- Amazon.co.jp ・電子書籍 (349ページ)
感想・レビュー・書評
-
第2章までは知の巨人、ドラッカーの生い立ちをまとめており、読み物として面白くなるのはそれ以降の章です。
分岐点となったのは、彼の3冊目の著書、GMの全面協力を得て完成した「企業とは何か」からでしょう。スポンサーであるはずのGMにおもねることなく、企業批判(企業が社会的存在であることの意味を理解しもっとコミットすべき)ともとれる内容はGM幹部を激怒させたともいわれましたが、この公平で歯に衣着せぬ発言が逆に他企業の信頼を勝ち取り、IBMやGEなどからもコンサルティングのオファーを受けることになります。
また、ケーススタディ重視のMBA嫌いでも有名で、「即戦力となる知識が仮にあったとしても、そんな知識は風向き一つで役に立たなくなる」とMBA取得が高い報酬と地位のパスポート化している現状を嘆いている。
また、どんなデータで補強された事実であっても、それは「事実と考えている主観の産物=意見」にすぎず、全会一致ほど危険で異常なことはないと冷徹です。
「英語はすぐれた思考の代用品にはなりえない」と最近、業績のさえない楽天への予言めいた言葉もあります。
米製薬会社のイーライ・リリーの創業の話(末期がんの母親に、医者が「もう助からない、ミラクルにすがるしかない」と言ったのを小さな娘が聞き、なけなしの小銭を握りしめ創業者の薬局の店先で「ミラクルちょうだい」と言った話)など面白エピソードも退屈させません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ビジネス書というより、伝記や哲学書というか。
しかし、人となりの背景を理解することにより、著作の理解がぐっと進む。
以前読んだ(挫折したものもある)著作をもう一度読み返したいと思わせるよい本。