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- / ISBN・EAN: 4988013285781
感想・レビュー・書評
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THE DOUBLE
2013年 イギリス 93分
監督:リチャード・アイオアディ
原作:ドストエフスキー『二重人格』
出演:ジェシー・アイゼンバーグ/ミア・ワシコウスカ
http://magpictures.com/thedouble/
サイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、けして仕事ができないわけではないのに内気で要領が悪く、存在感の薄い若者。同じ職場の事務員ハナ(ミア・ワシコウスカ)に恋しているが本人の前では挙動不審、彼女の向かいのアパートに住んでこっそり望遠鏡で覗き、彼女の捨てたゴミを集めるなどストーカー行為をしている。ある日ハナを覗いていたサイモンは、ハナの上階の部屋の男が飛び降り自殺するのを目撃する。彼もまたハナのストーカーだった。翌日、サイモンの職場に、サイモンそっくりの顔をして名前もそっくりなジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ二役)がやってくる。同じ顔にも関わらず要領よく皆の人気者になるジェームズに、ハナも惹かれ始め…。
原作はドストエフスキーの「二重人格」。未読ながらおよそのあらすじは原作に忠実なようだ。内容的には二重人格というより、邦題にある「分身」=ドッペルゲンガーのほうが近いと思う(ドストエフスキーの原作自体は、二重人格、分身、邦訳によってタイトルが違うようなので、本来の意味は「分身」のほうなのでしょう)。顔はそっくりなのに性格は正反対な男の登場に、内気なサイモンは振り回されることになる。
時代背景がよくわからない感じにしてあるのは良かった。ちょっとノスタルジックな感じがして。単純にドストエフスキーの小説を現代に置き換えるのではなく、ドストエフスキーの時代に想像されていた未来(=現代)のイメージ、つまりレトロフューチャー。ゆえにミア・ワシコウスカのファッションもちょっとレトロ可愛くて、白いレースのワンピースがとても似合っていた。
そして音楽のチョイスがめっちゃ謎。わりと序盤で突然、「上を向いて歩こう」が流れてびっくり。でもまあ、スキヤキソングは海外でもヒットしたし…と思っていたら、なぜか次々繰り出されるグループサウンズ(笑)サイモンが、愛しのハナをジェームズに奪われてしまう決定的場面で流れているのはブルー・コメッツの「ブルー・シャトウ」(笑)音楽が気になって話が入ってこないよ!(日本人以外なら歌詞の意味はわからないだろうしそれほど気にならないのだろうか)
サイコサスペンスだと思って観始めたのだけど、もしかしてこれ笑うとこだったのかな? そういえば序盤のサイモンのサエなさっぷりを現すエピソードはちょっと笑えなくもなかった。通勤電車で座っていれば、ガラガラなのになぜか「そこは俺の席だ、どけ」といちゃもんをつけられ、降りようとしたら大量の荷物を積み込む客に邪魔をされ、なんとか駆け込みダッシュで降車したら鞄をドアに挟まれ、引っ張ったら取っ手だけ外れて鞄は電車と共に行ってしまい、出社すればIDカードがなくて、7年勤めた会社の守衛は彼の顔を覚えていない。
しかしだんだん、あまりにもサイモンが不憫で笑えなくなっていく。食事に行けばウエイトレスにまで馬鹿にされ注文を聞いてもらえず、エレベーターは彼が乗るといつも不調、社内パーティ―では社員なのに不審者としてつまみ出され、仕事の手柄は全部ジェームズに奪われてしまう。そして愛しのハナも。サイモンのキモストーカー行為はいかがなものかと思うが、ジェームズのほうはあちこちの女性に手を出すなかなかのクズ、サイモンを脅迫し次第に彼の人生を侵食していく。追いつめられたサイモンは…。
ドッペルゲンガー、分身もののオチは基本的に一択。想定内だけど、そこに至るまでの不穏さはなかなか良かった。謎のブルー・コメッツ推し(雨の赤坂、さよならのあとで)も含め、日本人ならちょっとしたトンチキ映画としても楽しめるかも。私は結構好きでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
レトロな雰囲気の映像と暗闇の中に人工的に入り込む光の当たるシュールな世界と、不安を煽るような効果音楽に乗せて、一体全体いつの時代のどこの国の、お話なのか、これは夢か現実なのか、、、
あれよあれよと言う間に訳も分からぬままに主人公サイモンと共に私も不条理な悪夢を見続けているような感覚に襲われていき、時折カフェで流れる昭和歌謡がより一層この映画を得体の知れないものにしてくれて面白い。
こういう演出、嫌いじゃない。
でも、好き嫌いははっきり分かれるかも知れない独特な作品。
ドフトエフスキーの原作は読んでいませんが、多分映画のために監督がこんな世界に書き換えたのだろうか?
気を抜くと画面が急に変わり訳のわからないセリフが入りこんだりする。
だからストーリーの内容全てを100パーセント理解した訳じゃないから偉そうなことは言えないが、まさしく不可解な世界に満ちたシュルレアリスム映画としては魅力的な仕上がり。
悪夢のような世界の中に侵食され、次第に壊れていく冴えないサイモンを演じるジェシー アイゼンバーグと、少し気の強そうなハナ役を演じたミア ワシコウスカも適役で彼らだからこそこの作品が独特な世界に仕上がったに違いないと感じた。
因みにハナの着ているワンピースや、会社のコピー機やエレベーターなど、ノスタルジックでいちいち可愛いので美術がピカイチな作品。 -
16/01/17
WOWOWのW座からの招待状にて。
WOWOWセレクトいつも素晴らしいんだけど今回も良かった。
暗くてまぬけでおしゃれで不思議な世界観。いきなり「上を向いて歩こう」がBGMでかかったり。変態ストーカーにはうんざりだけど、ハイセンスな映画です。-
坂本 九さんやブルコメが流れてびっくりでしたね!
この作品の不思議感を盛り上げる演出に功を奏していたと思いました。坂本 九さんやブルコメが流れてびっくりでしたね!
この作品の不思議感を盛り上げる演出に功を奏していたと思いました。2016/01/17
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