僕は君たちに武器を配りたい [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 東大出身で元マッキンゼー、京大で講義を受け持っていたエンジェル投資家の瀧本哲史氏による啓発書。

    瀧本先生は起業論を京大で受け持ってたそうですが、京大生も暗い顔していたそうです。理由は、幸せになれないからだそうです。
    彼の講義には医学部のひとも来ていたそうです。京大医学部といえば名門中も名門。であるのになぜ暗い顔をしているのか。著者の分析が始まる。

    瀧本氏は、買い叩かれるスキルをコモディティ化と説明します。
    つまり、お米やパンを当たり前のように食べるように、TOEICや会計やITや東大京大卒の高学歴も当たり前の商品となってしまってる為、安く買い叩かれるのだそうです。
    企業からすれば、英語、IT、会計という人気のスキルは都合よく買われる労働力になるためのもの、となるわけです。

    さらに掻い摘むと、
    ・必死に勉強しても買い叩かれる
    ・企業はベンチャーを飼い殺しにする
    ・中小企業は若者を奴隷にする
    など投資家的な視点から資本主義社会を分析します。

    その上で、生き残るためのポイントを4つ示していました。
    簡単にまとめると、起業か投資。
    投資家的な考え方を持つこと、起業は戦略を持つことの重要性を述べています。

    ひとつ私見を述べると、
    実際、就活を頑張って働いている人で幸せそうな人は残念ながらあまりいません。
    著者の言うように、社会には理不尽が潜んでいるのだと思います。
    お金の自由を勝ち取ることが幸せのあり方のひとつであるなら、僕はこういう考え方はありだと思います。
    でも、お金以外のことに目を向けることも大事かと思います。
    モノの売り買いに基づきあらゆるものを需要と供給で商品として点数化するマーケット的、すべてを数字に変えてしまうデジタル的な考え方は数多ある考え方の一つに過ぎない。要するにそろばんを弾くのが上手いかどうかだけです。
    莫大な資産を手にすれば、ほかの考え方が出来るようになるかというとそうでもないのですから。

  • 僕は君たちに武器を配りたい 2011

    2019年4月1日発行(電子書籍)
    本作品は、2011年9月、小社より単行本として刊行されたものを電子書籍化したものです。

    2011年に出た本ではあるけれども、内容は古くなっていないと感じる。
    それだけ瀧本哲史氏は本質的な所を指摘していたのだと思う。
    ただ投資家的視点を持つことは良いけれども、実際の投資でそれだけの時間を分析に使い続けることは難しい人が大半だ。今(2023年)ならETFかインデックスファンドに積立投資を設定するだけで良い。
    瀧本哲史氏の実際にやってきた事は暗黙知の部分もかなりあるはずで一般人が真似できることではない。

    印象に残った点

    投資家として働くことで、世の中の見方が一変する。
    公開されている情報からでも、普通の人がやらない「一手間」をかけることで、大きな果実を手に入れられる。
    大学では「奴隷の勉強」に時間をかけず、自由人になるための「リベラル・アーツ(教養)」を学べ。
    本当の資本主義の時代に、「ほんとうに人間らしい関係」を探っていこう。

    若手の経済評論家の中からは「既得権益を握っている高齢世代から富を奪え」というような意見も聞かれるが、社会全体のパイが小さくなっている時に、世代間で奪い合いをすることに意味がない。才能がある人、優秀な人は、パイを大きくすること、すなわちビジネスに行くべきだ。
    パイ全体が縮小しているときに、分配する側に優秀な人が行っても意味がない。誰が分配しようが、無い袖は振れないからだ。社会起業家とか公務員という選択は、社会に富が十分にあって分配に問題がないときなら意味があるだろう。だが分配する原資が無くなりつつあるのが、今の時代ではないだろうか。

