- Amazon.co.jp ・電子書籍 (274ページ)
感想・レビュー・書評
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神田さんは妄想力というか、なりきり力が群を抜いている。
本書は神田さんのSNSでの書き方と異なり、ナンパでイケイケな若者のブログ風に書かれている。つまり読者を選んでその読者に合わせてお得意のなりきり力で演じきったという感じ。選ばれた読者とは、神田さんの妄想フル回転の文章に酔いしれてあたかも「既に成功してしまった」かのように錯覚してしまう夢見がちな若者たちになるだろう。数百円でそういう気分にさせてくれるのだから効用としてはアルコールのようなものだ。
とは言え、本書に書かれているお金持ちになるための心構えに嘘はないと思う。ただ、重要な事実が書かれていない。コレを読んで成功者の気持ちで不屈の行動を積み重ね続けた人の中で成功者が数%出るかもしれないが、95%以上の人たちがそれでもお金持ちになれないということ。
売り方で売上を多少改善できても、バカ売れにまで到達させようとすると、商品力は必須。それ以前に成功には「統計的には運の要素が50%以上ある」と言われる。これは商品だけでなく、人にも言える。引く手あまたな人気者になった結果としてお金持ちになるからだ。この本には成功者の心構えと値付けと売り込み方にしか触れられていない。自身を磨き、売り物を磨き、自社を、組織力を育み、さらに入ってきたお金を投資に回してさらに大きくしていく流れを機能させないとCFの拡大は難しいだろう。
なお、本書で人生を変えた!くらい絶賛しているフォトリーディングは、眼と脳の機能上、不可能であることが証明されている。でも本書で説明されていた読書の手順としては間違っていない。実際僕もこの手順で読書をしている。ウィークデイで仕事上の躓きを集めて、終末に解決策のヒントを本やWebから探る際に大いに役立っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルの通り自己啓発本。勝間和代が絶賛していたら読んでみた。書かれている「こうするべき」は具体的なのはいいのだが、根拠が薄弱でいまいち信用できない。これを読んで成功した人は、本書の内容が正しいからではなく、本書を信じて集中して取り組めたからではないかと思う。間違った地図でも無いよりマシというやつである。
例えば「目標を紙に書いて、毎晩それが実現したかのように妄想する」というのがある。本書では潜在意識に訴えかけることで、脳が目標を達成するための鍵を自動的に見つけてくれるとある。しかし、ニューヨーク大学心理学教授のガブリエル・エッティンゲンの研究によれば、これは逆効果だ。脳は幻想と現実を区別することが苦手であるため、何かを夢見ると既に達成したのだと勘違いしてしまう。そのため満足してしまい、目標を達成するのにエネルギーを使わなくなってしまうのだという。心理学的に目標を達成する方法は、目標を達成する障害を認識し、それを克服する方法を考えることである。
書かれている内容の全てが間違っているとは思わないし、読むだけでなく行動が大事というのは同意する。しかし統計ではなく経験を根拠に語られると、疑いの目で見るしかなく、行動に移したいと思わない。困るな。