賢者の弟子を名乗る賢者 THE COMIC 3 (ライドコミックス) [Kindle]

  • マイクロマガジン社
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感想・レビュー・書評

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  • 世界を見渡すのもいいけれど、彼女たちを何気なしに見つめてみるのも悪くはない。

    二巻の引きより適度な緊張感と余裕を保ちつつ推移する悪魔との戦いからはじまる三巻です。
    バトルシーンが日常とは打って変わって、情報量を絞りつつぞくっとした魅力を放っていていいんですよ。
    トーンを外した白黒重視で目に追えない動きを表現しつつ、コントラストが冴えて大ゴマで容赦なく決める。

    戦場の後方から召喚獣を指揮する戦いとは違い、ミラ本人が格闘に臨む迫力がいいですね。
    意外と隙の多い普段の表情とはまた違った顔を見せてくえる主人公という趣があります。

    で、二巻で呼ばれた戦姉妹(ヴァルキュリア)長女アルフィナに続き、ミラ様旗下のヴァルキュリアシスターズ一斉召喚。小説に先立ってデザインされた七人が勢ぞろいともなればやはり壮観ですね。
    七人姉妹の大所帯となれば、長姉(絶対的なまとめ役)と末妹(コミックリリーフ)が目立つのが世の常のようですが、最近のWEB連載分で単独エピソードも描かれているそうなので、後追いゆえの強みがあるコミカライズでも今後に期待が持てそうです。

    この辺、一気に戦闘画面を華やかにしつつ、話を担うメイン勢を食い過ぎず、ゲスト出演に徹する仕事人と言った風情を感じます。
    原作のよさをしっかり引き出しています。

    あと、あれはなんだったんだってなった、ガレットの一幕がああ、うん、緊張してる最中の一休みだよね、ってしっかり納得できました。
    漫画というメディアでの、場面転換の強みを感じます。

    あと、エメラたち「エカルラートカリヨン」の四人は今後再登場した際も冒険には同行しつつ、本筋(真相)にはあまり踏み入ってこず、一線を引いてくるのですが。
    反面、日常ではしっかり親身に接してくれているので全く埋没感はなく、旅のよさを謳った作風を代表する良き隣人として動いてくれていました。

    漫画オリジナルの番外編二本は、ちょっと踏み入り過ぎかなーって思いつつも、意外な一面を描いていたりで面白かったです。
    常識人枠と思っていたエメラの化けの皮が剥がれて、リアクションが激しくなっているのは賛否あるかもしれませんが、好きです。

    彼女たちとのやり取りを通して、戦いにおいて遥か先を行く「賢者の弟子」にして愛でられる「妹分」って主人公の両面性をしっかり堪能させていただきました。
    それでいて、重要な情報も握っており主人公たち元プレイヤーという同郷の団長「セロ」への橋渡し役も担うので、シナリオ進行としてスムーズに繋げてきて満点です。

    本筋を進めるのに必要な情報を押さえていると思う一方、取捨選択されたエピソードもありますが、漫画ならではのウリは続く四巻を持ってここで完全に確立されたのではないでしょうか?

    あとは「愉快にして実り多き旅」の中に「持続する不安感」が紛れ込むのが原作の特徴だと思うのですが、その辺は控えめの印象にすることでエンタメ性を上げているのも漫画の特徴かもしれません。

    重ねて言いますが必要な情報は揃えているので、原作の要点を押さえる振り返りとしても使えます。
    総じて主人公の可愛さを引き出しつつ、原作との連携も冴えるそんな筆のノリのよさを感じたそんな三巻でした。

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