    本書で述べた「英語・IT・会計知識」の勉強というのは、あくまで「人に使われるための知識」であり、きつい言葉で言えば「奴隷の学問」なのである。

    しかし成功した起業家に実際に聞いてみると、学生のときから起業のためにすごく努力をしていた、という人はほとんどいない。
    そうではなくて、自分が長年興味と関心を抱いていた何かに、心から打ち込んでいるうちに、たまたま現在の状況につながっていった、というケースが多いのだ。だから私は、社会に出てからのステップアップやキャリアプランについて、学生のうちから考え続けることは意味がほとんどないと考える。
    社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも紙の本にも書いていない、自分が動いて夢中になりながら手に入れた知識だけだ。自分の力でやったことだけが、本物の自分の武器になるのである。資本主義社会を生きていくための武器とは、勉強して手に入れられるものではなく、現実の世界での難しい課題を解決したり、ライバルといった「敵」を倒していくことで、初めて手に入るものなのだ。そういう意味で、ギリシャ神話などの神話や優れた文学が教えることは、人生の教訓を得る上でも非常に有効だと私は考えている。

    アメリカではCIALISなど国際諜報分野における情報の分析を「インテリジェンス」と呼ぶが、インテリジェンスの90%以上はこうした誰でも調べることができるオープンな情報から得られるのである。

    投資家は「調べる一手間」を惜しまない

    就職や転職する時には、どんな会社を選ぶべきか、投資家的に考えることが大切だ。しかしその際、重要な注意点がひとつある。
    それは、あなたが「この会社は将来必ず大きくなる」とトレンドを読んで入社したとしても、自分が一従業員として安い給料で雇われている限りは、意味が無いということだ。
    「この会社は伸びる」という読みに自分をかけるのであれば、その会社に株主として参加するとか、利益と連動するボーナスをもらうなりして、業績連動型のポジションに身を置かなければ、リスクを取った意味が無いのである。
    →良いベンチャー企業に入るにせよ、ストックオプションを利用できるか否か、株を所持できるか否かが大きいと指摘される。その事だろう。

    売りになるスキルや知識の無い人が英語を勉強してもそれほど価値は産まないが、技術者や起業家のような「売る物」がある人は、英語ができないと非常に損をするのである。

    日本語だけでビジネスした場合、1億3000万人の市場しかないが、英語を話す人々の市場はその何十倍にもなる。

    日経新聞を読んでも決して鵜呑みにするな。

    機関投資家は個人投資家をカモにしている。株式投資は「損して学ぶ」つもりで挑め。

    トレンドとサイクルを見極めることができればリターンが得られる。

    人を今の評価で判断しない

    株式投資ではないインサイダー取引は、100%違法ではない。

    公開・非公開は問わず、この会社は伸びると確信したら、株式以外の投資をすればいい

    資本主義では、「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みになっている。

    トレンドは一度起こったら元には戻らず、そこで起こった変化が常態となる。
    その反対にサイクルは時とともに変化が循環し、再び以前と同じような状態に落ち着いていく。

    一時期は大儲けして急激に社員を増やし人気の企業となったのに、あるときを境に急激に事業が縮小していき、最終的に倒産や民事再生という事態に陥る。そうした企業のほとんどが、時代のトレンドとサイクルを見誤った事業戦略を立てているのである。

    投資家的に生きるために絶対に必要なのは、前述のスーパーサラリーマンのカラクリのような「真実」に気づく「ニュースの裏を読む力」である。新聞などで何かしらの情報を見たときに、「この会社はこれから伸びそうだな」と感じたら、自分と同じことを考える人間が世の中に数万人から数十万人はいると思った方がいい。その時点で、既にあなたの考えは「コモディティ」になっているのである。
    基本的に新聞には、誰かが「アナウンスしてほしい情報」だけが載っている。新聞やテレビで公開された情報は、誰か声の大きな人間が、世間を自らの望む方向に誘導するために流している情報だと考えるべきなのだ。真に価値のある情報というのは、みんなが知った瞬間に、その価値が無くなってしまう。つまり、本当に儲け話につながる話は、いっさい新聞には載っていないのである。

