無戸籍の日本人 (集英社文庫) [Kindle]

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  • 集英社
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  • 無戸籍の日本人のがなぜいるのか、民法772条の欠陥、無戸籍の人たちが戸籍をとるまでのルポなどが書かれています。

    民法772条(嫡出の認定)…離婚後300日以内に出生した子どもについては離婚前の夫の子と推定する

    この法律により、前の夫との子でない子を産んだ母親は出生届を出せずに結果的に無戸籍の子を生み出してしまっていることが多い。
    年間3,000件に及ぶ。

    著者は自身も子が無戸籍になった経験があり、現在は政治家として法律改正に取り組んでいたり、戸籍をとるまでのサポートをしていたりする方です。

    こんなにたくさんの無戸籍の人がいるなんて考えてもいなかったのでまず驚きました。
    これは、一握りの人というレベルではなく、明らかに法律の欠陥ではないかなと素人でも感じてしまいます。

    そして、この問題は、当事者の無戸籍の子どもは全く悪くないというところがあります。
    前半のルポを読むと、貧困やDVの問題があったり…と、親にも事情があり、そうなってしまっていることが多いことが分かります。
    子のことを最優先で考えて無戸籍になってしまっていることもあるんです。

    本の中に民法改正反対の議員の「親のがんばった恩恵を子が受けることがあるように、負の遺産も子が受けるべき」という考えが書かれていました。
    ある程度はそういう部分があると思いますが、無戸籍という負の遺産は重すぎます…。

    民法772条の問題について考えると、選択的夫婦別姓の議論のときにも感じていた疑問が同じように出てきます。
    家制度ってなんだろうという疑問。
    それを政治家たちは大切にして何を守りたいんだろう?
    私にはそこがイマイチわからない。

    無戸籍の問題も一番弱い存在の子どものこと、別姓の問題も弱い立場の女性たちのことを考えて今の時代にあったものにしてほしいなと考えます。
    法律は弱い立場の人を救うものであってほしい!と願ってやみません。

  • 民主党に政権交代した2009年の総選挙のとき、ちょうど私が住んでいた選挙区で当選したのがこの著者だった。
    当時も期待してたけど、ずっとすばらしい活動を続けてたんだなぁ。

    無戸籍の問題自体は知っていたけれど「市子」をきっかけに読んでみようと本書を手に取りました。
    しかし市子みたいな話がこんなにあるのかと、出てくる一つ一つのエピソードがインパクトあり、かつ法律と政治的な部分で著者がどう動き、調査したかが描かれていてかなり読み応えがありました。

  • サンデー毎日2016年3月13日号 著者インタビュー
    週刊ダイヤモンド2016年3月5日号書評 

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著者プロフィール

井戸 まさえ(イド マサエ)
政治家、元民主党議員
1965年、仙台市生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒業。松下政経塾9期生。5児の母。
東洋経済新報社勤務を経て、経済ジャーナリストとして独立。2005年より兵庫県議会議員を2期務め、2009年、衆議院議員に初当選。無戸籍問題をはじめ「法の狭間」で苦しむ人々の支援を行う。民主党東京第4区総支部総支部長。
「戸籍のない日本人」で第13回開高健ノンフィクション賞最終候補作品に残る(『無戸籍の日本人』と改題して2016年1月刊行予定)。「『クローズアップ現代』“戸籍のない子どもたち”など無戸籍者に関する一連の報道」で2015年貧困ジャーナリズム賞受賞。
佐藤優氏との共著に『子どもの教養の育て方』がある。

「2015年 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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