暁の珊瑚海 (文春文庫) [Kindle]

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  •  真珠湾とミッドウェーに挟まれ、あまり取り上げられることの少ない戦いだが、史上初の直接見えない相手同士のたたき合いということでエポックメーキングな海戦であった。指揮命令系統の混乱とそれに起因する精度の低い情報、不確実な戦果確認、凄惨かつ混乱する現場と結果を求める中枢の考えの乖離など、日米両国とも手探りで戦いを行っていたのが読み取れる。戦後の国内での報道も、両国とも過大に宣伝していることも似ている。

     少し違うのは、現場では日本軍の方が戦力温存の意見がつよく、米軍の方が積極果敢であることか。これは国力と兵器の信頼性の違いなのか?

  • 本格的に読んだ初めての太平洋戦争小説。,珊瑚海海戦に挑む日本軍・米豪英連合軍の動きがよく分かる。,この海戦はお互いにミスを多くした。情報戦を軽くみていた日本軍の様子が印象的。,,,,◯日本軍の作戦計画が巧緻でしかも複雑になりがちなのは、つねにわずかな兵力で、もっとも効率よく戦果をあげようと腐心しなければならないからである。兵力を集中するには戦線がひろがりすぎ、それらを有効におさめて行くには国力が乏しすぎた。あまりに多く占領地域を獲得しすぎたために、そ,れらを防衛する作戦が多目的とならざるをえないのである。,,◯兵力集中とは、目的を単一化し、そのために全力を傾注することである。,,◯手持ちの攻撃兵力を減少させないために、偵察機の派出を極端にまで少なくする──いつもながらの,日本軍の攻撃偏重主義である。,,◯米機動部隊と異なって、輪型陣という防御形式をとらなかった日本側は、自分の身を、それぞれ単艦で護るという最下策の戦法で空母対決の日をむかえているのである。

  • 電子書籍の小説を初めて買って読んだが、とても読み応えがあった。
    初めての空母同士の戦いで、お互いが迷いながら、間違えながら戦っていく様子が手の汗握らせた。

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著者プロフィール

1941年、大阪市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。専攻・国際関係論。日本文藝家協会会員。
主な著書として、『敷島隊の五人(上下)』『零戦の誕生』『暁の珊瑚海』(以上、文春文庫)、『ミッドウェー海戦(第一部・第二部)』(新潮選書)、『勇者の海』『空母瑞鶴の南太平洋海戦』(以上、潮書房光人社)、評論として『特攻とは何か』『松本清張への召集令状』(以上、文春新書)、『作家と戦争――城山三郎と吉村昭』(新潮選書)がある。

「2020年 『ラバウル航空撃滅戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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