情報の非対称性を考えた際、ビジネス上でどのような問題が生じ、これにどのように対処すれば良いのかということに焦点を当てた論考。そもそも、この情報の経済学も完全競争をいかに崩すのかというところを起点にする。今回焦点を当てる完全競争の条件は「ある企業の製品・サービスの完全な情報を、顧客・同業他社が持っている」というものであり、これが崩れているのがいわゆる情報の非対称性という現象である。情報の非対称性が生じている時、情報を持っている主体が価格交渉を図ったり、反対に情報を持っていない主体が合理的な意思決定を行えない場合がある。これはビジネスにおいて多大な損失を生み出しており、経済学では「アドバース・セレクション」と呼ばれる。この現象に対して、スクリーニング、シグナリングという対処法が生み出され、これは今経営学のフロンティアであると言える。
実際に全ての情報を両者が握っているという状況では、必然的に価格などは1点に収束することが想像できるため、いかに情報を操作し、自分にとって有利な交渉を進めるのかということはまさにビジネスの場において起こっている現象であると感じた。