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感想・レビュー・書評
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テトリスの権利を巡る攻防戦を描いたノンフィクション。リーダビリティ重視といった感じで読みやすい。
テトリスの誕生から権利ビジネスまで、舞台となる時代はソ連末期であり、その状況が本書で語られる権利争奪戦にも色濃く影響しており、おもしろさに繋がっている。
日本に馴染み深い名前でいえば任天堂もこの物語に大きく寄与している。テトリスの大ヒットは、任天堂のゲームボーイという商品とセットでもある。テトリスのゲーム性はいろんなパズルゲームに姿形を変えて受け継がれているように、ゲームボーイの革新性もおなじくである。本書ではテトリスのハンドヘルド版ライセンスを巡るなかでゲームボーイは現れるが、こちらの大ヒットも言わずもがなである。
さまざまな登場人物が出てくるが、本書の主人公格といえるのは、ライセンスを獲得する為に日本からやってきたロジャースと、テトリス開発者のパジトノフだろうか。このふたりの顛末もよかった。ちなみに、ハッピーエンドである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これもまたスゴイ本だ!
「SHOE DOG(シュードッグ)」も熱かったが、この「テトリス・エフェクト」も更に熱い!
テトリス開発の秘話から、それが世界にどういう経緯で流通していったかの物語。
結局2冊とも共通しているのは、
「ものすごく熱い気持ちを持った人間が、最後まで諦めないで行動した」
ということに尽きる。
なぜがそれが必要なのか?
そういう人間こそが「こいつしかいない!」という協力者を呼び寄せるからだ。
大事を為すのに、一人では決して出来ない。
そのプロジェクトに無心で協力する人間。
しかも能力もかなりの優秀な人間でなくてはいけないのだ。
それが、このテトリスの物語でも雄弁と語られる。
確かにテトリスを生み出したパジトノフは天才だ。
なぜ東西冷戦中のソ連でこんなゲームを発想して、作り上げられたのか?
頭の中身は想像するしかない。
しかし彼一人が世界的大ブームを呼んだ訳ではない。
「SHOE DOG(シュードッグ)」との共通点は、どちらも世界的成功の裏側に、日本企業が絡んでいたこと。
しかもかなり重要な役割として絡んでいる。
当時プロトタイプでしかなかった「ゲームボーイ」。
他にもゲームソフトはあるにも関わらず、なぜ「テトリス」を同梱させることにこだわったのか?
なぜゲームボーイの成功の鍵を、テトリスこそが握っていると読めたのか?
その権利を巡っての、熾烈な攻防戦が本書内で繰り広げられる。
同世代を生きた人間としては、色々と想像をしながら読むと非常に面白い。
(2017/12/29)