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- / ISBN・EAN: 4562474184809
感想・レビュー・書評
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東西冷戦の時代、ハリウッドに吹き荒れた「赤狩り」にもめげず、脚本を書ききった共産党員の脚本家、ダルトン・トランボとその仲間、家族を描く。大変な時代があったんだなあ。しかし当時ほどあからさまではないにしろ、思想統制はいつの時代にもあるかも、とも感じる。
少しの「赤」も許さない当時のアメリカ。そして今ほど物質が豊かでない中、少しでも豊かな社会を目指したい、というトランボ。聴聞の結果服役することに。実名で脚本が書けず、仲間の名前で脚本をかいたり、B級映画会社で怪獣映画を量産して生活。しかしトランボの家はプール付きの家だったのが、さすがアメリカ?
トランボと聞いて、誰? という状態だったのだが、「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出」の脚本家だと知った。「ローマの休日」は実名が使えず友人の名を使用。
映画では1930年代、不況のあおりを受けアメリカでもl共産党員になるものが出た、と始まる。ダルトンは脚本家として映画業界とかかわる中で、大道具やその他様々な役割の、給料の低い人たちもよりよい生活レベルになるべきだ、との考えが示される。
議会での聴聞とか、実写フィルムなども織り込みながら描く。レーガンが俳優組合長として実写フィルムでちょっと出てきた。ジョン・ウェイン、カーク・ダグラスなどは似ている俳優が出演。ジョン・ウェインは赤狩り賛成派、1960年、カーク・ダグラスは「スパルタカス」でトランボに脚本を頼み実名で発表。「スパルタカス」はカーク・ダグラスが製作総指揮を執っているのでそういうこともできるほど俳優ながら実力があったのか、と認識。ケネディ大統領が「スパルタカス」を見て、「いい映画だ」といったことから、赤狩りも緩みだす、という流れ。
2015アメリカ
2023.12.18BSプレミアム詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても見応えのあるドラマでした。往時のハリウッドの俳優や監督が登場し、映画史のトリビアを知る、大変貴重な機会となりました。
でも何が凄いって、映画界から追放されたにも関わらず、変名で脚本を書いて2度もオスカーを獲ってしまうという、トランボの圧倒的な才能。「ローマの休日」を書いたのも彼だったとは。
彼の才能を認め、「スパルタカス」で彼を起用して、世論を逆転させたカーク・ダグラスの振る舞いは素晴らしい。それに引き換え、ジョン・ウェインはクソだな。とにかくトランボの名誉が回復されて良かった!
それにしても、共産主義者が政府を転覆しようとしているとして世論を扇動する様子は、大量破壊兵器を隠しているとしてイラク戦争に突入していくアメリカの姿と重なります。もちろんそんなものは陰謀に過ぎず。歴史がその誤りを証明するわけですが、失われて戻らないものもあるわけで…。
NHK BS「プレミアム・シネマ」にて。 -
赤狩りがハリウッドに及んだことは知っていたが、ダルトン・トランボはこの映画を観るまで知らなった。「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出」はじめ「脱獄」「いそしぎ」「パピヨン」「ダラスの熱い日」等々錚々たる作品。まあ伝記作品なので映画としての出来よりも歴史の勉強になった。奥さん役のダイアン・レインが懐かしい。長女役のエル・ファニングは「ガルヴェストン」でもそうだったがチャーミングな女優さんで印象に残る。
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2017/5/14 脚本家 ダルトン.トランボの半生を描く かなり 興味深い内容で時代背景を感じつつ 脚本家としての天才的なトランボに改めて驚いた作品だった。トランボ役をブライアン.クランストンが とてもいい味だしていたと思う。赤と言われてた共産主義の内容が分からない部分も多かったが、裁判での身の皮仕方が とても上手く流石だなぁと感心した…言動の自由と言いつつ歴史はいつも 本当の言動の自由というものに疑問を感じるが 映画の影響力を とても感じられた。
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全体主義との戦争に勝ったはずのアメリカの暗黒時代。
まるで戦前の憲兵が思想統制していた日本のようだ。
この映画での悪役は派手な帽子の映画評論家おばさんだが、あの時代の本当の悪人は、マッカーシーやフーバーやニクソンなのだが、彼らは映画にはでてこない。(マッカーシーは一瞬ニュース映像ではでるが役としてはでない)
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それぞれがそれぞれの場所で自らが信じるものを守っただけ
情報に操られて真実も知らずに何となく体制側に付くことが多いのは今も変わらないでしょうね
多いから正しくて少ないから間違ってるなんて事はないのに
アーティスト達は不思議なものである程度プレッシャーがある方が素晴らしい作品を作るように思います
制約があるからこそ何とかしよ体制うと思考し多方面から可能性を考え考え閃き磨き上げて最高のものを作る
その努力が出来る事が才能と言うのかも
まだ一度も観た事のない彼の作品が楽しみでなりません。
でわでわ -
本作にもエル・ファニングが出ていた。「ネオン・デーモン」を観たあとだったので驚いた。
ともあれトランボの奮闘ぶりを観た後で、エンドロールの娘について喋っているインタビューを見せられるとたまらなかった。映画界から半ば干されてから父親が書いた脚本をすべて知っていながら、誰にも口外しなかったというくだり。 -
TVにて
アメリカで吹き荒れた共産主義者への弾圧、スパイ探しに映画界も巻き込まれたその歴史をトランボを主人公にして描いている。それと共に、家族の絆支え合う愛に感動した。 -
ハリウッド黄金期、ダルトン・トランボは人気の脚本家だった。
しかし、映画製作関係者の待遇改善を求めていたトランボたちは共産主義排斥運動の標的となってしまう。
自分の名義で作品をだせなくなったトランボは「ローマの休日」の脚本を書きながら友人に渡す。
赤狩りを進める非米活動委員会への協力を拒んだトランボは投獄されてしまう。
これは思想や宗教でブラックリストなどを作るとどういうことになるかという歴史的教訓だなぁ。
出所後のトランボたちがブラックリストにどのように対抗していくかという活動も素晴らしい。
トランボが娘に出していた質問『学校で昼食の弁当を忘れてきた子がいたらどうするか?』が的を得ている。
①自分のを分けてわたす
②働けと言う
③利子をつけてお金を貸す
様様な思想が私たちの中に内在するのが当たり前だからこそ、思想で人を処罰するのは謝りなのだ。