Whisky Galore(ウイスキーガロア)Vol.15 2019年8月号
- ウイスキー文化研究所 (2019年7月12日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 4910018950890
感想・レビュー・書評
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アイラモルト特集
●アイラ座談会
渋谷寛さんのコメントが印象深い
「アイラ島には長い歴史、島国の伝統や文化を感じます。ポートエレンからボウモアまで続く1本道。何もないところに、たあ右も左もピート湿原しかなく、島に暮らす人はここからピートを切り出して乾燥させて、ストーブも焚くし、ウイスキーも造るし、生活に欠かせないものになっている。それがアイラ島の歴史なんです。このスモーキーなウイスキーが何百年も続いているのが、アイラ島なんだと思いますね。」
●アイラ島の9つの蒸留所のレポート。
■アイラ北部
・カリラ
スコッチのブレンデッドのアイラモルトの大半を担っている。
カリラとはゲール語で『アイラ海峡』の意味
麦芽はラガヴーリンと同じポートエレン製の34~38ppmだが、目指すスタイルは全く違う。
ラガヴーリンがリッチで重厚な酒質を目指しているのに対して、カリラはどちらかというとブレンデッドの原酒用で、スモーキーでピィーディーでありながらも、軽くスッキリとした酒質を目指している。
・ブナハーブン
かつてカティーサークのノンピート原酒。
ブナハーブンへゲール語で『河口』の意味
・アードナッホー
アイラ9番目の醸造所
仕込み水はアードナッホー湖
ラインアームが異様に長く、スコットランド最長
■アイラ中部
・キルホーマン
2005年オープン
フロアモルティング
アイラ100%
・ボウモア
アイラモルト最古の蒸留所
フェノール値25ppmのアイラ中庸の酒
フロアモルティング
販売量は第三位
ミドルカットは71%~68.8%までで、キルダルトン3兄弟と比べると、かなり早い段階でカットを切り上げ。スモーキーでピーディーなフレイバーは蒸留の最後の方で出るというから、それを残したかったらミドルカットのタイミングは少し後ろにずらした方が良い。中庸ということもあり、スモーキーさよりもフルーティさ、エステリーさを重視。
・ブルックラディ
テロワールにこだわるアイラの革命児
■アイラ南部
『キルダルトン3兄弟』
スモーキー、ピーディーなモルトウィスキーをつくる3醸造所
・アードベッグ
3兄弟でフェノール値が一番高い(55ppm)
「麦芽のフェノール値を除けば、他のキルダルトン3兄弟と、造りはさほど差はありません。使用する仕込み水もアードベッグ、ラガヴーリン、ラフロイグは、ほぼ同じ水系の水です。しかし大きく違うのは、再留釜のラインアームの所に、アイラでは唯一となる精留器が取り付けられていること。これがスモーキーでピーディーでありながら、スイートでフルーティーといわれるアードベッグの個性を作り出しているのです」
・ラフロイグ
アイラモルトで一番売れている370万本
ピートはハンドカッティング
フロアモルティング
定番の10年物に使用する樽は、100%ファーストフィルのバーボン樽。アメリカマーケットと縁が深く、安里香で最初に売れたアイラモルトだったという話もある。
・ラガヴーリン
ホワイトホースを生んだピーターマッキーの蒸留所
シングルモルトとして1988年にデビュー
アイラモルト販売量はラフロイグに次ぐ第二位
ミドルカット60~70%とよりオイリーでスモーキーなフレイバーを回収できるように下方に設定されている。
●アイラ9蒸留所の生産能力(2019年)
1 カリラ 650
2 ラフロイグ 330
3 ブナハーブン 270
4 ラガヴーリン 253
5 ボウモア 200
6 ブルックラディ 150
7 アードベッグ 140
8 アードナッホー 100
9 キルホーマン 46
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