「遺言」 闇社会の守護神と呼ばれた男、その懺悔と雪辱 [Kindle]

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  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • 世の中、それも日本の裏と表をつぶさに描くことが出来るのはかなり限られた人たち、その中でも、何らかの形で葬られる可能性があるといった「ある種の覚悟」を決めた人でなければ無理だろう。それが、死の間際にあったこの田中氏だ。
    特に許永中氏との交流も描かれるが、まさに許永中氏と田中氏はともに日本ではアウトサイダーと言われる部類の人たち、しかし、何をもってアウトサイダーなのだろうか?と許永中氏が執筆した本や田中氏による本書を読むとそう思わざるを得ない。
    色んな意味で考えさせられる本だった。

  • ○引用
    世の中の秩序を守るために遵法精神が大切なことは言うまでもない。だが、法の遵守と人としての在り方がつばぜり合いを起こしたとき、得てして人生ではそんな事態に多々直面するのだが、私は断じて人の道を取る。それが私の価値基準である。法を絶対視する思想とは相いれない自分を、このときはっきりと意識した。

    世の中は大手とか名の通った会社がやることは正義に映るが、正義ヅラをしている人間ほど、疑ってかからなければいけない。実質的な本当の悪と、社会にある程度必要な悪とを、きちんと見極めることが必要なのではないか。

    私には返済不要な奨学金制度を確立させたいという夢がある。

    恨みからは何も生まれない。人への恨みはやがて凝り固まり、根深さを増し、人を恨むことが人生のようになってしまい、まともではいられなくなる。私はそういう人をたくさん見てきた。だから私は自分を陥れた人間を恨まぬよう、刑務所の中でも自らを戒め、気持ちをコントロールしてきた。

    日本の再犯率は実に50パーセント以上だという。服役経験があるもののうち、二人に一人以上が再び塀の中に戻ってくる。再犯の大きな原因の一つは受刑者の大多数が取り調べに納得せず、反省をしていない点にあると私は思っている。再犯の防止は刑務所だけの問題ではなく、法曹界全体の大きなテーマなのだ。

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著者プロフィール

田中森一(たなか・もりかず)

 1943年、長崎県に生まれる。岡山大学法文学部在学中に司法試験に合格。1971年、検事任官。大阪地検特捜部などを経たあと、東京地検特捜部で、撚糸工連汚職、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。その辣腕ぶりが「伝説」となり、名声を博す。1987年、弁護士に転身。2000年、石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に逮捕、起訴され、無罪を主張するも実刑が確定。4年8ヵ月の獄中生活を経て、2012年11月に出所。
 著書には30万部のベストセラーになった『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』、共著に『検察を支配する「悪魔」』などがある。

「2013年 『塀のなかで悟った論語 現代人を癒す24の答え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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