kindle unlimitedで全巻読了。ずっと気になっていつつ、取り扱っている題材と独特の画風から何となく敬遠していたが、一話を読み始めると止まらなくなり、休日一日どっぷり使い切って読んでしまった。
死刑はあるべきか否か。境遇や立場の違うさまざまな死刑囚を前にするたび、主人公・及川の主張も行きつ戻りつする。こんな罪悪人がいるなら死刑はあるべきだ、こんな罪悪人でも改心するなら死刑は撤廃すべきだ…。決してひとところにとどまらず、心情が必ずしも一定でないところは、「優柔不断」ではなく「人間臭さ」を感じる。
もう一人の主人公とも言える渡瀬との心の交流、そしてその結末には、涙せずにはいられなかった。初めは及川の中でひたすら「憧れ」の対象であった渡瀬が、意外な子どもっぽさや弱さを徐々に打ち明けていく様子も良かった。