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感想・レビュー・書評
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日本各地の地形の成り立ちを紐解くブラタモリ的一冊。海岸線の移動とこれに伴う浸食作用の変化が地形にもたらす影響についてはこれまであまり学んだことがなかったので勉強になった。近畿住みだが、盆地が並ぶ地形の訳を知れたのは良かった。
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地学本2冊目。
プレートテクトニクスが日本の地形に大きくかかわっていると改めて知る。海洋プレートの沈み込む部分で弧状列島ができる理由が、球面のプレートが沈むにとき折れ線が弧状になるからというのは意外かつシンプルで説得力がある。
もう一つの説は、弧の大陸に近くなっているところは、プレートと一緒に沈めなかった付加物が押しているからという説。アリューシャン列島がカムチャッカ半島に接続しているところはハワイから続く火山が食い込んでる。
日本列島の構造もプレートテクトニクスでおおむね説明ができる。太平洋の海溝やトラフに面した側で山があるのは、海洋プレートに取り残された付加物。その背後で平地や盆地、琵琶湖や瀬戸内海があるのはプレートに引きずられて沈降するから。そのさらに奥に山があるのは火山フロント。水と一緒に沈み込んだ海洋プレートがその辺で深さ100kmになりマグマが溶けて火山を作る。
中央構造線はフィリピン海プレートが西北西に斜め方向に押してくるので、横ずれを起こしているところだという。そんなシンプルな理由だったとは。
プレートテクトニクスの次に日本の地形を変えたのは氷河期。氷期と間氷期の海水面の変動がさらに地形を変えた。
本の中ではさらっと書いてあるが、氷河期の気候変動も、7300年前の鬼界カルデラの噴火も、およそ人にはどうにもできない自然現象ということ。鬼界カルデラは南九州の縄文人を全滅させたが、それ以後このような規模の噴火はないため、日本人はこのような規模の火山災害を全く警戒していない。また、対策をとろうとしても、規模が大きすぎて何をどうしたらいいのかもわからない。
しかし、大噴火も大地震も過去のものではなく、いつまた起きるか分からない。氷河期もまた来るという予測がある。
日本は戦後の高度経済成長期がたまたま災害が少ない時代だったので、この時期に育った思想には自然災害のリスクにどう立ち向かうかという発想が貧弱になっている。公共事業はいらない、自衛隊はいらない、強い政府はいらない、そういったリベラルな平和主義が広まってきた。そこに阪神大震災、東日本大震災と続き、自衛隊など今は競争率が高く狭き門。古いものが全ていいわけではないが、自然環境の厳しい土地に住む者として、視野を広く持って将来の日本のあり方を考えることが必要とされている。 -
地理で習った山脈だの平野だのがどんな風にしてできていったのか、その歴史を知ることができた。まとめでも著者が語っているが、実際にその土地を訪れてみたくなった。