終身雇用、長時間労働が競争力につながっていたころ、副業は否定的な目で見られていた。
産業構造が変化した今、従来と同じ価値観にとらわれていては新規事業は生み出せない。(文・Wedge編集部)
・日本では長らく、社員を終身雇用して経験を積ませることで、生産性や競争力を高めてきた製造業が産業の中心だった。しかしモノづくりの現場が新興国に移り、ITによる産業構造の変化が起きたことで、経験の蓄積を1つの優良なアイディアが勝るようになった。
そうした中、注目され始めているのが「副業」だ。
副業に詳しい東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授のもとにも
「経団連所属の大企業の担当者から副業に関する問い合わせが増えている」という。
今年2月、ロート製薬が社員の副業を認める「社外チャレンジワーク制度」の導入を発表すると大きな話題となった。
新しい事業を生み出すには『多様性』が大きなキーワード。
過去の成功体験だけではなく別の価値観が必要だ。
・エンファクトリー(東京都渋谷区)のHPには「専業禁止!!」という言葉が枠囲みで表示されており、強制ではないが社員に副業を持つことを勧めている。
・ヤフージャパンも副業を認めている。
同社で副業を持つ社員の数は数百人に上る。
「社員の面倒を会社が一生みられるわけではない。社員にも個人として色々な経験を積んで準備をして欲しい。会社はその環境を整えるべきだ」(湯川高康人事部長)
・労働法では?
「労働契約から外れた私生活は自由が原則。副業は、本業と競合したり信用を傷つけたりするなど、合理的な理由がなければ禁止できない」
(労働法を専門とする早稲田大学法学部の島田陽一教授より)