ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 [Kindle]

  • 英治出版
3.82
  • (26)
  • (20)
  • (24)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 627
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (677ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • M先輩のオススメ本
    組織の在り方のパラダイム進化について書かれた本。
    今まであまり組織論については興味がなかったが、めちゃくちゃ面白く一気に読んでしまった。

    # ポイントまとめ

    ## 組織論の進化の流れ
    1 衝動型組織: ギャング、狼の群れ、対人関係に力を行使し続ける組織

    2 順応型組織: 思いやりが、自己から自己の集団に拡大。中長期計画や、安定した組織構造が作れる様に。絶対的な善悪あり。
    先進国の大半がここ、カトリック協会。軍隊など。

    3 達成型組織: 個人は自由に人生の目標を追求できるべき。物質的世界観。
    成果があるかないかが大事。
    イノベーション、説明責任、実力主義を特徴とする。多くのグローバル企業が例
    影: 物質主義、社会的不平等、コミュニティーの喪失

    4 多元型組織
    あらゆる考えて方は、平等に扱われるべきだという価値観
    トップダウンよりボトムアップ
    不平等の打破には強いが、組織化が難しい。
    家族というキーワード

    5 ティール(進化型組織)
    意思決定の基準が、外的なものから内的なものに移行する。自分の内側に照らして正しいかどうかが重要。
    長所を生かす。

    # ティール型組織の3つの特徴
    1 自主経営(セルフマネジメント)
    2 全体性: 職場でも自己をプライベートと分けずさらけ出す
    3 存在目的: ティール型組織は、それ自身が生命と方向性を持っている。リーダーは、統制しようするのではなく組織の声に耳を傾ける

    ティール組織例
    AES: 電力会社
    ビュートゾルフ: 地域看護師組織
    ESBZ: 学校


    # その他ティール型組織特徴
    1 ホラクラシー
    大きな上下の組織はなく、なるべく全ての権限が個々人に委譲されている。
    別の組織では、自己で宣言した役割に反ってその中での全ての権限を持つ。
    やりたいと思った人がやる。全ての人がオーナーシップを持つ。
    専門家組織はなくべく薄くし、必要に応じて外部顧問を使う

    # 気になるポイント
    2 給料
    360度評価みたいなもので行うみたい。
    宣言との合致をみる?

    3 退職
    合わない人は辞めていく。
    ただ、それは卒業という意味で、悪くないことという認識。その人がもっと合う場所があるはず。


    ## 感想
    ティール型組織のような個々人がオーナーシップの持った組織が、大規模でも実現されていることに驚いたし、あまりこのような組織論を考えてこなかったので目からウロコだった。

    今自身の組織はティール的だが、それは規模が小さいからでもある気がする。
    今後規模を拡大してもティール型組織でありたいと思った。

  • 私は、社内の勉強会や若手の集まりで「アジャイルを実行する組織は、組織体制も組織文化も従来とは異なる。」と言っている。アジャイル界隈の有識者も社内のメンバーも賛同しており、この考えが間違っているとは思っていない。では、具体的にどのような組織がアジャイルを実行する組織なのだろうか。それのヒントを探していたとき、本書『ティール組織』にたどりついた。

    ティール組織は3つのポイントで語られる。
    自主経営: 階層やコンセンサスに頼ることなく、同僚との関係性のなかで動くシステム。
    全体性: だれもが本来の自分で職場に来ることができ、同僚・組織・社会との一体感をもてるような風土や慣行がある。
    存在目的: 組織自体が何のために存在し、将来どの方向に向かうのかを常に追求しつづける姿勢を持つ。

