きゃくほんかのセリフ! (ガガガ文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ニコニコ動画で『けものフレンズ2』の脚本家の人がライトノベルを出していると知り兎にも角にも購読。

    1話のクソアニメの放送を、脚本を書いた当人が見るシーンから声出して笑った。

    あとは社会人なら当然通るであろう業界各所からの無茶振りに必死で応える仕事人ストーリーが展開する。

    特定のアニメを連想させないよう配慮しているが、執筆の動機が(おそらく)ゾンビランドとけもフレ2の作業が集中している時期と推定され、ネタとしては多分脚本家のキャリアで長い間に蓄積されたのだろうけど、ライトノベルとして爆発したきっかけはそれらのアニメだろうとは思う。

    まあアレだ、『コメット・ルシファー』とかいうクソアニメでプロデューサーから二十数回脚本を書き直させられたライターの人もこんな状況だったのかなと思うと胸が痛い。

    ライターは物語のプロなので、物語が破綻してる場合はライターも不本意な場合が少なくない、ぐらいの想像はしてる。

    それはそれとして、笑うのがamazonのレビュー欄。

    人はここまで本が読めないのか…

    SHIROBAKOの下位互換という批評は、あのアニメで修羅場担当が脚本家でなく監督であるという違いがあり妥当ではない。

    脚本家は監督と会話の中でまだしっかり固まっていなかった作品の着地点を発見させ、それを脚本としてまとめるという作業をしている。ストーリーが脚本家の頭脳から生まれるだけではないという面白い発見だった。評者はそういうところまでSHIROBAKOを見ているのだろうか。

    主人公に志がないという批判がいくつかあるがまさに「読めてない」。たびたび「視聴者に楽しんでもらうため」に頑張っているという会話が出てくるのだが目に入らなかったらしい。

    そういう場面があればこそ、最後の「神」のセリフにニヤリとする。

    会議で出てきた無茶振りも、視聴者のために、原作からより楽しい映画とするために、作品の完成度をより高めるために、どうしたらプラスの形で取り入れられるか奮闘する。その一貫した姿勢はクリエイターの矜持を感じることができた。

    しいて粗をさがせば、ヒロインが手羽先をたびたび食べているという設定がどう前向きに解決されたのかが十分書かれていないような気がするところぐらい(もう一度読めば分かるのだろうか)。

    amazonの最高評価レビューは「サラリーマンには共感できる」というもので、これは自分も読んでまさに納得だった。

    『群馬県から来た少女』と同じくノイジーマイノリティーで損をさせられている作品だと思う。

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