍が見られるので良いか。

    このシリーズは完全、古くからのファン向けですね。

  • いまだにキングを窪塚くんで想像しちゃうのですが、そうすると違和感ありありな感じ。
    原作キングはもっと男らしい!!

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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