アパシー 学校であった怖い話1995 vol.4 [Kindle]

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  • 2017年4月21日発売
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  • 風間ゆえの恐怖=風間ゆえの笑い。

    四人目は風間です。
    風間を知らない人にはこいつ一人で一ジャンルを築けるレベルの名物キャラと言えばわかってもらえるかもしれません。
    一言で説明すれば掴みどころのない変人なんですが、今回に限れば嫌味な最上級生で自称金持ちのフェミニストと言ったところでしょうか。

    ゲームと比べて美形に描かれているのはキャラ的に納得しかありませんが、勘違い野郎としての可愛げがなくなった感もあるので痛し痒しかもしれませんね。
    こいつが比較的真面目に、かつ長ったらしく怖い話を語るとこうなってしまうんだって実証されてしまった恐ろしい話がこれ「かぐわしきにほひ」です。

    集会に集められた六人は今回が初対面(※一部例外あり)ということもあって、進行役の主人公を除いて絡むことは少ないのですが風間に限っては結構頻繁にちょっかいを出します。
    主人公は脱線して一向に進まない話への脱力感に襲われることになります。
    終始上から目線とは言え、話術が結構面白いので一応真ん中で箸休めにはなってると思うんですけどね。

    で、この話を語る上で外せないのが今回スポットが当たる「綾小路行人」というキャラです。
    ビジュアル化されたことで人気が出たのか、今回の話とは離れて短編集やPCゲームに活躍の場を広げているのでもしよかったら探してみてください。よし、ノルマ達成。

    そんなわけでこの話は綾小路が出会ってしまった鼻を覆いたくなるほどの理不尽を主題にした話です。
    私も経験があるんですが、言葉に出してしまえば文面を穢すことになってしまうので自重します。
    不快な話ってことで、ちょっと怪談の主旨からはズレるんですが、風間すら少々は同情してくれる通り、読者も共感は出来るかもしれません。
    言い方には気を遣ってしまうんですが、綾小路の受難を思えばそういう配慮を抜きにできる犯罪的な話です。
    本質を言えば己の意志と魂を冒涜されるおぞましい話ともいえるんです。

    他の話は超自然的な現象への恐怖から現実的な恐怖へ移り変わっていく、いわば主題が転倒するプロットが多いのですが、今回に限っては文字通りオチで持っていかれるので怒りの持って行きどころがなくなってしまうのは良かったのか悪かったのか。

    で、あくまで個人的感想ですが綾小路の怒りと憎しみが風間の語りによって、笑いに転じてしまうのがこの話の一番恐ろしいところかもしれません。
    読者とわりとシンクロする茶々入れは後の話にも効いてきますが、あなた真面目に聞いてませんよね。
    たとえこの話が嘘っぱちだったとして。

    本当に鼻で笑うことが出来ますか?

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