    ティール組織以外にどういう組織構造があるだろうか。アインシュタインの言葉に「問題は、それが起こったときと同じ意識レベルでは解けない」という有名な言葉がある。人類は問題を解決するために、意識レベルを上げ、新たな組織構造を生み出した。ちなみにティールは色の名称で、実際は進化型(ティール)組織である。
    衝動型(レッド): 集団をまとめるために暴力を行使する。短期志向だが混乱に強い。ex) マフィア、ギャング
    順応型(アンバー): ピラミッド型の組織構造でトップダウンの指揮命令により行動する。厳格なルールにより「安定」が最優先される。未来は過去の繰り返しとなる。ex) 学校、行政機関、軍隊
    達成型(オレンジ): 競争に勝ち、利益を生み、イノベーションを目指す。何をするか(What)は経営が決め、どうするか(How)は自由にできる。"従来の企業"と呼ぶときは達成型を指している。
    多元型(グリーン): ピラミッド型ではあるが、文化と権限移譲を重視して従業員のモチベーションを高める。イケている企業はだいたいこれ。

    ある段階がその前の段階よりも「良い」「優れている」というわけではない。むしろ、世界に対処するうえでの「より複雑な」方法なのだ、と解釈する方が有益である。たとえば、多元型組織で働く人は、衝動型組織にいる人では到底できない方法で対立する意見をうまくまとめられるだろう。同時に、どの段階にもそれぞれの光と影、健全な面と不健全な面がある。たとえば、達成型パラダイムに伴う近代化は、それ以前の組織形態では決して成し得なかった方法で地球に害を与えた。

    どのパラダイムも前のパラダイムを内包し、それを超えている。たとえば、達成型パラダイムに基づいて行動するようになったとしても、時と場合によっては順応型や衝動型のパラダイムで行動する能力を持っている。人はある特定の瞬間に、ある一つのパラダイムに「基づいて活動している」ということである。

    本書は進化型(ティール)と達成型(オレンジ)の比較を通して「自主経営」「全体性」「存在目的」の重要性と伝え、複数の先進的な企業を例に、その実現方法について解説している。進化型は、多元型(グリーン)の権限移譲が最大限発揮された状態、かつ、利益を最優先せずに個人の内的な価値判断や社会的な価値を重要視したものである。意思決定の基準が外的なものから内的なものへと移行し自分の内面に照らして正しいかどうか、つまり「この判断は正しそうか?」「私は自分に正直になっているか?」「自分がなりたいと思っている理想の人物は同じように考えるだろうか?」「私はこの世界の役に立っているのだろうか?」を重視する。個人的に興味深いと感じたのが、利益を求める達成型(オレンジ)や多元型(グリーン)よりも結果的に利益が上がってしまうパラドックスを含んでいるところだ。

    進化型(ティール)組織はとても魅力的だが、その変化の過程は外圧的に起こるものではなく、従業員一人一人の意識の変化によってもたらされるものである。指揮と統制におびえる生活をあまりに長く送ったため、上司がいないと生活をうまく調整できない人々がいる。自主経営は楽なシステムではない。だれもが自分の行動とほかの社員との関係の維持に責任を負うし、不愉快なニュースやトレードオフが発生した場合の困難な選択から逃げるわけにはいかない。自分を守ってくれる上司も、責任を転嫁する相手もいないからだ。自主経営の自由に伴う責任を背負いきれない人は、従来型の階層的組織へ去ることを選ぶことが多い。

    他にも紹介したい内容は山ほどあるが、最後まで読んで感じたことを書き残したいと思う。進化型(ティール)組織は、ニュータイプな人材が集まった結果によって生み出されるのだと思う。私が今まで抱いていた「アジャイルを実行する組織は、組織体制も組織文化も従来とは異なる。」は間違っていなかったし、進化型(ティール)組織は答えの一つだと強く感じる。

  • 組織論として参考になる.大学など保守的な階層構造を持つ組織が変革できない問題を,ティール組織のようなボトムアップな組織変革で解決できるのではないかと思う.

