「豊かさ」の誕生(上) 成長と発展の文明史 「豊かさ」の誕生 成長と発展の文明史 (日本経済新聞出版) [Kindle]
- 日経BP (2015年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (325ページ)
感想・レビュー・書評
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2021.10.12購入@amazon、kindle版
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こういう本を読んでいると、現代でそもそもこういう学びを得られること自体の尊さを感じる。
■今のような経済成長は1820年ごろからしかなかった。
勿論それまでの歴史上にも、イノベーションはあったが、その結果が万人にいきわたり、市民が生活の向上を感じられるのは上記年代以降であった
→以下の要素が必要
・私有財産の保証
努力・改善へのインセンティブが発生する、これがないと成長が発生することはない
同時に司法権の確立もマスト条件
・科学的思考力
オープンな環境で反証可能な状態の担保(弾圧がされない状態)が必要
・資本市場
情報の非対称性が少ない状態・安心できる状態での金融市場があることで初めて長期投資が可能になる
・人間を超える労力
蒸気革命による交通の活性化→価格差がなくなる、交換が進む
電信による情報流通のコスト減で知識発明の活用がますます進む
→これらは「制度」が前提で担保され、拡大がすすむ -
「GDP成長率は〇%」といった情報はニュースに多く登場し、現代国家にとって重要な指標の一つであることは間違いない。しかし、一人当たりの豊かさという切り口で分析すると、経済が成長へ舵を切ったのは19世紀のことであるらしい(以外に最近のことですね)。著者は、国家が経済成長へ舵を切るためには、産業革命に見られる技術的進歩の他にも4つ重要な前提条件があると主張している。それが以下の4つ。
1. 私有財産権
2. 科学的合理主義
3. 近代的資本市場
4. 効率的な輸送・通信手段
上巻では上記のそれぞれについて詳細に語られる。経済だけではなく、当時の人々の暮らし・社会の仕組みなど、歴史書/エスノグラフィー的な情報も得られる良書。
その辺を自分なりにブログにまとめてみたので、さくっと理解したい人は見てみて下さい。
https://ctb-j.com/study-notes/economy/economic-growth-101/ -
なぜ19世紀になって技術と経済が急激に発展したのか。近代・現代で繁栄した国とそうではない国は何が違うのか。繁栄するために必要な4要素を提示する。
繁栄するために必要な要素は「慣習法に根ざした財産権」「科学的合理主義」「洗練された資本市場」「輸送と通信の技術の大々的な進歩」であるとしている。これらがそろうことにより経済成長が起き、技術も発展するのだと。
基本的な説明はこの上巻で全て語られる。下巻はおまけ。