マンガでやさしくわかるU理論 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • オットー・シャマーの本を買ったけれど、読まずに売った。敷居が高く感じられたからだ。

    本書は比較的活字が多く、マンガでわかるというほどマンガは多くない。けれど、敷居は下げてくれた。自分が「食わず嫌い」だったことがわかった。

    コンセプトはロジャーズの共感とかと通じるし、メソッドとしてはパールズのエンプティ・チェア的な要素が感じられた。

    なので、心理カウンセラーのトレーニングとしても、面白いのではないか。最終的なゴールがトランスパーソナル的な、宗教的なところを目指しているようで、このへん危うくはあるけれど、価値を感じた。

    シーイングへの移行は、外部刺激によって起こる、きわめて受動的な状態、という指摘も興味深かった。

  • 人とのコミュニケーションにおいて、自分では気づかない仕草や表情が相手に不快なメッセージを与えている。もう一人の自分がじっくり自分や相手を観察し内省することが大事

  • 「思考を吊るしながら保留を心掛けて観察する」行動は、コーチング手法の一部である。
    セルフコーチングによる自己変容の解説本とも言える内容でした。

    ダイナミックな複雑性 = システム思考で取り扱いを解説している。
    システム思考でも改善しない事柄は、宗教戦争の認識。
    大抵の問題は、当事者の死亡によって問題ではなくなるが、宗教戦争は世代を受け継いでいる。

    感じ取る(センシング)を得るために、対立を再現して、「開かれた心にアクセス」する境地に至る過程によって説明がされている。
    当事者でも部外者でも共通するあり方は「誠実」だと思う。
    「順守」では、感じ取る(センシング)に至らない。

    対立の再現手法は、高度な言語化スキルを要求しているので、実施のハードルは高い。効果的な問いの投げかけがいいように思う。
    ただ、作成したワークシートを元に相手と対話をすることは、実に”誠実”的な行動でオープンなスタイルだと思う。

  •  問題に対する答えが見えない状況で、「どう答えを生み出していくか?」はよくある悩み。このような複雑で絡み合った問題は、これまで誰も解決したことがないし誰も答えを知らない。こうした問題には新たな答え=イノベーションを起こすことで解決が可能になる。
     U理論は複雑な問題に直面したとき、「どうやるか?」ではなく「どう在るべきか?」を導く方法論。

    U理論とは
     C・オットー・シャーマー博士(マサチューセッツ工科大学講師)が考えた、過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人やチームで起こすための原理と実践の手法を明示した理論のこと
     図にすると「U」を描くイメージ。降りるパート「センシング」、底のパート「プレゼンシング」、昇るパート「クリエイティング」のプロセスで構成される。

     問題には2種類あり、ジグソーパズル型とルービックキューブ型がある。
    ジグソーパズル型の問題(煩雑な問題)
    →自分が問題の外からアプローチする。問題解決に向け、論理的に解決していく。問題を分割してもお互いに影響されないため、それぞれ独立した対応ができる。積み上げた分だけ前進できる。
    ルービックキューブ型の問題(複雑な問題)
    →自分が問題の一部になっている。要素が複雑に絡み合っているため、論理的解決が難しい。問題を分割してもお互いに影響されるため、片方に対応し前進させるともう片方が後退する。

     どれだけ手を尽くしても問題が解決しない、前進もしないと感じるものはルービックキューブ型の問題かもしれない。ルービックキューブ型は複雑で問題を特定するのが困難で、これまでのやり方は通用しない。
     このような問題に直面したとき、U理論で考えていくと解決の糸口が見えるかもしれない。

     U理論ではイノベーションを起こすため、行為者のあり方に注目している。ポイントは2つ。「執着を手放す」ことと「可能性の未来を出現させる」こと。
     執着を手放すとは、これまでの自分の価値観、主義、やり方を捨て、ゼロから考えていくこと。こうすると、周囲から必要な情報が入りやすくなり、今まで見えなかったものが見えるようになる。思考が開かれた状態になる。
     可能性の未来が出現するとは、思考が開かれた状態で、アイディアを湧き出させること。「まるで未来から解決策がやって来た」と表現される。降りてきたアイディアは「わけもなく確信がある」もの。それを「なんとなくこうしたほうがいい」と思う方法で進めていく。
     アイディアを進ませるうえで大事なのは、質の高い試行錯誤をすること。体験してみるのが良く、手を動かしてとりあえず形にしてみる。そこから周囲のフィードバックを得ていき、具体化していくと良い。形にすることで違った視点で考えられるようになり、良いアイディアが浮かびやすい。注意点は、当初のアイディアに固執しないこと。常に周囲から学び磨きあげる精神を忘れない。
     
