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- / ISBN・EAN: 4988126209520
感想・レビュー・書評
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死刑判決を受けた連続殺人鬼フジコ(尾野真千子)。ある日、フジコの娘早起子から、週刊誌編集長水谷(リリー・フランキー)の下にフジコの人生について書かれた原稿が送られてくる。週刊誌記者の高峰美智子(谷村美月)は、早起子の原稿の事実確認のためフジコの半生と未解決の中津区一家惨殺事件を本にするために取材を開始する。 フジコへの面会や関係者への取材で徐々に明らかになっていくフジコの人生。自分が着飾ることにはお金を浪費するが、給食費をろくに渡さない母親に虐待され、給食費を払っていないことをネタにいじめられたフジコ。中津区一家惨殺事件で首に傷を負うも生き残り、叔母の下田茂子(真野響子)に引き取られたフジコ。小学校では、ボス格の女の子に媚びを売ることで生き抜くフジコ。高校では美人の友達と彼氏に媚びを売るフジコ。ボス格の女の子に媚びるために、クラスで浮いていたのにフジコに近づいてきた小阪恵美をフジコが殺害した。高校の時には、自分の彼氏を寝盗った美人の友達を殺害。その後、ろくに働きもしない彼氏、自分を「整形崩れ」と嘲った客やホステス仲間などを、金を奪うため、あるいは衝動的に殺害したフジコ。金のため、幸せになるため、愛されるために、保険のセールス、売春、ホステスをしたフジコ。
だが美弥子は、フジコの周囲で殺人事件が起きる時、必ず保険金の受け取りが行われ、受け取り人が小阪初代(浅田美代子)であることを知る。そして早起子の原稿の意味を美弥子が知った時、驚愕の真実が明らかになる。
真梨幸子のイヤミス小説「殺人鬼フジコの衝動」を、Hulu限定配信でドラマ化。
原作はフジコのみに焦点を当てた描き方だが、ドラマ版では母親とフジコと早起子と美弥子3世代の虐待とトラウマの連鎖のドラマになっている。
刑務所での高峰美弥子がフジコを取材し中津区一家惨殺事件とフジコが起こした殺人事件についての事実確認をするシーンを主軸に、過去と現在が交錯しながらフジコが何故殺人を犯したか、中津区一家惨殺事件の背後にある保険金殺人と天水教の存在が炙り出されるサスペンスミステリー。フジコと美弥子、親子が向き合う中で、忌まわしい連鎖を断ち切り未来に踏み出そうとする美弥子と連鎖を断ち切れないと諦めているフジコの親子同士のせめぎ合い。見た目の美しさに執拗にこだわり整形するフジコと教団のためフジコのように整形する早起子の、優れた適応力はあるが「仮の人格」をその時その時に身につけ愛されようとしているが中身は自分自身の価値観がないおがくず人形のように空虚で病んだ内面。
地上波では出来ない血まみれな殺人シーン、壮絶な虐待シーン。
子供好きで虐待シーンを演じフジコの闇と向き合うのが辛かったとインタビューで語っていた尾野真千子の熱演、忌まわしい血の連鎖を断ち切るためフジコの取材に邁進する美弥子を演じた谷村美月の真摯さが、印象的。詳細をみるコメント0件をすべて表示