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- Amazon.co.jp ・電子書籍 (382ページ)
感想・レビュー・書評
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ナチスはホロコーストの非人道的行為を写真で記録していた。アウシュヴィッツ収容所に関する写真も多く残っている。これらは、ポーランド人収容者で写真家だったヴィルヘルム・ブラッセが撮影し、収容所の部屋に隠し後世に残したものである。
彼は、ナチスへの協力を拒否したため政治犯として収容所に送られた。写真撮影の腕が買われ、収容所で4年にわたって写真係を担当した。彼の生前のインタビューを元に、フィルム越しに見たホロコーストの実像を浮かび上がらせたのが本書だ。
本書に載っている写真の多くには、それぞれのエピソードが添えられている。小綺麗な軍服に身を包んだ精悍な顔つきのナチス将校たち、殴られて口が切れた少女、痩せこけた子供たち‥‥。彼は全ての被写体に最大限の敬意とプロ意識を持って接し、撮影にあたった。いつか彼の写真によって、恐ろしい事実を世界が知ることを信じて。
本書は、ホロコーストの実態を伝える写真記録の意義を浮き彫りにしている。ネトフリックス限定映画「マウトハウゼンの写真家」では、他の収容所でも写真記録を守ろうと命をかけた人々がいたことを知ることが出来る。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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