- Amazon.co.jp ・電子書籍 (206ページ)
感想・レビュー・書評
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笠井あゆみさんのイラスト目当てに購入したので、初・丸木先生でした。お名前は何度も拝見していたものの、なぜか未読で。文華はぶんげとお読みするのですね。素敵。
戦国時代が舞台で、鬼の子と呼ばれ、忌み嫌われた与六が主人公です。村での扱われ方が尋常ではなくて、でも、フィクションとして書かれているというよりかは、実際にこういう目に遭っていた人がいたんだろうなという痛ましさ。だからこそ、与六が佐助に拾われてからは、エロがうんぬんというよりも、ただただ与六が感情を見つけたり、自分の気持ちを言葉にすることを学んだりする過程で引き込まれます。
佐助も、ただ怖いだけ、ただ強いだけではなく、悲しさもやるせなさもあって、ただ佐助が命の恩人だからと好きになるのとは違うのだと、二人が思いを寄せ合う過程も好きでした。
途中、あれやこれやとあって(ネタバレしたくないので回避)、緊迫したシーンもありますが、とりあえずはハッピーエンドでホッとしました。
一番最後の番外編の佐助のモノローグ。
愛しい者を傷つけたいと思う心は、一体どこから来るのだろうか。
愛おしいと思うだけでは、だめなのか。どうしてそこに凶暴なこことまでもが混じり合ってしまうのか。守ってやりたい、ずっと一緒にいたいという、最初のあの優しい心は、どうして濁ってしまうのか。誰にも渡したくない、閉じ込めてしまいたい、泣かせてやりたいなどと、どうして考えてしまうのか。
これに答えは出ないのですが、でも、この質問を投げかけることが大事なんだろうなと思いました。すごく、心に響く作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表紙の美麗さに惹かれて読んだらまさかのBL
でぼっけえきょうてぇ?!な内容でめちゃくちゃびっくり。
本当にびっくりしました。
冒頭から目眩く岡山の寒村、差別、貧困、悲惨な境遇という素晴らしい欲張りセットでとにかく「読み終わらないでくれ…!」と自分自身に願ったほどの岡山モノっぷりで岩井志麻子、板東真砂子ファンなら楽しめそうな雰囲気でした。
後半は作者の方の作風が出て前半と後半では少し雰囲気が違います。どちらも好きですが。
ねっとりとまとわりつくような濃厚な湿度を感じる文章で濡れ場もめちゃくちゃ良かったです!
主人公の悲惨な生い立ちも相まってとにかく満腹になれる一冊。
とにかく時代物のBLで毎回あった方言無視、受のキラキラネームを見事に回避しぼっけえきょうてぇ風の世界を描いたのはお見事でした。
この本に出会えて良かったハッピー!!!!