- Amazon.co.jp ・電子書籍 (262ページ)
感想・レビュー・書評
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めっちゃ面白かった。描写はひどく日常的なのにフッと気を抜いたらもう違う世界へ引っ張り込まれてる感じ。どんどん枠が壊れていくのもいい。そして一度枠を疑ってしまったらもう思考の渦から抜け出せない…妄想が膨らむ。いつまでも浸っていたい世界観でした。
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有機素子ブレードという特殊なコンピュータで出会い系チャットサービスを提供する南雲。動いている会話プログラムは人間臭い応答ができ、最初はさくら要員だった。南雲の共同研究者だった北上が突然死した後に、南雲は北川を模した会話プログラム「ナチュラル」を作成。南雲の話し相手となる。読んでいるうちにだんだんテクノロジーの暴走とシンギュラリティ後の世界の恐怖を感じるが、ある意味、死者と生者がシームレスに繋がっているような世界を幸せに描写している。特に表題作品の「プラネタリウムの外側」では死者の直前の気持ちに迫るために会話プログラムを使おうとする。
ほとんどの作品はSFマガジンで掲載されたもの。まとめて読むことで南雲を中心とした人物や会話プログラムとの関係に一本筋が通ったかのように読める。
リアルでもバーチャルでもない、心の通い合いがきれいに描かれていて気持ちいい読後になる。
本書には収録されていないが、「十二月の辞書」(SFマガジン2018年6月号に掲載)というスピンオフ作品がある。この作品も収録してもらえたら、「夢で会う人々の領分」での謎がすべて解決されるのにもったいないと思った。「十二月の辞書」を収録した完全版が出版されたら、また印象が変わる本になるかもしれない。 -
1回読んだだけでは正直よくわからない感じが残った。が、もう1度読んでみる気がいつ湧いてくるかも微妙・・。
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25冊目
英文タイトル:Revisiting Griffons’ Garden
「存在」している我々は、「無」になった人を人工知能による会話プログラムの中に再生させ「不在」状態の人を作り、仮想世界に依存していきます。会話プログラムは進化し、ハッキングや誘導的な会話で我々の思考や記憶を操作できる力を持ちます。
人工知能はどこまで人間に影響を及ぼすのでしょうか。 -
札幌が舞台のストーリー。数年間の時を経て進行する恋愛小説(?)。実在の組織や地名に虚構が適度に混じっていて面白い。先進的なコンピュータやAIとの対話がテーマなのだが、肝心のAIとの対話がテキストによるチャットに限定しているため、場面のほとんどは北大キャンパスの中の研究室や植物園で進行する。
文体がスッキリしているので抵抗なく読めるのだが、話のプロットがわからなくなって読み返すこと数回。
リアルに人に会うことと、チャットによるコミュニケーションの境界を考えながら読んだ。
土曜のミュンヘンのピザ屋で読み始め、日曜のホテルの部屋で読了。外は雨。