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感想・レビュー・書評
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天下四国の南に位置する徐の元王様にして現王兄、西の隣国・燕の王女の元種馬(!)にして夫という肩書きを持つ、放浪者にして最強の人たらし、寿白改め飛牙。謎に包まれた北の国・駕を目指す道中で、東の国・越を訪れました。
越は14年に一度災禍に襲われます。屍蛾という巨大な毒蛾が大発生し、国内を渡っていくのです。
前回の襲来から数えてまもなく14年となるこの時、越の王子たちは屍蛾対策を二の次にして、後継者争いにしのぎを削っていました。
他国の王族との関わりを極力避けたい飛牙ですが、巻き込まれ体質はそれを許してくれません。
今回も強引な「ご招待」を受けてしまった飛牙は、「寿白殿下」を取り込もうとする二の宮の思惑すら利用して、屍蛾への対抗策を練ります。命を救う可能性がわずかでもあるのなら、最後まで諦めない。落ちぶれてはいても、そこは天が認めた王の器。果たして飛牙は、迫り来る大厄災から越を救うことができるのでしょうか。
――天下四国の世直し道中なんてものではなく、英雄譚の様相を呈してきました。
多くの命を救っているのはたしかで、尾鰭もついて英雄に祀りあげられていくのですが、飛牙が成し遂げたいのは世直しでもなんでもありません。
助けたいのはふたりだけ。黒翼仙に身を落とした幼馴染の裏雲と、飛牙を救ったために堕とされた天令・那兪という「厄介な翼持ち」たちです。旅の目的は、その一点のみ。ですが行きがかり上、国ひとつをまるっと救った飛牙は、新たな肩書きと共に旅立ちます。
目指すは、天下四国を掌握せんと陰謀を巡らせる駕。
そして……飛牙を助けるために、またしても天令の力を使ってしまった那兪の運命やいかに。詳細をみるコメント0件をすべて表示