    新聞などのメディアにそういった一面があるのかもしれない。ただ頭の良い人が批判的にメディアに接する分には良いけれども、そうでない人がこの手の読み方をして結果として陰謀論にハマるような気がする。陰謀論に陥りかねない大半の人はまずは素直にNHKなど大手メディアの報道することを受け止めるべきだと思う。

    投資は、長期的な視点で富を生み出し続けるか、人が信頼できるか、の2点で判断する。

    サラリーマンは知らない内にリスクを他人に丸投げするハイリスクな生き方。リスクは自分自身でコントロールせよ。

    ローリスクより、リスクが取れる範囲のハイリスク・ハイリターンの選択肢をたくさん選べ。

    バフェットから学べることで何より大切なのは、「短期的な儲けではなく、長期的な視点で意味のあることに投資せよ」ということである。

    人生の重要な決断をする時に覚えておくべきは「リスクは分散させなくてはならない」ということと、「リスクとリターンのバランスが良い道を選べ」という2点だ。

    大学を出て新卒で会社に入り、定年の60歳まで働いたとすると38年間を会社で過ごすことになる。しかし近年、会社の「寿命」はどんどん短くなっている。平均すると30年ぐらいで「会社の人生」は終わるようになっている。人間の平均寿命は80歳を超える。だからこそ、ひとつの会社に自分の人生を全て委託するのは非常に高リスクなのである。

    日本では結婚して子供ができたあたりから、ローンを組んで家を買うのが当たり前のような風潮があるが、それは銀行や不動産会社などから「そう思い込まされている」だけの話だ。
    経営者でもない普通の人間が、数千万円の借金を背負うのは家を買う時がほとんど唯一の機会である。
    そうすると、それだけの借金がどれぐらいの意味を持つのか、また35年というローン期間には、どんな予測不可能な事態が待ち構えているのか、正確なリスクを計算することができなくなってしまう。銀行と不動産会社が作った35年ローンという仕組みは、そうした「リスクを正確に計算できない人々」を狙った商品であると覚えておいた方がいい。

    つまり資本主義の国で生きる以上、株主(投資家)の意思のもとに生きざるを得ない、ということなのだ。それならば、自分自身が投資家として積極的にこの資本主義に参加した方が良いのではないか、というのが私からの提案なのである。投資家に振り回されるのではなく、投資家たちの考えを読み、自らが投資家として振る舞うのである。そうすると、この世界が違った形で見えてくる。

    「株主などというわけの分からない人々のために働いているのではない」と考える人もいるかもしれないが、その人が働いてもらう給与や年に数回もらえるボーナスも、株主が所有する資産が形を変えたものであることを理解しておく必要がある。

    私の答えは当然「会社は株主のもの」である。

    「駄馬」を使いこなすのが本当のマネジメント。
    クレイジーな人はコンプレックスを原動力とせよ!
    クレイジーでない人はリーダーのサポート役になれ!

    ハロルド・ラスウェルという政治学者は、著作の「権力と人間」(東京創元社)の中で、「どのような人間が権力者を目指すか」という研究成果を発表した。それによれば、政治家の多くが幼少期に、権力に無理やり屈服させられたような嫌な記憶を持っており、その反動で自分が権力者になることを目指すのだという。のぞみを屈服させられて、その恨みを社会に晴らすために政治権力を握ろうとする人が多いそうなのだ。

    いろいろな経営者の自叙伝を読むと、人格的に優れており「なるほど、この人のもとで働きたい」と思うようなすばらしい人物像が描かれているが、はっきり言ってそのほとんどは、編集者とライターと広報担当社が合作した「虚像」にすぎない。
    実際のところ革命的なことを成し遂げるリーダーの多くは、ある種の人格破綻者であるか。あるいは新興宗教の教祖のような自己愛の塊である。そして、そうした強烈なリーダーが率いるからこそ、組織は成功するのである。

    またリーダーの多くは人から支持される人物だと思いがちだが、それも大きな間違いだ。
    実際には人間を「敵と味方」に二分して、敵である相手を徹底的に叩き潰すといったタイプが多い。

    人は意見がブレる人のことを信用しない。意見を変えるなら変えるで、はっきりと表明すればいいのだが、言を左右にして誤魔化すから信用されなくなる。日本の政治家が信用されないのもそのためだ。意見を変えるときには徹底的に変えることが重要なのだ。

    メンバーのやる気が足りないのですが、どうしたら良いでしょうか?

