アルテ 1巻 (ゼノンコミックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 西ヨーロッパ文化ど真ん中、イタリアの歴史や美術に長く親しんでいるかたにも、それらの周辺知識をこれから仕入れたいと思っているかたにもおすすめの作品。

    舞台は16世紀初頭のフィレンツェ。貴族の娘・アルテの家はそれほど裕福ではなく、最近父親が亡くなったばかり。当時のフィレンツェでは女性に相続権がないため、遺された母親とアルテには多いとはいえない遺産でも得るすべがなく、彼女がどこかに嫁ぐことで婚家の支援を得ようとしても、持参金を工面することができない。八方ふさがりの中、アルテは貴族女性のたしなみとして身につけた技術の中でも特に得意だった絵を仕事にしようと、町の工房への弟子入りを思い立ち、行動を開始する。

    「ルネサンス期のイタリアで画家を目指す女性」という設定は完全なフィクションではなく、絶対数が少ないものの実在し、成功した女性画家の作品は現存する。プラウティッラ・ネッリ(1524-1588)やソフォニスバ・アングイッソラ(1532-1625)がその代表例。アルテのモデルは明言されていないが、アングイッソラっぽいなとは思う。

    アルテの絵に対する階級を越えた熱意と努力と飛躍が読みどころだし、フィレンツェをはじめとする16世紀イタリアの風俗や市街、絵画工房の描き込みの精緻さ、さらに、彼女の属した貴族階級のほか、高級娼婦、商人、画工、お針子などの市井の人々の暮らしの描写も緻密。フィレンツェの町は当時も美しかったけれど、衛生面は現代と比べものにはならないほど原始的なので、市井の人々の身なりが小汚く描かれているところも個人的には
    好感が持てる。質感の描き分けは制作時の手数が増えるので、連載のうえでの作画の効率化とどう両立するかの作者のご判断は大変だと思う。

    女性芸術家をはじめルネサンス時代の女性の地位や行動様式については、学術論文や書籍も多く出ているが、どんなものから読めばいいかというのが分かりにくい。そのため、こうしたマンガをきっかけにするのは一つの手軽な方法だが、完成度の高い作品ではあってもやはりフィクションではあるので、描かれた内容(特に主人公をはじめとする登場人物が身分や社会制度上、作品に描かれた行動を取り得るのかという点)については、多少割り引いて考える必要がある。特に大人は混ぜるな危険。

    とはいえ、知識を得ることとエンターテインメントの部分を楽しむということとは両立するので、楽しく読めばよいと思う。私も一気読みしたし。

    本作は既刊19巻。2020年にアニメ化されているので、そちらを視聴してからでも楽しめる。

    (別媒体に掲載した原稿を再構成してアップしました)

  • 中世イタリアの貴族(そんなに裕福ではない)の女の子が主人公です。
    当時の貴族女性の主流とされる生き方を受け入れられず、家出して画家を目指すお話。そうなるきっかけが父親の急逝→母親の矯正(絵をやめて結婚することを考えろ)だったので、もしもお父さんが存命だったなら、画家にはなれずとも絵を描くことを趣味として続けられる人生だったかもしれませんね。

    話の間に挿入されている主人公が出ていった後の家のお話が好きです。女主人としてやらなければならないことをやる。無理やり娘を連れ戻そうとしないのは愛情なのか、それなりの結婚を用意してやるのも難しいから連れ戻しても意味ないからなのか、どっちなのかなぁ。

  • ★4.5。
    絵が綺麗。面白い。
    女性性への偏見やそれと向き合う難しさ、それでも立ち向かっていく勇気、愛とは何か、など、深いテーマを魅力的な登場人物と共によく描いている。

  • 2021年my夏コミ

  • 中世の空気感。自立しようとする心と、恋心の相反。

  • 職として絵を描く。芸術家っていつの時代も本当に大変な仕事なんですね。

  • 才能はあるけれど女で貧乏貴族出身の画家志望者が、世間の荒波に揉まれて四苦八苦しながら成功する話。
    基本はオレツエーなんですが、世間荒波部分が大きくてピンチがやってくる。ほんわか恋心も描かれていてなんとなく次を読みたくなる。絵柄も好きです

  • ルネサンス期のフィレンツェにおける、『貴族』の『女子』であるアルテが『絵師(職人)』になるための物語。
    アルテが強くて弱くて人間臭くてあまりにも好き。
    あとレオ師匠が徐々に絆されてるのあまりにもかわいい。
    時代と文化と今も(おそらく)根強い偏見に対して、柔軟な対応してる人々が格好良く美しく見えるお話。大好き。
    続きも楽しみ。

  • なんとなく読んだけど、、、、おかしな内容に感じたので読んでられなかった。

    主人公は中世イタリア貴族の娘。母から『女は結婚しないと生きられない!』と言われて育てられ、男だらけの職人の世界に飛び込み自立を試みる女性のお話だったけど、、、。

    亡くなった小貴族父親にはアルテしか子供がいない様子だったので、亡き父親の土地や家の所有権はアルテに有る筈では、、。

    (中世ヨーロッパでは資産は子が継ぐので妻ではないと思う。男兄弟がいれば男が多くもらってアルテが貰えるものは少なくなるかもしれないけど、嫡子が1人っ子ならアルテが父親の全財産を独り占めできるのでは、、、。)

    母親が平民出身なら母親は結婚しなくては生きられなかったと思うけど、母親が貴族出身なら母親も実父からの相続がある筈。

    貴族の子のアルテは働かなくても所有している土地から賃料などを受けとり生きていける筈だし、貪欲なら貴族同士で結婚もできるし、興味がなければ一生独身で絵をゆっくり描いて暮らす事ができる筈。。。

    父親が既に亡くなっている事で政略結婚させられる事もないから、正直一番暮らしやすい立場だったのではと思う。

    『女は結婚しないと生きられない!』とか言うなら財産の全くない平民の娘を主人公にしないとおかしいと思った。。。


    どうなんだろう。。。。

  • 初っ端からザックリ髪型切ってくれたアルテがかっこいい。

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著者プロフィール

大久保圭: 2011年に鳴海圭名義で「ハンマーハンマー」(フェローズ18号)でデビュー。2012年からは大久保圭にペンネームを変更。2013年から初連載となる「アルテ」を開始している。

「2020年 『アルテ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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