自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室 [Kindle]

制作 : 白取春彦 
  • 文響社
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感想・レビュー・書評

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  • 考えうる哲学の疑問のほとんどが網羅されていると思う。1章が短いので目次をみて興味のある章を読むだけでも面白い。いろんな哲学者の名前や思想が随所に散りばめられているので、そこからさらに深く掘り下げることもできる。

    その中で気になった文章をひとつ。
    「社会が機能するのは、人々が欲するものが多様だからだ」
    SNSが普及して人々が触れられる情報は多くなった反面、いいねやユーザービューが数値で見えることによって「みんなが選んだもの」に反射的に人々が群がるようになり、欲するものの多様性が損なわれたような気がする。極端に寄りすぎれば災難を招く。たとえその災難を食い止められなくても、立ち止まって自分の頭で考えることはできると思う。

  • 哲学に関して網羅的に勉強したい人、考えたい人向け。

  • この本は読者に「自分で考えること」そのものを与えてくれる。

  • 哲学の本と言うと、哲学史に沿ってかみ砕いた啓蒙書が多いと思うが、本書はいろんなケースごとに、その都度各時代の哲学者を引用している。

    なので網羅的に哲学に詳しくなることは出来ないと思われるが、タイトル通り自分の頭で考えたい人には、知的刺激を与える書となっている。

    哲学の本は仕事で消耗しているとなかなか手に取りづらいと思うが、論理的思考力を鍛えることで仕事力にも好影響があると思われるので、手に取ってみてはいかがだろうか。

  • 哲学の思想が網羅されていて、時々読み返すとよい。

  • 自分の「生き方」というと大袈裟かもしれないけど、自分のスタイルやスタンスについて考えていかなくてはとこの頃よく思わされる。

    人生は選択の連続という言葉は飽きるほど聞いたけど、真剣に考えたことはなかった。
    その選択にはトロッコ問題に代表されるような簡単には選べないものがいくつもあって、自分がそれに出くわすことは想像に難くない。
    その選択に対する自分のスタンスが決まっている人、つまり後悔の無い選択を迷いなく下せる人はどれくらいいるだろうか。
    その選択をする時は多分、じっくり考える時間もないだろうし、自分の思考力が正常な状態でないことも多いだろう。

    哲学を学ぶことはそんな時のために役立つ。自分の考えがブレないために役に立つ。
    優柔不断で考え過ぎだという自覚のある人は触れてみて確実に損はしないと思う。
    逆に、うじうじ考えるのが大嫌いで直感派の人には必要ないかもしれない。
    何が正しいとかは無くて、判断が個人の裁量に任される時の自分の行動の根拠になるのが、自分は何主義か。
    帰結主義(行為がもたらした結果によりそれが正しいか判断)、意図主義(何をしようとしたかにより判断)、利己主義(自分の利益になるかどうかで判断)、利他主義(他の人に利益をもたらしたかどうかで判断)、快楽主義(それが快楽を生むかで判断)、、、
    色々ありすぎて疲れてしまうし、正解はない問題だから、ほっときたくなる。
    でも、考えるのがめんどくて後回しにしているといつの間にか戦場に立って、気づいたら罪のない子供を射撃していることになる。

    自分が考えることを怠ったがために、
    「気づいたら殺されていた」ことより、「気づいたら殺していた」ことの方が恐ろしく感じる。

    哲学勉強して良かった!と感動するような場面に遭遇することはきっとこの先ないだろうけど、これからしていく選択の一つ一つの根底に自分があればいいなと思う。

  • やっぱり15分間哲学教室なので、全体的にさらっと。というか、とにかくいろいろな考えの哲学者がいるんだなということだけはよくわかった。

    言葉を持ち、言葉にすることが全ての始まるのような気がして、言葉を持つことの重要さを感じた。

  • この本を読んで衝撃を受けたこと:
    パナパティコンという円形刑務所は、囚人同士が監視する仕組みだと誤解していた。実際は「看守に見られているかどうか分からない」という状態を保つことで、自分で自分を監視する視点ができるというものらしい。
    この本を読んで実践すること:
    エピクロスの推奨する方法を採用してみる。
    欲しいものの価値を確認する方法で
    「それを手に入れたら、自分の生活はどんな風に良くなるだろう」
    「それがなかったら、今の生活の質がどんなふうに下がるだろう」
    と考える。

  • 2020.08.04

  • これは良書。哲学の書籍はいくつか購入したが、どれもとっつき安いとは言えなかった。それぞれの章が大体15分程度で読めるのでこの邦題をつけたのだろうが、本当にそのぐらいの時間で1章を読み終えることができる。また、オムニバスだと、プラトン、アリストテレス、カント、ハイデガーと哲学者ごとの章立てをする本が多いが、この本では章ごとテーマがあってそこに登場する哲学者は複数いて、時系列や関係性を理解する上でも有機的に知識を得ることができる。端々で、著者のアン・ルーニーさん自身の受け止め方もポロッと書かれたりしていていい。
    哲学って小難しくって嫌だ、と言わず、哲学者が幸いっているから、とうんちくためでなく、これを通しで自分の考えを展開していっていいんだという自信というか納得感を持つことができるでしょう。

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著者プロフィール

アン・ルーニー(ANNE ROONEY)
ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで博士号を取得。ヨーク大学、ケンブリッジ大学で教鞭をとったのち著述業に。歴史・哲学から科学テクノロジーまで幅広い分野の入門書を多数、手掛けている。ケンブリッジ在住。ケンブリッジ大学ニューナム・カレッジのロイヤル・リテラリー・ファンドのフェロー。

「2018年 『自分の頭で考えたい人のための15分間哲学教室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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