  • 『ティール組織』を読み終えた。
    数年前に話題になった組織論に関する本で、前々から読もうと思っていたのをやっと読むことができた。

    この本では、歴史的に現れてきた組織の発達段階をあげて、現在の組織に多い、トップダウン型の組織で、他者との競争に打ち勝ち成功することを目的とする達成型(オレンジ)組織とも、ボトムアップ型で、多様性や平等、文化を重視する多元型(グリーン)組織とも異なる新たな組織形態である進化型(ティール)組織について解説している。

    進化型(ティール)組織の特徴は次の3つである。
    ・自主経営(セルフマネジメント)
    :階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなかで働くシステム。
    ・全体性(ホールネス)
    :職場での役割に応じた自己を演じるのでなく、ありのままの自己をさらけ出して職場に来ようというような気にさせるような一貫した慣行がある。
    ・存在目的
    :組織のメンバーは、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け理解しようとする。

    本の中でも、ティール組織はまだまだ多くないと言われていたが、将来的にこれが組織のスタンダードになっていくのかはまだまだわからないように感じた。
    ただ、SDGsなど、現在ある問題は、従来型の組織の生み出した歪みとも言えるし、解決していくには、まったく違った意識で考える必要はあるかもしれない。
    難しくはあるけれど、この本は、そのためのヒントを与えてくれるところもあると思う。

  • audiobook
     新たな組織モデルについて述べた本。前半では人類の文明の進化に合わせて組織がどのように進化してきたかについて述べており、後半では新たな組織モデルとして見出した進化型(ティール)組織の特徴や移行の方法について述べている。
     ティール組織の具体企業例は知らないものがほとんどで、唯一知っていたのはパタゴニア。本当にあらゆる業種業界でこのような組織形態が実現できるかは疑問が残るし、既存の組織からこの組織形態に移行するのはかなり難易度が高そう。しかし、組織が肥大化するにつれて顕在化する機能別組織や事業部制組織のメリット・デメリットとかをある程度知っていると、ティール組織はかなり理想的な組織形態に映る。同じパーパスを持った人が小規模の組織を構成し、その組織がセルフマネジメントを行えれば、たしかに全員がモチベーション高く働けて成果を出せそう。組織が大きくなった時にこのような組織形態がどのように実現できるかが考えどころ。ITシステムの使いこなしや、間接スタッフ系の仕事の切り出し、組織間の適切な連携のあり方、なんかがキーとなる要素なんかなと想定。
     以下、備忘録。
    ■組織モデルの発達段階
    ・衝動型(レッド): 狩猟の時代にできた最初の組織形態。力や恐怖による支配。自他の区分と単純な因果関係を理解することで、分業が可能
    例) マフィア、ギャングなど
    ・順応型(アンバー): 農業の時代にできた組織形態。規則、規律、規範による階層構造をとる。時間の流れによる因果関係を理解し、計画が可能
    例) 教会、軍隊、官僚組織など
    ・達成型(オレンジ): 工業の時代にできた組織形態。効率的で複雑な階層組織をとる。成果・実力主義
    例) 多国籍企業など
    ・多元型(グリーン): 平等と多様性を重視する家族的な組織形態。ボトムアップで意思決定を行う
    例) コミューン、非営利組織、サウスウエスト航空など
    ・進化型(ティール): 昨今の変化の激しい時代に生まれた組織形態。
    ■進化型(ティール)組織の特徴
    ・自主経営(セルフ・マネジメント): 他者の承認無しに社員が自身で意思決定できる
    ・全体性(ホールネス): 組織内外の自己が一致した状態で、ありのままの自分を出して働ける
    ・存在目的: 社員個人の存在目的と組織の存在目的が一致している

  • カリフォルニアロールが食べたくなった。行間がない吸気を味わった感じだ。ここにはないところがどこかにあるのだろう。両立論的だと思った。

  • 組織は進化させることが出来る。圧倒的なバズワードだったので、マネジメントに興味ある人なら読んだはず。
    超絶うさんくさい横文字組織論なうえに、ティールで成功した会社は超少ないので最初はガン無視してましたが、そもそもティールの意味する「進化」の意味が深い。

