現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記 (角川ソフィア文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 明治時代初期の1人の日本人が、初めて欧米をみたときなにを感じたのか、よくわかる一冊だ。
    著者の久米邦武は、岩倉使節団に記録編纂係として随行した。海外で見聞きしたものを詳細に記録したものをまとめたのが本書だ。
    序盤に旅したアメリカとロンドンについての記述が豊富なのは、やはり初期に訪れた場所の印象は強く残るのだろうか。同じ人間であることを感じる。もしくは、当時のこの2国の強大さは群を抜いていたのかもしれない。
    著者が宗教についてまとめている部分は面白かった。キリスト教などの宗教に関して著者は、民衆のモラルを高めるという観点で好感をもっている一方で、その聖典、聖書に書かれている内容が荒唐無稽であることは辛辣に批判している。著者には合理主義的な一面があることが感じられたが、当時の日本人の知識層の多くはこのような印象を受けたのだろうか。
    使節団はプロイセンを訪れたとき、なんとかの鉄血宰相ビスマルクの演説を聞いている。文章とはいえ、歴史上の偉人であるビスマルクの言葉をみたときは興奮した。イギリスやフランスなどの先に発展した国を追いかける小国の気持ちに寄り添った内容だった。
    読み終わって、なんだか自分まで世界中を旅したい、世界中のあらゆることを知りたい、そんな気持ちになる本だった。

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著者プロフィール

1839年(天保10)、肥前国、佐賀藩士の家に生まれる。藩校弘道館、昌平坂学問書に学んだ後、明治新政府に出仕。岩倉使節団に記録編纂係りとして随行し『特命全権大使 米欧回覧実記』5冊を編纂。後、歴史学者として帝國大学等で教鞭をとり、近代的実証史学、古文書学の領域を確立した。1931年(昭和6)没。

「2018年 『現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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