何を話せばいいのかわからない人のための雑談のルール

著者 :
  • KADOKAWA (2015年12月24日発売)
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  • 私は仲のいい人とおしゃべりするのは好きだが、初対面の人と話すのが苦手だ。
    多くの人がそうではないかと思う。
    私の場合顕著なのは、質問しすぎてしまうこと。

    「会話は聞き役に徹したほうがいい」という基本は理解していて、それが空回りしているようだ。
    出身は?
    大学は?
    学生時代は何を?
    趣味は?
    仕事は?
    と矢継ぎ早に質問してばかりで、相手の答えから話を広げることができず、また無難な質問をしてしまうことの繰り返し。
    「怒涛の質問だねww」なんて女性に笑われたこともあるくらいだ。

    だから、話題を展開させていく技が見つかればいいと思ったのだが、あまりいい答えは見つからなかった。
    連想ゲームでふくらませるとか、○か×の2択にならない聞き方をするとかはわかっているのだけど、うまくいかないんだよなぁ。

    「話の広げ方」よりも「話し方」についての方がページを割いて書かれているのだが、これも結局は相手によって対応を変えなければいけなさそうだ。
    本書にあるいくつかの方法は、「これをあの人にやったら怒られそうだな」という想像ができてしまう。

    たとえば、話術のテーマでよく取り上げられる「オウム返し」。
    相手が「○○なんです」と言ったら「へー、○○なんですね」と返すのがベスト、という話法だ。
    これを私がとある人に同じようにオウム返ししたところ、「だからそうだと言ってるだろ」と怒られてしまった。
    せっかちな人相手には向かない。

    あと、「沈黙は歓迎すべき」という考え方。
    相手の沈黙は、言葉を探して考えている合図だから、こちらが焦って話してはいけないという。
    しかし、相手が本当に考えを巡らせているのならいいが、相手も話しベタで、沈黙を苦痛と感じる人だった場合、逆効果ではないか。

    私の知人にこれを実践している人がいて、沈黙が訪れると絶対に自分から口を開こうとしない。
    私が沈黙に耐えかねて仕方なく話し始めると、ドヤ顔をするのだ。
    どちらも沈黙していたら、それこそ会話が成立しないではないか。
    それに、相手に話してもらった方が楽な人間というのもいる。

    他には、商談ですぐ本題に入るかどうかというのもやはり人によるのではないか。

    とはいえ、本書は抽象論に終始していないのがいいところ。
    先の例も含めて、具体的方策を挙げている。

    一番納得できたのは、声の波長や姿勢、あごの動きを相手に合わせるという方法。
    仕事の場面を思い返してみると、威勢のいい相手に元気良く話しかけて共感を得られた経験がある。
    逆の立場になって考えてみると、私は話すのがゆっくりだから、同じくらいのスピードの人と話すほうがリラックスできる。
    これは万人に共通して使えそう。

    それと、他人の話し方を観察してみること。
    上手い人を参考にするとか、自分が客の立場になって話を聞いてみるとか。

    以前私の会社に来た営業マンが、同じ年齢だからと打ち解けたまではよかったが、最後に「スケジュールが決まったらなるはやで連絡お願いします!」と言い残していったのを見てドン引きしたのを思い出した。

    人の振り見て我が振り直せという考え方は、話術に限らず基本だ。


    読者の経験や話術が求められる状況によって、本書の有用性は変わってくるかもしれないが、普段自分がどういう話し方をしているのか振り返るきっかけを与えてくれると思う。

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著者プロフィール

一般社団法人日本聴き方協会 代表理事
本作が30冊目のコミュニケーション心理著者。

 青森からギタリストを目指して上京するが、夢破れて営業の世界へ。
営業の世界でもコミュ障のため、3年以上、クビギリギリの生活となる。 
しかし、心理学で聞き方の技術を学ぶと、1ヶ月後に全国 No.1セールスに大躍進。
それ以来、30 年以上にわたり、聞き方のスキルを探求し続けてきた聞き方の専門家。
『あたりまえだけどなかなかできない 聞き方のルール (アスカビジネス)』
『「聞き上手」はなぜ給料が高いのか』
『話さなくても相手がどんどんしゃべりだす 「聞くだけ」会話術 ――気まずい沈黙も味方につける6つのレッスン』
など、聞き方スキルを紹介する書籍を多数執筆。
聞き方スキル、雑談スキル、心理スキルをテーマとした研修やセミナーで活躍中。

「2022年 『聞き方の一流、二流、三流』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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