読み物としては、ちょっと読みづらい部分もあって途中で挫折しそうになったりしましたが、「新しき村」自体は非常に興味深いです。今から100年前に武者小路実篤が宮崎の田舎に作った「ユートピア」。村人が協力して幸せに暮らす共同体。ほかのどんな団体とも違う、宗教団体でもない、まさに理想郷。今まで数多くの似たような共同体が作られては消えていったし、共同体を守るために個を犠牲にする場合も多く、社会問題になる場合や、親子が引き離されたり、財産を失ったり(とりあげられたり)することもあったが、「新しき村」はそういうのとは全然違う。
最盛期には農業や養鶏で売り上げを伸ばし、村人も増えたし、文化活動も活発だった。
そして100年(本が出版された時点では、もうすぐ100年)。ホームページによると現在埼玉にある「新しき村」に居住している人は1人という超過疎の村だが、たしかに100年たっても存続はしている。(村内会員・村外会員などもいる)。
村がどのような理想をもって建設され、どのような歴史をたどり、今にいたっているのか、とても興味深く読みました。