    簡単なことだ。自分自身が結果を出し続ければ良い。リーダーが結果を出せばみんなついてくる。あなたが結果を出していないからダメなんだ。まずは結果を出してください。
    NGOルーム・トウ・リードの創始者ジョン・ウッド

    優れたリーダーには「自分はすごい」という勘違いが必要なのである。そういう宗教家のような確信に満ちた態度が無ければ、自分が信じ込んでいるビジョンやストーリーを、何千人もの社員に伝えて先導していくことはできない。

    学校では「みんなの上に立つ人はすばらしい人」と習うが、現実の歴史では、そういう「すばらしい人」が、人の上に立って何か大きなことをなしたことはほとんどない。
    日本人の多くは、謙虚ですばらしい人格を持ったリーダーを好むというが、そういう人は実際にはリーダーにはなれないのである。歴史に名を残すレベルの企業を作ったようなリーダーというのは、みなある種の「狂気の人」であることが多いのだ。

    マイクロソフトという会社があそこまで大きくなった理由は、コンピューター業界において「こうあるべきだ」という正しい理想の姿を実現するために、必要な事業活動を猛スピードで実行し、さらに競合となる企業を徹底的に叩き潰してきたことにある。つまり同社には、理想論を語るビル・ゲイツとは別に、冷徹で時に残酷な決断を躊躇なくできる人物が必要だった。そして、スティーブ・バルマーがその役割を担ったのである。

    つまりリーダーには、優秀だがわがままな人をマネージするスキルも大切だが、優秀ではない人をマネージするスキルの方が重要なのである。ダメな所が多々ある人材に、あまり高い給料を払わずとも、モチベーション高く仕事をしてもらうように持っていくのが本当のマネジメント力なのだ。

    世の中に傑出した人物などほとんどいない。たとえいた所で、その人物が自分の配下になってくれるかどうかは別の問題だ。世のほとんどの人は凡人なのだから、その凡人をうまく使うスキルを学ぶことが大切なのである。

    伯楽は、嫌いな相手に「名馬」の見分け方を教え、好きな相手には「駄馬」を見分ける方法を教えていたのである。

    世の中には、名馬よりも駄馬の方がずっと数が多いからだ。
    めったに存在しない名馬を見分ける眼力よりも、世に溢れる駄馬の中から本当にダメで使いようがない馬をふるい落として、気性は荒いけれども力が強かったり、足は速くないがスタミナがあったりする馬の素質を見抜いて、適材適所に使える能力の方がずっと役に立つからである。

    自分が働く業界について、人、物、金の流れを徹底的に研究しろ!
    イノベーションのチャンスは「今しょぼい業界」にある。
    「TTP」(徹底的にパクる)と「逆の発想」がイノベーションを生む。

    社会にインパクトを与える商品やサービスを生み出したい、と考えたとしても、全く新しい製品を作る必要はないのである。今すでにあるものの組み合わせを変える、見方を変える、そうすることによってイノベーションを起こすことができるのだ。

