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感想・レビュー・書評
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魔導が禁忌とされてきた北の大国エルミーヌ。本書『魔導の福音』は、エルミーヌで偏見や因習と闘いながら新たな道を切り開こうとする青年カレンスの物語です。カレンスは、エルミーヌの王都にある王立学院で魔導の研究に励んでいましたが、父危篤の知らせを受けて故郷に帰ることになります。そこで彼は、自分の家族や国の歴史に隠された秘密、そして魔導の本質や可能性について知ることになります。カレンスは、自分の運命に抗いながらも、魔導を使うことができる者たちの未来のために奮闘します。
この本は、ファンタジー小説のファンにはもちろん、人間ドラマや冒険物語が好きな方にもおすすめです。エルミーヌの世界観は非常に豊かで魅力的で、魔導や魔物だけでなく、神話や伝説、文化や政治なども細かく描かれています。本書は『魔導の系譜』の続編にあたります。前作を読んでいなくても十分に楽しめますが、前作を読んだ方がより深く物語に入り込めると思います。
この本の主要なテーマは、「自分の信じる道を進むこと」だと私は感じました。カレンスは、周囲から反対されたり妨害されたりしながらも、自分の正義や理想を貫きます。彼は、魔導を使うことができる者たちが差別や迫害から解放されることを願っています。彼はまた、自分の家族や友人、恋人など大切な人たちを守ることも決意しています。カレンスは、自分の選択に迷ったり後悔したりすることもありますが、最後まで諦めません。彼は自分らしく生きることを選びます。
おすすめポイントは、カレンスの成長と人間関係です。カレンスは、物語の中で様々な試練や困難に直面しますが、それを乗り越えて強く優しく成長していきます。彼はまた、自分を支えてくれる仲間出会い、信頼や愛情を深めていきます。カレンスと彼らの関係は、感動的で心温まるものです。
心に残った場面や言葉は、カレンスが父から聞かされた秘密を知ったときです。その秘密は、カレンス自身やエルミーヌ国にとって衝撃的なものでした。カレンスはその秘密を受け入れられるかどうか悩みますが、それはカレンスの人生の指針となりました。
『魔導の福音』は、ファンタジー小説としてだけでなく、人生の指針としても読める一冊です。カレンスの物語に共感したり感動したりすることで、自分の人生にも勇気や希望を持つことができると思います。ぜひ、この本を手に取ってみてください。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
211219 読了
カレンスが差別が正しくないことだと向き合うまで、応援するように読んだ
正しい道を選びたいと思いながら、つい利己的になってしまうカレンスに共感
アニエスの潔いかっこよさ
前作師弟登場シーンは少ないが、信頼し合っている様子がすぐわかり微笑ましい
続きもすぐ読む -
テーマは重く、私たちが考えるべきことでもある。環境による「常識」に縛られていたカレンスの姿の成長は好もしい。
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エルミールの北部のエルー領に住むカレンス・ドナテアは、地方貴族の長男である。リーンベルという美しい妹が一人いる。そして町医者の息子であるサイ。この三人は仲良く成長していく。しかし、カレンスが十六歳の時に、リーンベルが「魔物棲み」だと分かってから、三人の運命は変転していく。リーンベルは魔力を持ったものは神の元に戻せと薬を処置され、カレンスは王都のエルミーヌ王立学院に入学して故郷を離れた。そしてサイは妹を見捨てたカレンスを許せないでいた。