    会社や事業、人の「進化」には日々向き合っているつもりでしたが、意外と『組織の進化』に向き合ったことはなかった。組織進化について深く考えさせてもらえた有難い本。

  • OODAと同じくプランを立てすぎないことに注目

  • 拾い読み程度。

    マネジメントの本というより思想的イデオロギーの本の要素が強い。
    おそらく多くの人が持つ、または日常で経験する価値観と比べて非常に先を行っている考え方をしている。
    前提となるのはエゴを超越し、人を出し抜くような競争の意味を見出さない個人である。自己の信念・価値観にもとづき「よく生きる」ことに価値を置き、自分の周囲の世界との一体感を感じることで幸福を感じる。この点は非常に仏教の考え方に近い。
    金銭などの経済的報酬によるモチベーションから完全に離れたこの考え方は主流な経済学の考え方とも全く相容れない。完全に新しい世界を著者は描いている。

    根底にあるのは近代以降の還元主義と競争主義と徹底した管理主義によって仕事というものが人間性を失っているという考えがあるようだ。近代のアンチテーゼとしてのTealと読める。

    AIなどの技術よる機械化・自動化、また監視の強化の方向性との対比で考えると面白い。Tealとテクノロジーは完全に対立するものではないが、機械化しきれない領域において管理・監視の方向をとるか、Tealをとるかという葛藤は生まれそうだ。

    自分の生きるうちにTealが当たり前になる世界を見ることができるのかはわからないが、前提としている個人が多数派になったときにはTealのような組織が当然となるというのは説得力がある。時代の価値観は進んでいくもので、たとえば中世の時代の人たちからすれば法による支配を信じて行動する現代人なんて意味不明だろう。
    この未来への展望は『なぜ今、仏教なのか』とも非常に通じるところがある。

    内容を従来的価値観から表現すると、階層的組織の管理・指示系統と専門的管理部門の排除(規模の経済をあきらめる)、細分化された意義の見えない仕事からの解放、裁量の増加によるモチベーションの増加と生産性向上が要点と思う。

    本書で提案している内容の一部は、本書の中で紹介されている企業以外にも似たような要素が見られると思う。1つにはセル生産方式。細分化された単純作業からより意義の感じやすい作業への転換が共通している。もう1つはかつての日本の製造業。寝食を忘れて開発に明け暮れたようなサクセス・ストーリーに象徴されるような、縦の階層からの管理が緩い中で現場の担当者や下層のマネジャーが組織階層を超えて調整を行っていた頃の実態はTealに近いのではないか。

  • ・既存の組織形態に募っていた漠然とした問いがクリアになった

     ・組織に関する私達の考え方は、既存の世界観による制約を受けているのではないか?
     ・自分の価値観を変えさえすれば、より強力で、魂のこもった、意味のある協働体制を作り出せるのではないか?
     ・階層的なピラミッド型組織は時代遅れのように思われるが、どのような構造なら置き換えられるだろう?
     ・企業のトップだけでなく、社員のだれもが意味のある判断をできるようになるべきだ。それはそうだとしても、そんな仕組みは単に混乱を招くだけではないのか?
     ・組織の存在目的に照らして、あらゆる行動が行えるようになるにはどうすればよいのだろう?
     ・どうすれば高尚なミッション・ステートメントが皮肉に響かなくなるのだろう?

    ・特にハッとさせられたの、以下の部分
     ・イノベーションの行き過ぎ。基本欲求の大半が満たされると、企業はニーズをつくり出そうとする
     ・私達が本当には必要としていない(所有物、最新ファッション、若々しい肉体)が増えるほど幸せになるという幻想
     ・金融的にも生態学的にも持続できない事が、次第に明らかになっている。
     ・成長のために成長を求める段階に来てしまっている。これは医学的に癌と呼ばれる状況である
     ・根本を辿っていくと「我らが刈り取るのは蒔いた種から育った物」、つまり自業自得。

    かなりボリュームのある本書だが、学ぶことは多かった。
    企業が実践するには、課題も多く時間も掛かりそうだが、挑戦する価値を感じた。

全31件中 1 - 10件を表示

フレデリック・ラルーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×