    自分自身も「商品」。売る「場所」を変えることで全く結果が違ってくる。
    「自分の頭で物事を考えない人」は、DQNビジネスのカモにされる。

    資格や専門知識よりも、むしろ自分で仕事を作る、成功報酬ベースの仕事をする、たくさんの部下を自分で管理する、というところにこそ「付加価値」が生まれるのである。
    それに対して単に弁護士資格を持っているだけの人は、まったく価値のない「野良弁」になってしまう。稼げない「野良弁」と、すごく成功している弁護士を分けるのは、弁護士資格ではなく、そうした新しいビジネスを作り出せる能力があるかどうかなのだ。
    そこで求められるのは、マーケティング的な能力であり、投資家としてリスクを取れるかどうかであり、下で働く人々をリーダーとしてまとめる力があるかどうかだ。

    新製品が発売される度に世界中で熱狂的な騒ぎを起こすアップルも、信者に支えられている企業だと言えるだろう。このように、信者レベルのファンを作るのが、現代のビジネスでは非常に重要になっているのである。
    しかしこの「信者ビジネス」にも問題点がある。それはこのビジネスを続ければ続けるほど、信者のレベルが低下していくことが避けられない、ということだ。ずっと信者で居続ける人は少ない。だから常に新たな信者をリクルーティングする必要があるのだが、ブームを持続させようと新製品を無理して出し続ける内に、ますます「教祖に依存して、自分の頭では物事を考えない人」を狙わざるを得なくなってくるのである。

    マーケターとは新しくない要素の組み合わせで「差異」を作り出せる人のこと。
    これからのビジネスは「差異」が左右する。
    企業や商品で差をつけることは難しい。差をつけるにはターゲットとなった顧客が共感できるストーリーを作ること。

    任天堂
    失敗してもいいから、たくさんトライすること
    枯れた技術の水平展開

    全産業の「コモディティ化」が進む世の中で、唯一の富を生み出す時代のキーワードは、「差異」である。「差異」とは、デザインやブランドや会社や商品が持つ「ストーリー」と言い換えても良い。わずかな「差異」がとてつもない違いを生む時代となったのだ。マーケターとは、「差異」=「ストーリー」を生み出し、あるいは発見して、最も適切な市場を選んで商品を売る戦略を考えられる人間だと言える。

    資本主義社会の中では、常に市場の中で競争が行われ続け、コモディティ化した商品はどんどん価格が下がっていき、やがて市場から淘汰されていく。陳腐化した商品しか作れない会社もまた勢いが衰え、市場からの退場を余儀なくされる。その繰り返しで、アメリカもヨーロッパも、戦後の日本も発展してきたのである。
    ということはつまり、企業が衰退を避けるには、イノベーションを繰り返して、商品の差異を作り続けなければいけない、ということだ。あらゆる業種、業態の企業が、その前向きな努力をすることで、全体としての社会が進歩していくのが、資本主義社会の基本的なメカニズムなのである。
    しかしインターネットが登場して以降の現代では、情報の流通コストがほぼゼロになった。
    そのため「差異」は生まれた瞬間から、世界中に拡散し、模倣され、同質化していくこととなった。この十数年、企業の栄枯盛衰のサイクルが、かつてないほど速まっているのは、それが大きな理由である。この流れに巻き込まれているのは、大企業といえども例外ではない。

    資本主義の世界で、稼ぐことが出来るのは6タイプ。
    しかしその内の「トレーダー」と「エキスパート」は価値を失いつつある。

    (儲かる漁師の場合)
    1商品を遠くに運んで売ることが出来る人(トレーダー)
    2自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
    3商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
    4全く新しい仕組みをイノベーションできる人(イノベーター)
    5自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人(リーダー)
    6投資家として市場に参加している人(インベスター=投資家)

    大量のコマーシャルを打っている会社、「今流行っている」商品・サービスを売る会社には気をつけよ!
    生産性の低い40代、50代社員が幸せそうにしている会社には入るな!
    企業を見極めるポイントは「お客さんを大切にしているか」。
    顧客を大事にする会社は従業員も大切にする。

