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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (206ページ)
感想・レビュー・書評
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笠井あゆみさんのイラスト目当てに購入したので、初・丸木先生でした。お名前は何度も拝見していたものの、なぜか未読で。文華はぶんげとお読みするのですね。素敵。
戦国時代が舞台で、鬼の子と呼ばれ、忌み嫌われた与六が主人公です。村での扱われ方が尋常ではなくて、でも、フィクションとして書かれているというよりかは、実際にこういう目に遭っていた人がいたんだろうなという痛ましさ。だからこそ、与六が佐助に拾われてからは、エロがうんぬんというよりも、ただただ与六が感情を見つけたり、自分の気持ちを言葉にすることを学んだりする過程で引き込まれます。
佐助も、ただ怖いだけ、ただ強いだけではなく、悲しさもやるせなさもあって、ただ佐助が命の恩人だからと好きになるのとは違うのだと、二人が思いを寄せ合う過程も好きでした。
途中、あれやこれやとあって(ネタバレしたくないので回避)、緊迫したシーンもありますが、とりあえずはハッピーエンドでホッとしました。
一番最後の番外編の佐助のモノローグ。
愛しい者を傷つけたいと思う心は、一体どこから来るのだろうか。
愛おしいと思うだけでは、だめなのか。どうしてそこに凶暴なこことまでもが混じり合ってしまうのか。守ってやりたい、ずっと一緒にいたいという、最初のあの優しい心は、どうして濁ってしまうのか。誰にも渡したくない、閉じ込めてしまいたい、泣かせてやりたいなどと、どうして考えてしまうのか。
これに答えは出ないのですが、でも、この質問を投げかけることが大事なんだろうなと思いました。すごく、心に響く作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示