神経ハイジャック ― もしも「注意力」が奪われたら [Kindle]

  • 英治出版
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感想・レビュー・書評

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  • アメリカでの携帯電話使用による交通事故の増加に危機感を感じる人たちが、いかにしてその実態を全国にしらしめようと努力したのか。その様子が、一つの交通事故を契機にして登場人物一日一人を深掘りしながら記載されている。
    それはまるで映画のみている気にさせる。

    携帯電話のメールが運転手の神経をハイジャックしてしまうのだ。

  • 2006年9月、ユタ州の19歳の青年レジー・ショーが2人の命を奪う衝突事故を起こした。原因は、彼が運転中にやり取りしていた携帯メール。(ここで言う「メール」とは「SMS」を指しているのだが、訳者にしたがって「メール」とする)
    本書は、ニューヨーク・タイムズ紙の記者がこの事件を綿密に取材して書き上げた科学ノンフィクションだ。

    登場人物は加害者、被害者、その家族のほかに、弁護士、検事、被害者の支援者など多岐にわたり、抑制の効いたサスペンス小説のようにストーリーは進む。しかも、幼少期に虐待を受けていたなどの暗部を持つ人物がそこかしこに登場するから、話の糸が幾重にも絡まる。
    これだけでも十分読みごたえがあるのだが、そこに最前線の科学者たちが登場し、携帯電話などの情報端末が、脳にどのような刺激を与えているかを迷いつつも明らかにしてゆくものだから、本書の厚みがぐっと増しているし、それこそ本書を科学ノンフィクションと定義した所以だ。

    なぜ人は危ないとわかっていて運転中にメールを読み、返信するのか。他者と社会的につながっていたいという本能があるのは明白だが、それだけではない。本書で紹介されている神経経済学の実験によれば、情報の価値は金銭の価値を上回っていて、メールの返信が遅れれば遅れるほど情報の価値を失っていくと言う。
    こうした研究結果が随所に挿入されながら、事故当時の記憶が曖昧だと言うレジーの頭の中で何が起きていたのかをつまびらかにしつつ、そもそも人間の注意力とはどの程度のものなのか、人間はどこまでマルチタスクが可能なのか、といった疑問に焦点を当ててゆく。

    ながらスマホは良くないと「わかっちゃいるけどやめられない」というのが、実際のところなのだろう。
    しかしながら、自分と同じような思いをする人が増えないよう講演活動を行なって贖罪しているレジーの姿と、現代の脳科学が明らかにした情報端末の脳への作用を眼前に差し出されると、軽々しく「わかっちゃいるけど…」などとは言えなくなる。

  • 交通事故の当事者がどこの高校に通っていてどんなスポーツをやっていたとか、プロローグだけなら許せることが延々と続く凸

    • cyalさん
      と、読書途中で書きましたが、最後まで読めばわかります。途中も必要だったのです。日本では、全ての自転車スマホ野郎に読ませたい。いや、読め。
      と、読書途中で書きましたが、最後まで読めばわかります。途中も必要だったのです。日本では、全ての自転車スマホ野郎に読ませたい。いや、読め。
      2017/07/07
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