物性物理のための場の理論・グリーン関数 2018年 06 月号 [雑誌]: 数理科学 別冊

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  • サイエンス社
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  • Amazon.co.jp ・雑誌 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 4910054700688

感想・レビュー・書評

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  •  「グリーン関数」と言えば、書名を聞いたときに僕などは微分方程式の解を求めるのに使うアレを思い浮かべたのだが、どうやら場の理論・物性論におけるグリーン関数とは、演算子の相関関数のことを言うようだ(完全に無関係というわけではなく、後者が前者の性質を持つので、そのことをもって後者もグリーン関数と呼ぶ)。その物性論における意義だが、僕の理解では、線形応答の久保理論における応答関数が遅延グリーン関数と類似した形をしているために、後者の計算手法を一般化して前者に適応できる、ということだと思う。
     行間は比較的少ない方で、式変形も前のどの式を使うか一つ一つ書いてくれているのでとても追いかけやすい。ただ、如何せん僕の知識が少ないため、物理的な解釈が追い付かないところが何ヶ所かあった。時間の都合上、今回は5章まで。ここ以降で物理的な応用を扱っていて、一番面白いところなのだと思うが・・・。また時間ができたら続きを読む。
    「本書では、多粒子の問題を取り扱うのに不可欠な第二量子化を基礎とした場の理論をもとに、グリーン関数を用いた解析的な手法を展開する。(略)本書の中心であるグリーン関数の方法は、摂動論を系統的に行うための手法であるが、それにとどまらず、視覚的に明確なファインマンダイアグラムを用いることによって、物理的意味が明らかになるという利点がある。(略)グリーン関数によって、帯磁率や電気伝導、遮蔽効果、超伝導等が微視的に明確になっていく様子は爽快である。 本書ではグリーン関数の手法の物性物理学への応用を考えるので、線形応答理論における応答関数を求めるところに1つの力点が置かれている。(略)本書では、基礎的な部分から初めて、最近の進展まで含めて紙面と能力の許す限り加えることとした。論理の記述や説明の仕方に、新機軸を出したところもいくつかある。さらに後半部分では、個人的な趣味で今後の発展が期待できる、異常ホール効果、ゲージ不変性、固体中の電磁気学、熱電応答なども加えてみた。(はじめにより)」

    1 第二量子化
    2 モデルと物理量
    3 グリーン関数
    4 摂動論とファインマンダイアグラム
    5 線形応答理論
    6 線形応答理論の応用:電荷応答
    7 帯磁率とハバードモデル
    8 電気伝導度
    9 電子格子系
    10 超電導
    11 熱電応答
    12 固体中の電磁気学
    索引 

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著者プロフィール

東京大学教授、理学博士。1960年 東京都に生まれる。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。東京大学助手・助教授を経て現職。

「2007年 『量子力学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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