    日本の景気全体が良くなり、この国で生きているだけで幸せになれる、という時代は残念ながらもうこない。
    特定の産業があるタイミングで大きくなり、そこで働いていた人が一時的に潤うが、そこにあとからやってきた人は報われない、という状況が繰り返されるだけだ。
    これから就職や転職を考える人は、マクロな視点を持ちつつ、「これから伸びていき」「多くの人が気づいていない」ニッチな市場に身を投じることが必要なのだ。つまり就職においても後に述べる「投資家的視点」を持っているかどうかが成否を左右するのである。

    就職先を考える上でのポイントは、「業界全体で何万人の雇用が生み出されるか」という大きな視点で考えるのではなくて、「今はニッチな市場だが、現時点で自分が飛び込めば、数年後に10倍か20倍の規模になっているかもしれない」というミクロな視点で考えることだ。まだ世間の人が気づいていないその市場にいち早く気づくことなのだ。

    業種・業界を問わず、商品がコモディティになってしまった業界は、商品を安く仕入れて、安く売るしかない。コモディティ市場で戦う会社は必然的にブラック企業になる運命なのだ。

    金融業界など高給で知られる会社ほど、変化が激しく、短命な商品の寿命がそのままビジネスの寿命になる。
    現在人気の企業でも40年後は消滅している可能性が大。
    就職ランキングに騙されるな!
    日本の国内市場は先細り間違いなし。海外で働くことも考えよ!

    「ブームになってから投資すると、死ぬ」というのが投資の鉄則だ。
    誰も投資など考えられない、焼け野原のようになっているときに投資して、誰よりも早く実った果実を回収し、「まだまだ儲かる」と普通の人が思い始めるタイミングでさっと身を引く。

    現役学生が起業するのは「高学歴ワーキングプ」への道。
    コモディティ企業を作るな!
    専業主婦はハイリスク。
    「婚活」ブームに踊らされずに、女性もキャリアを目指せ。

    資本主義には3つのモデルチェンジ、「略奪」「交易」「生産性革命」があった。
    日本を支えてきた「擦り合わせ産業」はもはや通用しない。
    「ものづくり」にはこだわるな!国に頼るな!

    一部の「頭のいい人」ではなく「より安く、よりいい商品」を作る人間が、社会を進歩させるシステムが資本主義。

    全産業で「コモディティ化」が進んでいる。賃金を下げないためにはコモディティになるな!
    生き残るためには「スペシャリティ」な人間になること。
    「唯一の人」になれ!

    スペシャリティになるために必要なのは、これまでの枠組みの中で努力するのではなく、
    まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、どんな要素がコモディティとスペシャリティを分けるのか、それを熟知することだ。

    勉強ブームの陰には「不安解消マーケティング」がある。
    勉強すれば大丈夫と安易に思うな!

    大切なのは、不労所得を得ることではない。投資家的に考える、ということなのだ。

    2023/01/01(日)記述

  • ●「女子会」:リクルートが自社メディア「L25」を使って「女子会」というイベ
      ントを仕掛けていたが、それは自宅住で金銭的に余裕のある女性の消費を喚起する
      ため。同じ年収300-400万でも、自宅比率が低く、かつ女性分の食事も出す男性
      のほうが困窮していたので、”新市場”を定義した。

    ●"漁師"の分類。以下に差別化し、付加価値をつけるか
     ✓商品を遠くに運んで販売(トレーダー) 
     ✓専門性とスキルを磨いて生産性向上(スペシャリスト)//人の2倍釣る
    ✓商品に付加価値(ストーリー)をつけて市場に合わせて売る(マーケター)
      ※無名のゴミ同然の魚でも、適切な料理法と合わせて持ち込んで商品化
     ✓全く新しい仕組みをイノベーションする(イノベーター)
      ※一本釣り-->定置網漁など
     ✓自分が起業家となり人をマネージして行動(リーダー)
      ※漁場などの情報を共有し全体の生産性を向上
     ✓投資家としての参加(投資家)//船・餌台などを負担しリスクを取って拡大

