テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図 [Kindle]

著者 :
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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感想・レビュー・書評

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  • キーエンスという会社をご存知ですか?

    センサーを開発/販売している会社です。
    上場企業の中で給与水準が最も高いことで有名です。
    従業員の平均年齢は約36歳、平均年収は約1860万円。

    多くの有名企業より高いと思いませんか?
    AIやロボットの時代(=流れ)だからでしょうか?


    AIやロボットに雇用が奪われる的な話があります。
    産業革命のときにはラッダイト運動がありました。
    機械に雇用を奪われるというのは表面的な話。
    より実態的には、生活の安定、人の尊厳が失われる恐れや、
    資本主義経済の収奪構造への怒りであるように感じます。


    ここでちょっと未来を考えてみる。
    すっかり常識が更新された未来人ならどう思うのでしょうか?

    「歴史の教科書で読んだんだけど、AIとロボットがない時代、
    人がタクシーを運転して人を運んだり、トラックを夜通し運転
    して荷物を運んだらしいぜ?」
    「まじかよ!当時は人権がなかったのか?」
    「いやいや、当時は人にしかできない仕事だったらしぜ。
    みんなの生活のためにその仕事を担う立派な人がいたってことじゃね?」
    「そうか、、、恐ろしい時代だな、、、」
    「今では考えられないよな、、、」
    「仕事ってさ、□□□□□□□□するために俺は生まれてきたんだ!
    そうんなふうに誇れる、楽しくて仕方がない事だよな?」
    「俺、現代人でよかったわ。原始時代なら死んでるかも」

    こんな感じの未来になるのでしょうか?


    つまり、こうしてくれたら報酬を払います的な、
    事前に正解がわかって計画/約束できるようなタイプの
    ビジネスや産業はテクノロジーで塗り替えられる。
    人がいままでのような仕事として関わる業種ではなくなる。
    良し悪しや好き嫌いではなく、これはおそらく前提になる。

    で、ちょっとだけお金(収入)の話。
    必需品が充足され、付加価値の多くが物ではなく情報に移っている。
    よって、場所と収入の関連性は弱くなりこそすれ強まりはしない。
    テクノロジーがどう世界を塗り替えるか(「物」周辺の自動化と
    「情報」価値の創造、それらの枠組みを支えるインフラ)に
    目を向けると、自然と高い収入を得られやすいように思えます。

    政治による資源配分、行政手続きなど、
    自動化できそうな匂いがしませんか?
    また、人手に掛かるコスト(税)が歓迎されてないようにも見えます。
    であれば、公務員は安定な仕事と言えなくなるかもしれません。

    テクノロジーは人類全体としては生きる苦しみを和らげてくれる。
    けれど、個人(や特定集団)の安寧を残酷に壊すこともある。
    テクノロジーは人為のようでいて、自然法則的な前提に近い感じがします。

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  • テクノロジーによって刷新されつつある仕事の在り方の未来を説いた一冊。
    これまでもテクノロジーの進化によって未来の仕事や、自分たちの生活がどのように変化するのか、ということについて述べている書籍は存在していたが、具体的に変化している様子をデータを基に分析しているため非常に説得性がある。

    また、データを基に一般の人々の直感に反する事実にもスポットライトを当ててくれる。
    例えば、「自分が属する産業で生涯年収はほとんど決まっている」など。
    非常に参考になるチャートが掲載されていたので、また参考にしたい。

    ==========
    以下、特に印象に残った箇所を引用。

    「残念ながら「産業で年収はおおむね決まっている」というのが真実だ。」
    「若い世代は自分を安売りすることはまず必要ない。極端な言い方をすれば、縮小し続ける若い労働者層の中では、「若い」というだけで価値があるということになる。」
    「人間はテクノロジーを便利に使っているようだが、テクノロジーによって働き方や仕事そのものを決められていやしないか」

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著者プロフィール

泉田良輔(いずみだ・りょうすけ)証券アナリスト慶應義塾大学商学部を卒業後、日本生命・国際投資部、フィデリティ投信・調査部や運用部でポートフォリオ・マネジャーや証券アナリストとして勤務。米国株と日本株の調査と運用に携わる。その後、GFリサーチを起業し、ナビゲータープラットフォームやOneMile Partnersを共同創業。現在はLIMO(リーモ)などの金融に関するネットメディアを立ち上げ、資産運用に関する情報発信を続ける。日経BizGate「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」の連載をはじめ、『日本の電機産業』(日本経済新聞出版社)、『Google vs トヨタ』(KADOKAWA)、『銀行はこれからどうなるのか』『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)の著書がある。メディアでコメントすることも多く、英国のFTやThe Economist、米国のBloombergなどで産業動向分析が世界に発信されている。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。

「2021年 『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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