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感想・レビュー・書評
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東大出身で元マッキンゼー、京大で講義を受け持っていたエンジェル投資家の瀧本哲史氏による啓発書。
瀧本先生は起業論を京大で受け持ってたそうですが、京大生も暗い顔していたそうです。理由は、幸せになれないからだそうです。
彼の講義には医学部のひとも来ていたそうです。京大医学部といえば名門中も名門。であるのになぜ暗い顔をしているのか。著者の分析が始まる。
瀧本氏は、買い叩かれるスキルをコモディティ化と説明します。
つまり、お米やパンを当たり前のように食べるように、TOEICや会計やITや東大京大卒の高学歴も当たり前の商品となってしまってる為、安く買い叩かれるのだそうです。
企業からすれば、英語、IT、会計という人気のスキルは都合よく買われる労働力になるためのもの、となるわけです。
さらに掻い摘むと、
・必死に勉強しても買い叩かれる
・企業はベンチャーを飼い殺しにする
・中小企業は若者を奴隷にする
など投資家的な視点から資本主義社会を分析します。
その上で、生き残るためのポイントを4つ示していました。
簡単にまとめると、起業か投資。
投資家的な考え方を持つこと、起業は戦略を持つことの重要性を述べています。
ひとつ私見を述べると、
実際、就活を頑張って働いている人で幸せそうな人は残念ながらあまりいません。
著者の言うように、社会には理不尽が潜んでいるのだと思います。
お金の自由を勝ち取ることが幸せのあり方のひとつであるなら、僕はこういう考え方はありだと思います。
でも、お金以外のことに目を向けることも大事かと思います。
モノの売り買いに基づきあらゆるものを需要と供給で商品として点数化するマーケット的、すべてを数字に変えてしまうデジタル的な考え方は数多ある考え方の一つに過ぎない。要するにそろばんを弾くのが上手いかどうかだけです。
莫大な資産を手にすれば、ほかの考え方が出来るようになるかというとそうでもないのですから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●「女子会」:リクルートが自社メディア「L25」を使って「女子会」というイベ
ントを仕掛けていたが、それは自宅住で金銭的に余裕のある女性の消費を喚起する
ため。同じ年収300-400万でも、自宅比率が低く、かつ女性分の食事も出す男性
のほうが困窮していたので、”新市場”を定義した。
●"漁師"の分類。以下に差別化し、付加価値をつけるか
✓商品を遠くに運んで販売(トレーダー)
✓専門性とスキルを磨いて生産性向上(スペシャリスト)//人の2倍釣る
✓商品に付加価値(ストーリー)をつけて市場に合わせて売る(マーケター)
※無名のゴミ同然の魚でも、適切な料理法と合わせて持ち込んで商品化
✓全く新しい仕組みをイノベーションする(イノベーター)
※一本釣り-->定置網漁など
✓自分が起業家となり人をマネージして行動(リーダー)
※漁場などの情報を共有し全体の生産性を向上
✓投資家としての参加(投資家)//船・餌台などを負担しリスクを取って拡大 -
<感想>
「君に友だちはいらない」の瀧本哲史氏の著書。2011年の出版だが、2021年に読んでも気づきがある。
ひと言で表すなら「世の中の仕組みや価値観は変わり続けるのだから、現状で判断してはいけない」というメッセージになるだろうか。企業の栄枯盛衰の実例を紹介し、戦略的にキャリアを考える必要性を語っている。
<アンダーライン>
・不安解消マーケティング
・(社会が不安定化したときには)「これさえあれば」が受ける
・経済学の定義によれば、コモディティとは「スペックが明確に定義できるもの」
・個性のないものはすべてコモディティ
・コモディティ化した市場は、恒常的に商品が余っている状態になるので、そこでの商品の値段は、供給側の「限界利益」ゼロになるまで下がる。
・「努力をして経験値を積み、お金を貯めて武器をそろえれば、立身出世ができる」というのがオンラインゲームの世界観である。
★分からない差異は、差異ではない
・「ブームとなってから投資すると、死ぬ」というのが投資の鉄則だ。
★★魚に対して「付加価値」をつけて、調理法という「ストーリー」とともに売るのである。
・ユニクロは戦略的に自社のブランドを「効率的で、合理的で、洗練されている」とイメージづけた。そのためユニクロで売っている洋服を着る行為も、
「合理的で効率的なライフスタイル上の選択」と見られるようになり
・彼女は戦略を変更する。「偏差値40以下の中学生だけを教える家庭教師」を始めたのだ。
・サービスが同じ、ということはダンピング競争になるということだ。
★★「信者」を作るのが成功するビジネスのポイント(ハーレーダビッドソンなど)
・(イノベーション)日本ではよく「技術革新」と訳されるが、実は「新結合」という言葉がいちばんこの言葉の本質を捉えた訳語
・枯れた技術の水平展開
★伯楽は、嫌いな相手に「名馬」の見分け方を教え、好きな相手には「駄馬」を見分ける方法を教えていたのである。
★★★「失敗案件はひとつだけ」というのは、実は投資家のリスクのとりかたとしては、好ましくないといわれている。
★★★シリコンバレーの投資家たちはリスクを回避することよりも、リスクを見込んでも投資機会を増やすことを重視する。
★★★★★投資という行為は、何よりも「分母」が大切だからだ。ひとつの案件にだけ投資するのは、カジノのルーレットで1カ所だけにチップを置くようなものなのだ。重要なのは、できるだけたくさん張ることなのである。
★基本的に新聞には、誰かが「アナウンスしてほしい情報」だけが載っている。
★「トレンド」と「サイクル」
★★人間の行動(アウトプット)はインプットの結果
★きれいな英語を話せるより、さまざまな国のひどり訛りが混ざった英語を聞き取れることのほうが、グローバルビジネスにおいてはずっと役立つのである。
★★★残念な人は「自分で調べる一手間」をかけようとしない -
いい本なんだろうけど、結構マッチョな内容で強い人間でないと体現しがたいと思った。
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読んで元気になる本。奴隷になるよりリスクを取ってよりよく生きようと呼びかける本。
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■概要・感想
○日本的な国がバックにいるような資本主義から、グローバルの本物の資本主義の競争社会に変わっていく。これに対しての生き方をとく本。
○出版年が12年前なので、少し情報が古い。もう既にこの状況は迎えてしまっている。
○トレーダーとエキスパートは陳腐化するので価値が失われるというのは、他の本でも言われていることだが、本書でも言われていた。なるほどなと思った。
●資本主義では、「自分の少数意見が将来、多数意見になれば報酬を得られる」という仕組みで回っている。
というのが、一番目からウロコだった。 -
最終的に、どんなタイプのビジネスパーソンになるにせよ、リベラルアーツが基礎的な知識となるということがいいたいのかなあ。