SCP理論の限界性を踏まえた上で、同じく経済学ディシプリンから登場したRBVを説明した論考。RBVではSCPと同様に完全競争の条件を崩すことによって競争優位性を生み出すことを目指しているが、SCPとは着目している条件が異なる。RBVは完全競争の条件の1つである、「製品・サービスをつくるためのリソース(技術・人材など)が他企業にコストなく移動できる」というポイントに着目し、では反対にリソースの移動障壁を高めることができれば競争優位性を生み出せるのではないかと考え、バーニーやワーナーフェルトらによって生み出された。しかし、これに対する批判の声もあり、SCPほどはフレームワーク化もできていないことからも、依然不完全な理論体系であることが分かる。しかし、思考の軸としては有効であり、特にリソースを組み合わせることによって他社の模倣を防ぐという考え方は、今でも応用することができると考える。このように、依然具体的な「処方箋」を提供できていないRBVであるが、入山さんが有効であると指摘しているアクティビティ・システムのように、少しづつフレームワーク化が進んでいる印象はある。このアクティビティ・システムを見ると、楠木さんが提唱した「ストーリーとしての競争戦略」に酷似していることに気がついた。また1つ理論が整理できた。