1年以上前にKindleで購入してたのだけど、なかなか読むことがなくて最近やっと読み終えた。
うーん、なんて言ったらいいのだろう、読むのがしんどくなる一冊だった。読み終えてなんとも言えない気分になる。
これってホンマに難しいと言うか、男性なら誰にでも起こり得る内容なのだと思う。最近は聞かないけど、少し前は痴漢冤罪を仕掛けて金をだまし取る、なんてこともあったらしいし。確か『カバチ!』でもネタになってたと記憶している。
これってどうやったら防げたんだろうか?無理じゃねぇか、としか思えない。何を言っても聞き入れてもらえないし、被害者の言っていることが全てになっているし。
女性の方が被害者になることがはるかに多い、なので基本的には女性の方に寄り添った調査、判断になるべきだ、こういう考えには賛同する。
が、この事件のようにかなり明確に否定されるような状況証拠が出てきているのであれば、そこはもう少し中立な目で見るべきではないか。
それができないところに、人が人を裁く難しさがあるように思える。どうしてもバイアスがかかってしまうし、女性にとって不利な結論になると、世論やマスコミから叩かれる傾向にあるからね。
そういうのも無視して、AI的に感情抜きにして判断する、そういうことも必要になってくるかもしれない。
この家族、周囲を巻き込みながらなんとか無罪になった。その過程でいろんなものを失いながら、でも(失ったものに比べるとホンの僅かなものだけど)得たものもあった。それが果たして良かったのかどうか。
僕だったらどうしただろう、と読みながら考えていた。徹底的に戦っただろうか。無理じゃねぇか、でも不起訴狙いで示談交渉をしたか?罪を認められたか?答えは出ない。
当事者としても、今でも「あれで良かったのか」「本当に正しかったのか」と考えているのではないだろうか。結果として、まだ全てが解決したわけではないだろうし。
それでも、彼らがやったことは無駄にはならないのだろうし、彼らという前例があるからこそ、痴漢冤罪に対する目や反応も、これから少しずつ変わるのかもな、示談が全てじゃない、という方向になるのかもな、と感じたかな。
僕もホンマにいつ当事者になるか分からない。できるだけ当事者にならないように、でももし当事者になったときにどうするかは想定しておかないとあかんなぁ。
ところで、著者は最終的に以前の職場に復帰することになったのだけど。判決が出る前に首を切られた以前の職場に、何度か交渉を行った上で復職しているのだけど。ここがすごく僕としては違和感を覚えた。「よく戻る気になったな」と。
文中にも工業デザイナーとしての誇りや仕事が好きだという気持ちは伝わってきたけど、でも首切られたんだぜ?守ってくれなかった、信じてくれなかったんだぜ?企業としてはある程度はしゃあない面はあるにせよ、そこに戻ってまた同じように仕事できるとは思えない。
僕なら別の職場を探すか、一度(意地で)復職したら、即座に退職して別のところに行くなぁ。もちろん簡単にはいかないだろうけど、でも前のところで仕事するよりは遥かにマシじゃないかと。そのへんは理解できなかった。