部活があぶない (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 部活動によき思い出を持つ人たちの思いを受け止めつつ、行きすぎた指導で起きた事件、指導が過熱する要因を丁寧に説明し、保護者がブラック部活を変えていく手段についても具体的に触れられている。

    ・戦前もあった部活動が、東京オリンピック(1964)に向けてだんだん軍事訓練的な側面をもつようになったこと
    ・ブラック部活に耐えてきた人が、ブラックバイト、ブラック企業も「そういうものだ」と受け止めるようになってしまうこと

    といった部活動以外の社会的事象との関連についても指摘されており興味深い。

    体罰事件、部活動中の事故のセンセーショナルな報道を受けて、一時的に声を荒げるだけでは状況は変わらない。保護者、教師、学校をただ犯人にするのではなく、一人ひとりが意識をもち、主体的に考えてゆくことが解決に必要なことである。

    子どもの主体性を尊重し、大きな成果を上げたコーチの指導本についても取り上げられており、読んでみたいと思う。

  • 部活のメリット、デメリットあおできるだけ公平に記した著。

    やはりそこで指摘されるのは体罰による指導。

    イマドキと思うかもしれないが、なんと親の要請もあって、体罰はなかなかなくならないらしい。

    柔道においては格闘技なので死亡事故が何件か過去に日本で発生しているが、日本より柔道が盛んなヨーロッパでは死亡事故は皆無というのもいかに日本の部活が異常な状況か、よく分かる。

    更に体罰による指導方法が決して有効でないことは、学説的には、ほぼ間違いないと証明されているらしい。

    特にスポーツの世界では、エビデンスに基づく科学的トレーニングが当たり前の時代において、特に親に未だ自分の若い時代の常識を当てはめてしまうというのも悲しい現象だ。

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著者プロフィール

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学などを経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1993年~96年までジェフユナイテッド市原(現在は市原・千葉)を担当。98年よりフリー。スポーツ及び教育の現場を長く取材。著書に『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)、『部活があぶない』(講談社現代新書)、『左手一本のシュート』(小学館)など。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』をはじめ、ジェフで育成部長等を務めた池上正氏の著書8冊を企画構成した。公益財団法人日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員。

「2023年 『オシムの遺産(レガシー) 彼らに授けたもうひとつの言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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