- Amazon.co.jp ・電子書籍 (255ページ)
感想・レビュー・書評
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人とのコミュニケーションにおいて、自分では気づかない仕草や表情が相手に不快なメッセージを与えている。もう一人の自分がじっくり自分や相手を観察し内省することが大事
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「思考を吊るしながら保留を心掛けて観察する」行動は、コーチング手法の一部である。
セルフコーチングによる自己変容の解説本とも言える内容でした。
ダイナミックな複雑性 = システム思考で取り扱いを解説している。
システム思考でも改善しない事柄は、宗教戦争の認識。
大抵の問題は、当事者の死亡によって問題ではなくなるが、宗教戦争は世代を受け継いでいる。
感じ取る(センシング)を得るために、対立を再現して、「開かれた心にアクセス」する境地に至る過程によって説明がされている。
当事者でも部外者でも共通するあり方は「誠実」だと思う。
「順守」では、感じ取る(センシング)に至らない。
対立の再現手法は、高度な言語化スキルを要求しているので、実施のハードルは高い。効果的な問いの投げかけがいいように思う。
ただ、作成したワークシートを元に相手と対話をすることは、実に”誠実”的な行動でオープンなスタイルだと思う。 -
問題に対する答えが見えない状況で、「どう答えを生み出していくか?」はよくある悩み。このような複雑で絡み合った問題は、これまで誰も解決したことがないし誰も答えを知らない。こうした問題には新たな答え=イノベーションを起こすことで解決が可能になる。
U理論は複雑な問題に直面したとき、「どうやるか?」ではなく「どう在るべきか?」を導く方法論。
U理論とは
C・オットー・シャーマー博士(マサチューセッツ工科大学講師)が考えた、過去の延長線上ではない変容やイノベーションを個人やチームで起こすための原理と実践の手法を明示した理論のこと
図にすると「U」を描くイメージ。降りるパート「センシング」、底のパート「プレゼンシング」、昇るパート「クリエイティング」のプロセスで構成される。
問題には2種類あり、ジグソーパズル型とルービックキューブ型がある。
ジグソーパズル型の問題(煩雑な問題)
→自分が問題の外からアプローチする。問題解決に向け、論理的に解決していく。問題を分割してもお互いに影響されないため、それぞれ独立した対応ができる。積み上げた分だけ前進できる。
ルービックキューブ型の問題(複雑な問題)
→自分が問題の一部になっている。要素が複雑に絡み合っているため、論理的解決が難しい。問題を分割してもお互いに影響されるため、片方に対応し前進させるともう片方が後退する。
どれだけ手を尽くしても問題が解決しない、前進もしないと感じるものはルービックキューブ型の問題かもしれない。ルービックキューブ型は複雑で問題を特定するのが困難で、これまでのやり方は通用しない。
このような問題に直面したとき、U理論で考えていくと解決の糸口が見えるかもしれない。
U理論ではイノベーションを起こすため、行為者のあり方に注目している。ポイントは2つ。「執着を手放す」ことと「可能性の未来を出現させる」こと。
執着を手放すとは、これまでの自分の価値観、主義、やり方を捨て、ゼロから考えていくこと。こうすると、周囲から必要な情報が入りやすくなり、今まで見えなかったものが見えるようになる。思考が開かれた状態になる。
可能性の未来が出現するとは、思考が開かれた状態で、アイディアを湧き出させること。「まるで未来から解決策がやって来た」と表現される。降りてきたアイディアは「わけもなく確信がある」もの。それを「なんとなくこうしたほうがいい」と思う方法で進めていく。
アイディアを進ませるうえで大事なのは、質の高い試行錯誤をすること。体験してみるのが良く、手を動かしてとりあえず形にしてみる。そこから周囲のフィードバックを得ていき、具体化していくと良い。形にすることで違った視点で考えられるようになり、良いアイディアが浮かびやすい。注意点は、当初のアイディアに固執しないこと。常に周囲から学び磨きあげる精神を忘れない。
本書はマンガでストーリーによる具体例を出して説明していた。ただ本書の主要なテーマが人間関係を解決することになっており、自分が期待していた内容ではなかった。自分が期待していたのは、工程で起きている問題をどう解決に導くか?を知りたかった。
でも本書を読んで、自分が過去に直面した問題も複雑に絡み合った解決策の見えないものだった。そして解決(というより納得を得られた結論)は閃きを伴っていたし、最初から計画的なものではなかったことに気づいた。
U理論は7つの習慣や人を動かすに似た考えがあると感じた。特に「まず理解に徹し、そして理解される」や「シナジーを創り出す」に似ている。仏教の「執着しないこと」や「瞑想」の考え方も入っていると思う。7つの習慣よりすぐに使える実践的な考え方だなあと思った。7つの習慣でイマイチ効果がない方はマンガU理論が良いかもしれない。 -
まず漫画と思って買ったら実際は挿絵レベルでしかなく文章メインの本だったのでずっこけ。
描かれている内容をきっと実践しないんだろうけど、多面的な視点は得られたかもしれない。
勇気を出して執着を捨て大いなる何かと一体になるという発想は他所でも聞くので興味深い。 -
U理論の入門書としてはこれが一番優しいのかな。
マンガでわかる、とは言ってもマンガなのはストーリー部分だけで、背景の理論の解説はマンガではないのですが、それでもだいぶ読みやすいです。
同じく中土井さんが書いている『U理論入門』を先に読んでいたからこその読みやすさかもしれないですが。
さて、U理論はイノベーションという「構造的に計画のしにくい」ものの背景で何が起こっているのかを体系化することを試みている理論な訳ですが、先日読んだ『世界の経営学者はいま何を考えているか』で語られる「世界(アメリカ)の経営学は統計的な事実にベースを置く方向に進んでいる」という流れとは一線を画するもののようにも感じます。
統計的な手法の問題点として、あくまで統計は「平均」の考えに基づいた考え方であって、”他と違うからこそ”業績を上げている企業がなぜそのような業績を上げられるのかは統計的な分析のみからは明らかにしきれない可能性が指摘されていました。その点を補う研究としてケーススタディ的な研究の充実が一つの可能性として提示されていたけれど、U理論もそこら辺を補いつつ理論化していく試みなのかもしれないなと感じました。
そんな風な社会全体の中での経営理論の発展や事象の分析も楽しみではありますが、U理論的な視点の持ち方はむしろ自分の日々の生活の中でこそ大切にしたい。自分や自分の感情を宙ぶらりんで客観視する感覚、忘れずにいたいものです。