  • <感想>
    「君に友だちはいらない」の瀧本哲史氏の著書。2011年の出版だが、2021年に読んでも気づきがある。
    ひと言で表すなら「世の中の仕組みや価値観は変わり続けるのだから、現状で判断してはいけない」というメッセージになるだろうか。企業の栄枯盛衰の実例を紹介し、戦略的にキャリアを考える必要性を語っている。

    <アンダーライン>
    ・不安解消マーケティング
    ・(社会が不安定化したときには)「これさえあれば」が受ける
    ・経済学の定義によれば、コモディティとは「スペックが明確に定義できるもの」
    ・個性のないものはすべてコモディティ
    ・コモディティ化した市場は、恒常的に商品が余っている状態になるので、そこでの商品の値段は、供給側の「限界利益」ゼロになるまで下がる。
    ・「努力をして経験値を積み、お金を貯めて武器をそろえれば、立身出世ができる」というのがオンラインゲームの世界観である。
    ★分からない差異は、差異ではない
    ・「ブームとなってから投資すると、死ぬ」というのが投資の鉄則だ。
    ★★魚に対して「付加価値」をつけて、調理法という「ストーリー」とともに売るのである。
    ・ユニクロは戦略的に自社のブランドを「効率的で、合理的で、洗練されている」とイメージづけた。そのためユニクロで売っている洋服を着る行為も、
    「合理的で効率的なライフスタイル上の選択」と見られるようになり
    ・彼女は戦略を変更する。「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」を始めたのだ。
    ・サービスが同じ、ということはダンピング競争になるということだ。
    ★★「信者」を作るのが成功するビジネスのポイント(ハーレーダビッドソンなど)
    ・(イノベーション)日本ではよく「技術革新」と訳されるが、実は「新結合」という言葉がいちばんこの言葉の本質を捉えた訳語
    ・枯れた技術の水平展開
    ★伯楽は、嫌いな相手に「名馬」の見分け方を教え、好きな相手には「駄馬」を見分ける方法を教えていたのである。
    ★★★「失敗案件はひとつだけ」というのは、実は投資家のリスクのとりかたとしては、好ましくないといわれている。
    ★★★シリコンバレーの投資家たちはリスクを回避することよりも、リスクを見込んでも投資機会を増やすことを重視する。
    ★★★★★投資という行為は、何よりも「分母」が大切だからだ。ひとつの案件にだけ投資するのは、カジノのルーレットで1カ所だけにチップを置くようなものなのだ。重要なのは、できるだけたくさん張ることなのである。
    ★基本的に新聞には、誰かが「アナウンスしてほしい情報」だけが載っている。
    ★「トレンド」と「サイクル」
    ★★人間の行動(アウトプット)はインプットの結果
    ★きれいな英語を話せるより、さまざまな国のひどり訛りが混ざった英語を聞き取れることのほうが、グローバルビジネスにおいてはずっと役立つのである。
    ★★★残念な人は「自分で調べる一手間」をかけようとしない

  • いい本なんだろうけど、結構マッチョな内容で強い人間でないと体現しがたいと思った。

  • 読んで元気になる本。奴隷になるよりリスクを取ってよりよく生きようと呼びかける本。

  • ■概要・感想
    ○日本的な国がバックにいるような資本主義から、グローバルの本物の資本主義の競争社会に変わっていく。これに対しての生き方をとく本。

    ○出版年が12年前なので、少し情報が古い。もう既にこの状況は迎えてしまっている。

    ○トレーダーとエキスパートは陳腐化するので価値が失われるというのは、他の本でも言われていることだが、本書でも言われていた。なるほどなと思った。

    ●資本主義では、「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みで回っている。
    というのが、一番目からウロコだった。

  • 他が気づいていない伸びると思う分野に株式以外の投資をする
    株式投資は勉強
    リベラルアーツ
    社外のNPO
    一手間で結果が大きくなることもある

  • 最終的に、どんなタイプのビジネスパーソンになるにせよ、リベラルアーツが基礎的な知識となるということがいいたいのかなあ。

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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