     本書はマンガでストーリーによる具体例を出して説明していた。ただ本書の主要なテーマが人間関係を解決することになっており、自分が期待していた内容ではなかった。自分が期待していたのは、工程で起きている問題をどう解決に導くか?を知りたかった。
     でも本書を読んで、自分が過去に直面した問題も複雑に絡み合った解決策の見えないものだった。そして解決(というより納得を得られた結論)は閃きを伴っていたし、最初から計画的なものではなかったことに気づいた。
     U理論は7つの習慣や人を動かすに似た考えがあると感じた。特に「まず理解に徹し、そして理解される」や「シナジーを創り出す」に似ている。仏教の「執着しないこと」や「瞑想」の考え方も入っていると思う。7つの習慣よりすぐに使える実践的な考え方だなあと思った。7つの習慣でイマイチ効果がない方はマンガU理論が良いかもしれない。

  • 「漫画でやさしく」とあるが、U理論自体が難しいので内容も結構難しい。
    牡蠣は備忘録でまとめる。

    ■ダウンローディング
    過去の経験に基づく枠組みで思考や行動をパターン化している状態。一方がダウンローディングになると、相手もダウンローディングになりやすい。

    保留
    ⑴「思考のお喋り」を眺める
    ⑵何かしらの結論や判断を下さない

    ■観る(シーイング)
    目の前の事象、情報、状況に意識の矛先が向けられ釘付けになる。

    ■感じとる(センシング)
    過去の経験によって培われた枠組みが崩壊し、枠組みを超えた側から今の自分や状況が見えている状態。
    相手の目玉から自分自身を眺める。

    ■プレゼンシング
    自己同一視しているモノに対する執着を手放す。
    センシングに到達し、相手の目玉から自分自身を眺められるようになることで、慣れ親しんだ自分の物事の捉え方との間に”葛藤”が起こる。
    その”葛藤”を手放し、新しい価値観を受け入れると新しい展開が生まれる。
    →可能性の未来が出現する。
    →大きな自己(⇄小さな自己、過去の価値観)に繋がり、開かれた意思にアクセルする。

    ビジネスで言うと例えば、自分のアイデアに固執しないこと。
    →早い段階でプロトタイプを作り、自分自身に意見に固執せずに周りからフィードバックを受ける。出現する未来を形作る。

  • まず漫画と思って買ったら実際は挿絵レベルでしかなく文章メインの本だったのでずっこけ。
    描かれている内容をきっと実践しないんだろうけど、多面的な視点は得られたかもしれない。
    勇気を出して執着を捨て大いなる何かと一体になるという発想は他所でも聞くので興味深い。

  • U理論の入門書としてはこれが一番優しいのかな。
    マンガでわかる、とは言ってもマンガなのはストーリー部分だけで、背景の理論の解説はマンガではないのですが、それでもだいぶ読みやすいです。
    同じく中土井さんが書いている『U理論入門』を先に読んでいたからこその読みやすさかもしれないですが。

    さて、U理論はイノベーションという「構造的に計画のしにくい」ものの背景で何が起こっているのかを体系化することを試みている理論な訳ですが、先日読んだ『世界の経営学者はいま何を考えているか』で語られる「世界(アメリカ)の経営学は統計的な事実にベースを置く方向に進んでいる」という流れとは一線を画するもののようにも感じます。

    統計的な手法の問題点として、あくまで統計は「平均」の考えに基づいた考え方であって、”他と違うからこそ”業績を上げている企業がなぜそのような業績を上げられるのかは統計的な分析のみからは明らかにしきれない可能性が指摘されていました。その点を補う研究としてケーススタディ的な研究の充実が一つの可能性として提示されていたけれど、U理論もそこら辺を補いつつ理論化していく試みなのかもしれないなと感じました。

    そんな風な社会全体の中での経営理論の発展や事象の分析も楽しみではありますが、U理論的な視点の持ち方はむしろ自分の日々の生活の中でこそ大切にしたい。自分や自分の感情を宙ぶらりんで客観視する感覚、忘れずにいたいものです。

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著者プロフィール

オーセンティックワークス株式会社 代表取締役、株式会社ミライバ 取締役、社団法人プレゼンシングインスティチュートコミュニティジャパン 理事、特定非営利活動法人 日本紛争予防センター 理事。
広島県呉市出身。同志社大学法学部政治学科卒。リーダーシップ・プロデューサー。エグゼクティブコーチング、プロセスコンサルテーション、グループファシリテーション、ワークショップリードなどの個人・チーム・組織の変容の手法を組み合わせ、経営者の意思決定支援、経営チームの一枚岩化、理念浸透、部門間対立の解消、新規事業の立ち上げなど人と組織にまつわる多種多様なテーマを手掛ける。
過去携わったプロジェクトは食品メーカーの理念再構築、業績低迷と風土悪化の悪循環が続いていた化粧品メーカーのV字回復や、製造と販売が対立していた衣類メーカーの納期短縮など100社以上に及ぶ。アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)とその他2社を経て独立。2005年よりU理論、2017年より成人発達理論の日本における啓蒙と実践にも携わり、現在に至る。

「2019年 『図解入門ビジネス 最新 U理論の基本と実践がよ~くわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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