小説 秒速5センチメートル (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 『儚い初恋の味』

    アニメ映画公開の後に新海誠さんが自ら小説化した一冊。映画は未鑑賞ですが、著者の意図に反して映画のラストシーンが切ないという感想が多かったことから、小説版はラストが補完されているそうです。それでも切なかったのですが…。

    ストーリーは主人公・遠野の小学生から大人までの成長を描く3話からなる連作短編。タイトルの「秒速5センチメートル」とは桜の花びらが舞い落ちるスピードのこと。題意からもわかるように、ひとことで言うと儚い。青春物語であるはずなのに暗い。

    遠野のフィルターを通してみる世界は霞がかかっていて、常に"別れ"を意識させられ、胸のどこかに引っかかるような暗さがあります。でも不快ではなく、どこか物悲しくて懐かしくもある。これを初恋の味と呼ぶのかな…。男は引きずるので。

    雪、海、桜。情景描写が美しいので劇場版も見てみくなりました。胸が締め付けられる初恋の思い出と懐かしさにより、センチメンタルな気分を味わいたい方におすすめです。

  • 高校生の時期がかっこよかった ^_−☆

  • 全体的には、切なく救われない


    私のお気に入りは第一話の終盤手前
    中学生の少年が愛しい人に会いに行く道中、トラブルや不運に見舞われる。

    "悪意の塊のような時間"

    少年がそう表現するのも当然で、無力な少年にはあまりにも無慈悲な出来事

    "反射的にその場でうつむいて、歯を食いしばり、とにかく涙をこらえた"

    本当にいたたまれない気持ちになり、胸が締め付けられた。あまりにも苦しくて「これ以上読み進めるのは止めよう」と思ったほどだ。

    誰しも、青春と呼ばれる時期に一度くらい「人生最悪の日」があったと思う
    自分の人生にもそんな多感な時期があったことを思い出させてくれた。

  • 軽めの青春恋愛小説的にサクサク読みつつ、心情表現が優れており、都度都度心が揺さぶられた。

  • 良い気持ち悪さ。共感性羞恥を感じられる良本。どうして真っ直ぐに読むことができないのだろう。

  • 読み進めていくほどに胸が締め付けられる作品でした。

    特に切なかったのは種子島での話。
    澄田の真っ直ぐで純粋な恋心は胸がぎゅっとなる。
    遠野が東京へ行く日、きっともう二度と会えないとわかっていたから告白したのかなと思うと切なすぎて、、


    最後、あかりが既婚者になって再会するなんて、
    なんともやるせ無い結末だなと思いました。

  • 現実の恋愛で起こりうる苦さを全て詰め込んで、美しい情景に昇華させた作品

  • 好きになれない登場人物が紡ぐ、フィクション感の強い恋愛小説
    もしかしたらいつか好きになるかも

    足を運んだ図書館でおすすめされていたため手に取った。
    情景描写が多く、サクサクと進めることができる一方で、どこから面白くなるんだ、という疑問が最後まで解消されなかった。

    主人公が出会う女性のうち、複数人から「あなたのことはすごく好きだけど、あなたが振り返らないから他行きます」というような酷い思いの丈をぶつけられて易々と別れている主人公の考えが読めない(もちろん女性側も気持ちが悪い)。意思はどこへ?主人公は人生に当事者意識がないのではないか、必要なものが抜け落ちてるのではないか、と空想の主人公に説教をしたい気分になった。

    また、主人公が理工系学部で院に進学しない理由も釈然としない。院に行くことはアカデミアに残ることと直結しないのではないか、恋人と別れて就活ができなかったなら院進するのが王道じゃないのか、といった余計な考えがちらついて没頭できなかった。まぁそれはストーリーを楽しめていれば無視できたのだろうが。

    種子島の女の子との関係、対応も嫌悪感を抱くもので読んでいて苦しかった。

    まぁここまで書いたが、読んで好きな人は好きだろうし、嫌いな人は嫌いだと思う。
    私のレビューを見てムキーっとならないで欲しい。ごめんね。

  • 映画は未視聴。新海作品はこれが初。
    親の仕事の都合で転校を繰り返していた少年が出会った少女(or女性)との邂逅の物語。

    三編が収録されているが、いずれも丁寧に書かれている印象を受ける。描写から登場人物の心情を読ませる辺りはさすが映像畑の方だ。(それが当たり前かもしれないが、人物の心情を全て語らせる作品を読んだ後だとありがたみを感じてしまう)

    登場人物に感情移入するには自分は年を取り過ぎているため共感はしなかったが、美しい作品だと感じた。
    また読み終わった後にAmazonのレビューもさらってみたが、自分は映画版の結末のほうが良いなと思った。

  • アニメの印象と違い、自分探しの話だった。
    村上春樹ぽくもあり。
    アニメの新海誠は少し言葉が足りない。

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著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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