- Amazon.co.jp ・電子書籍 (202ページ)
感想・レビュー・書評
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憎悪と赦し、加害者家族と被害者家族、法と報復、少年と重罪… 様々な相反する価値の中で悶え悩む少年少女を通して、とても考えさせられます。。
まだ頭の中も心の中も整理し切れていませんが、読んで本当に良かったです。 -
特に期待せずに読みはじめたけれど引き込まれた。
少年犯罪について考えさせられる良い作品。先が面白い作家さんに出会えたなと思うと嬉しい。
特に残虐な描写もなく、中高生にもお勧めな作品。 -
へぇ。松村涼哉は名古屋大学在学中に作家デビューした人なんですね。日本では、元首相がテロリストに銃殺されたり、現首相が漁港で狙われるという事件が起きている。テロリストの心境は、どんなものか。正義や宗教に左右されるのか。15歳のテロリストって、実に先鋭的な題名に惹かれる。少年法の持つ特殊性が、ここでは取り上げられる。本書は随分と社会性のある作品になっている。著者は少年犯罪に関しての著作が多い。
「新宿駅に爆弾を仕掛けました。これは嘘ではありません」という爆破予告の動画がアップされたことから始まる。うそ、フェイクと思われていたことが、1時間後。1月15日8時17分に、JR新宿駅中央線ホームでスーツケースが爆発した。その予告した動画の少年は通信制高校に通う少年の渡辺篤人で15歳だった。渡辺篤人は、なぜテロリストになったか。それを掘り下げていく。
15歳の渡辺篤人は、何故、自分の顔を晒して、爆破宣言を動画で流したのか。
15歳以下の犯罪の実例が出される。自分の息子が、呼び出されてリンチを受け殺されたが、加害者の年齢は13歳。14歳未満なので刑事罰に問えない年齢。加害者は少年院送致の決定。そのやるせなさとふがいさ。なぜ悪いことをしたのに、罰せられないか。
国会議員比津修二は与党で活躍する。少年法の適用年齢の引き下げを主張している。「未成年は、凶悪犯罪とみなされない限り、非公開のおだやかな少年審判で処され、前科さえ残らない。実名報道もされず、少年院送致が決まっても、長期処置でも原則2年以内で社会に戻ってくる。18歳未満は死刑執行が出来ない。14歳未満に至っては、どんな悪行でも罪問うことすら難しい」
渡辺篤人は、5歳で両親を交通事故で亡くし、放火事件で祖母と妹の実夕を殺された過去があった。
逮捕されたのは、富田ヒイロ。13歳だった。タバコを吸って、吸い殻を捨てたのが火災となり、祖母と妹を失った。渡辺篤人は「少年犯罪被害者の会」に顔を出していた。
新宿駅での爆破が行われた後に、渡辺篤人は「テロを続けます。僕が逮捕されるまで」と動画をSNSに流す。マスコミが、その情報から拡大された情報を垂れ流す。篤人と実夕は、美形だった。死んだ実夕の画像まで拡散される。篤人は、富田ヒイロから、放火事件の真犯人を知る。それが灰谷ユズル。
少年犯罪を追いかけている記者の安藤は井口美智子というガールフレンドがいた。中学生のいじめの現場に遭遇し、助けようとして殴り殺された。犯人は、灰谷ユズル。14歳。灰谷ユズルを起点として、親しい人が殺されたということで皆つながっている。
渡辺篤人は、行方不明の灰谷ユズルを追いかけて、妹の灰谷アズサに接近していた。
一体、灰谷ユズルは、何故、富田ヒイロに放火させるように指示したのか?
いずれも、14歳という年齢で、罰せられない。が、社会に復帰したときには周囲から白い目で見られる。「少年犯罪」の持つ悍ましさをこれでもかと書き綴る。たいした筆力だ。そして、灰谷ユズルに指示していた男が、明らかになる。なるほど、マッチポンプだ。
そして、いつの間にか、渡辺篤人は、灰谷アズサを好きになってしまうのだ。少年なのだ。
少年犯罪の持つ重さとかるさ。それを道具にして利用する国会議員、小説の新しい地平を切り開いている。イジメ、から殺人。そしてテロリストに変身していく。
日本の底辺での闇は深く、少年たちは傷ついている。どうにもならない感情と復讐。復讐が正義ではないことを知りながら、テロでは解決できないことを知りながら。 -
先の読みやすい展開だったが面白かった
小中学校の課題図書になって10代の子達が少年法の在り方について学んで論じてほしい -
わたしはマニアではないので、ミステリとして優れているのかはわからんけれど、社会に対する閉塞感、それを打ち破る若いエネルギーを感じる作品だった。
とにかく人物に対する描写が丁寧で、でもくどくはないかんじ。
モチーフや象徴の使い方も真っ直ぐで、それでいて奥深くてよかった!(ネタバレになるので詳しくは書けんけど)
ひさしぶりに「若者」をまっすぐに書いた作品に出会えたな〜と爽やかな気分になれましたありがとう! -
Audibleで。
加害者家族、被害者家族の感情の交錯が息を呑むストーリー。犯罪の裁きに正解はないけれど、少年犯罪はそれに輪をかけて、誰もが納得できない。
アズサさんの高潔さが救いですが、、、このキャラクターだけは現実離れしているな、、が正直なところです。 -
SNSで知って興味を持って購入した一冊。
凄く衝撃的な内容。
いろんなことを考える内容。
15歳の男の子がなぜテロリストとして行動することになったのか…
15歳の男の子が抱えているものが大きすぎて…
読み進めていくとページをめくる手が止まらなくなると同時に切なさがこみあげてくる。
全てが終わった後には少しホッとするシーンが。
衝撃的な内容で、とても胸が痛くなるけど、嫌な感じが残らない、少し暖かさの残る一冊。 -
ミステリーかどうかはわからない。社会派。
少年法、加害者、被害者、その家族と少年犯罪を追い続ける記者の話。
どうして、テロリストにならなければならなかったのか。
ページ数以上に中身が濃い、そして重いが一気に読み切れた。