- Amazon.co.jp ・電子書籍 (273ページ)
感想・レビュー・書評
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タクシードライバーの人生を聞き書きしたルポ。
元会社社長、
ホームレス同様な境遇に陥ってタクシー会社に救われた人、
俳優から転職したドライバー、
ご主人のタクシー義父に見込まれてタクシー会社を切り盛りすることになったお嬢様、
主婦をまかせた夫とドライバーになった妻、
ブルガリアの貿易会社を築いた元社長ドライバー
などなど…
人の数だけある人生のドラマを丁寧に書き出しています
すぐそばでその人の話を聞いているような…
そんな近さが感じられます
ものすごく丁寧にエピソードを拾って描いているこのライターさんがある意味すごい。
で、あとがきを読んでなんとなく納得
ライターさんの人生も波瀾万丈
だからこそ寄り添ったルポが書けるのかもしれない
全然話が違うけど、
あとがきの夜中の公園の放し飼いの犬の話…
ちょっと笑った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人それぞれ、色んな人生があるのだな、ということ、自分のこれまでの人生なんて本当に平凡なものだな、ということを思い知らされる。
みんなしぶとく生きている。
自分もしぶとく生きたい。 -
2016年(単行本は2014年)。 作者は山田清機。
13人のタクシードライバーに取材した、ノンフィクション。
タクシー業界や業務についてや困った客のエピソードなんかも楽しいのだが、それよりもそれぞれのドライバーの半生の方が興味深い。 半分ぐらいはそんなライフストーリーが綴られています。
職業経験が豊富な人が多いのでそれぞれの体験が新鮮だし、作り物じゃないリアルな生き様が響きます。 世渡りが上手くない人が多いので、自分と重ね合せて深く共感しました。
最後の後書きで著者が自分の人生を語り出したので、おいおいと思っていたら、パニック障害を患った壮絶な記述があったりしてやられた。 正気を失っていく過程が怖いです。 なんて人生なんだろう。
読みやすくて人生の深みに触れられる、素晴らしいノンフィクションでした。
著者である山田清機さんには、これからも沢山本を書いて頂きたいです。 -
素人からしても人間ドラマとして良質な素材だと思えるタクシードライバーを、腕のたつ料理人がウケなど狙わずに料理した、という一冊。筆致は淡々。でも、内容は濃くて重くて、ちょっと切ない。
映像化しても十分面白いんじゃないかと感じるのは、著者の物語展開の巧みさによるところが大きい。初めは遠くから人物像を描いて、少しずつズームインしてゆき、その人物の核心に迫る。読者はこのズームインに引っ張られ、巻き込まれる。この展開が何かとても映画的。
さらに、この本編に続く、著者自身の半生を取り上げた「長いあとがき」がいい。これが本編に勝るとも劣らない味わいで、これだけでひとつの人間ドラマとして成り立っていると言ってもいいくらい。腕のたつ料理人の上質なまかない、か。 -
人付き合いが苦手な人がタクシーの運転手になっていたり、隣にいる人の様に感じたり、共感を呼ぶ一冊。
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ルポルタージュの、見本。人に会って、話を聞く。等身大の、取材相手が現れる。
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2017/2/2