トランスヒューマンガンマ線バースト童話集 (早川書房) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • もう何が何やら、SFファンタジーな童話(?)集。
    脳みそをグニャグニャにしてから読んでください。

  • トランスヒューマニズムとは身体と知覚の進化で人間能力を向上させる思想。

    【地球灰かぶり姫】
    具体(生物的な肉体?)を持ったシンデレラ。
    ガンマ線バーストのイベントが12時の鐘。
    SFでの置き換えしたシンデレラだけど、その置き換えを見るだけでも楽しい。

    【竹取戦記】
    かぐや姫モチーフはどう調理してもおいしいけど、この味付けは新鮮。そもそも元ネタがSF(というか高度技術モノ)だから親和性がいい気がする。そして別れが待つという点も……。

    【スノーホワイト/ホワイトアウト】
    女王と7つ罪。
    処理速度を下げても『中』に人間(?)には知覚できないというのは「順列都市」でも扱っていたが、低下する計算速度を雪にしたのはロマンティック。

    【〈サルベージャ〉VS甲殻機動隊】
    タイトルで吹いた。
    どうもイメージがスポンジボブのカニから抜け出せなかった。サルカニ合戦モチーフとは気付かずそのまま読み進めた。
    寄生されていても隊長は男だったわ……。テナガエビ君の最期は悲しい……どれだけ絶望してしまうのだろうか。

    【モンティ・ホールころりん】
    愛の物語。
    超大容量に対応するには自己増殖。

    【アリとキリギリス】
    終わらない人生の中で一生誰かを実行〈思い〉続ける。
    無限の時間があるからできる手段というのもSFだからこそでいいなあ。他の話とリンクするのは探す旅の過程が見られるし短編が膨らむから好き。もう少し相互干渉がある方が好き感。

    選評する人はすごいなあと思った。

  • ハヤカワSFコンテストの一連の作品でも一、二を争うおもしろさだった。
    歴代一位はやはり『みずは無間』かもしれない。1本の筋を通した物語、という意味で、主人公や世界図の謎で最後まで引っ張り壮大な読後感をもたらしてくれるという意味で、あの作品は素晴らしかった。
    しかし本作も語り口の軽妙さや、トランスヒューマニズムの未来の考え抜かれたディテールが最後まで一貫して描写される凄まじさ、その世界の広さと深さの点では、やはり素晴らしい一冊だった。

    なぜ大賞ではなく優秀賞なのか、というのはあとがきの選評で述べられていて(6つの短編の繋がりが弱いことと商業作品として次に続く可能性への懐疑)、それはそれで納得ではあったのだけど、一つの小説作品として大満足の一冊だった。

    トランスヒューマニズムについてここまで深く設定を作れるのか、それをここまでおもしろく描写できるのか、と唸らされた。

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